イノベーションを妨げる「否認」とは
リチャード・テドロー(土方 奈美訳)「なぜリーダーは「失敗」を認められないのか―現実に向き合うための8の教訓」、日本経済新聞出版社(2011)
お奨め度:★★★★★
ハーバードビジネススクールのベテラン教授が、輝かしい成功をおさめたのちに、衰退した企業を対象に、トップリーダーの意思決定を調査し、そうならないための教訓をまとめた一冊。調査が詳細で、ストーリーがたいへん面白い一冊。
リチャード・テドロー(土方 奈美訳)「なぜリーダーは「失敗」を認められないのか―現実に向き合うための8の教訓」、日本経済新聞出版社(2011)
お奨め度:★★★★★
ハーバードビジネススクールのベテラン教授が、輝かしい成功をおさめたのちに、衰退した企業を対象に、トップリーダーの意思決定を調査し、そうならないための教訓をまとめた一冊。調査が詳細で、ストーリーがたいへん面白い一冊。
お勧め度:★★★★★
リーダーシップというのはややこしい概念であるが、習得はもっとややこしい。
確かに、CCL(Center for Creative Leadership)のようなすばらしいグローバルなリーダーシップ開発の機関があったり、トレーニングが圧倒的に多い一方で、結局、本当に身につけるのは、本人が強い意志を持ち、継続的な取り組みをしていくしかないのがリーダーシップである。
このことは、リーダーシップを身につけたいと思った場合には、リーダーシップに関して自分なりに深い造詣を持つ必要があることを意味している。
そのようにリーダーシップに関心を持ち、なんとか身に着けていこうという人がリーダーシップについて理解したいと思ったときに、この本をお勧めしたい。
リーダーシップの本というのは、学問書か、実用書に二極化されている。しかし、この本、というより、金井先生はその両方に興味を持たれ、長年にわたって学術研究やフィールドスタディをされてきた。その活動の集大成とも言える1冊である。
タイトルの「入門」という意味は、いわゆる入門ではない。この本で提案されているのは自分自身のリーダーシップへの「持論」をもち、それを現場で磨くことによってリーダーシップを身につけていくというアプローチであり、そのようなアプローチへの入門書である。
リーダーシップに興味を持つ人であれば、誰がよんでも、大きな収穫があるだろう。ぜひ、手に取ってみてほしい。
古我 知史「もう終わっている会社」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2012)
お奨め度:★★★★★
経営の論客、古我 知史さんの新刊。前作の「戦略の断層――その選択が企業の未来を変える」も示唆に富む本だが、この本はさらに視点を広げ、戦略、経営計画、顧客という3つの大きな問題を論じている。方向性は、日本はアングロサクソン化をやめろ。
ジョシュ・カウフマン(三ツ松 新監訳、渡部 典子訳)「Personal MBA――学び続けるプロフェッショナルの必携書」、英治出版(2012)
お奨め度:★★★★★
Personal MBAは、自己学習によってMBAレベルの能力を身につけようとする本だという。その点で、読者にはあまり関係ない話かもしれないが、この本は極めてよく考えられている。MBAについて関心がある人は一読してほしい。
ビジネス書の杜 Awardの歴史はこちら
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「ビジネス書の杜」主宰者・好川哲人が選ぶ「このビジネス書がすごい!2012」(ビジネス書の杜Award2012)は
ケン・シーガル(林 信行監修・解説、高橋 則明訳)「Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学」、NHK出版(2012)
を選びました。今年も4冊、この本はいいなあと印象に残っている本があるのですが、今年はシンプルに、その中で一番売れたものを選んでみました。
製品にしろ、ルールにしろ、ニーズが増えていったときに、複雑にするのは簡単です。特に初期の段階においては、一つや二つ機能やルールを付け加えても全体はそんなに複雑なものになりませんので、コンセプトや目的に合わないもの安易に加えてしまします。
ここに落とし穴があります。一度、複雑にしてしまうとそれを捨てることは難しくなるものです。たとえば、それを使っている人もいるといった防御の理由が出てくるからです。
そのようにならないためには、シンプルを哲学にし、それを常に貫く必要があります。2012年、アップルの活動はどんどん複雑になってきたように見えますが、この本はケン・シーガルがジョブズのいたアップルから学んだ、コンセプトを守る、目的を守るという哲学と、その具体的な方法を教えてくれる本です。
ビジネス書の杜の本書の内容の紹介はこちらにあります。
シンプルという哲学
2012年の売上ベスト10はこちらです。
手島直樹「まだ「ファイナンス理論」を使いますか?―MBA依存症が企業価値を壊す」、日本経済新聞出版社(2012)
お奨め度:★★★★★
企業経営の中で、CFOがCEOと同等に重要だと指摘されるくらいファイナンス全盛であるが、ファイナンスは本来黒子であり、表にでるとあまりよい結果を生まないことを事例を通じて主張している一冊。
清水勝彦「実行と責任 日本と日本企業が立ち直るために」、日経BP社(2012)
お奨め度:★★★★★
ついに、日本型経営の問題の本質に清水先生が切り込んだ一冊。「戦略と実行」の続編として、非常に面白い問題提起をされており、責任の所在が明確になり、誰かが責任をとれば組織は成功するのか?という問いについて、いろいろな観点から議論されている。清水節の真骨頂。
先月、ビジネス書の杜で売れた本ベスト3です。今月から、紙版とKindle版の合計になっています。
先月に続き、今月も第1位はMAKERSでした。紙の本だけですと2位と3位は逆転しています。3位の「独創はひらめかない」はKindle版がなく、Kindle版分で「これだけ! PDCA」の勝ちでした。
【第1位】MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
【第2位】これだけ! PDCA
【第3位】独創はひらめかない―「素人発想、玄人実行」の法則
アラステア・ドライバーグ(田口未和訳)「ビジネスについてあなたが知っていることはすべて間違っている」、阪急コミュニケーションズ(2012)
お奨め度:★★★★★
ビジネスにおける常識を新しい思考法によって打破し、正しい意思決定をするための方法を示している本。価格設定、コスト削減、業績評価、予算と事業計画、行動原則、動機づけなど、ビジネスとマネジメントについて広くテーマを取り上げている。とくに、大企業のマネジャーに読んで欲しい本だ。
冨山 和彦「結果を出すリーダーはみな非情である」、ダイヤモンド社(2012)
<紙版><Kindle版>
お奨め度:★★★★★
ボストンコンサルティングと産業再生機構というある意味で両極端なキャリアを歩み、さまざまなタイプの企業を知り尽くした冨山和彦さんのミドルに向けたリーダー論。組織の歯車としてのミドルマネジャーではなく、次の経営を担う「ミドルリーダー」を目指す人は必読の一冊。
三宅 秀道「新しい市場のつくりかた」、東洋経済新報社(2012)
お奨め度:★★★★★
<紙版><Kindle版>
新しい商品や市場を作る際に、技術から決める技術神話から卒業し、文化を開発するという発想で取り組むことの重要性を説いた一冊。非常に多くの事例(ストーリー)や薀蓄を使って、言いたいことを説明をしているので、ストーリーを楽しみながら読める。
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