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2012年11月23日 (金)

モノのインターネット化が社会を変える

4140815760クリス・アンダーソン(関美和訳)「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」、NHK出版(2012)
紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★+α

MITメディアラボの初代所長であるニコラス・ネグロポンテが1990年代に、雑誌「wired」上で、「アトムからビットへ」を提唱した。アトムとビットはたとえば、ハードウエアとソフトウエアを意味している。

それから、20年近くになるが、もののインターネット化が進み、アトムとビットの境界があいまいになってきており、それは製造業に大きな影響を与えている。元wiredの編集長であるクリス・アンダーソンは、このような現象を「メイカー・ムーブメント」と呼び、一冊の本にまとめた。

メイカームーブメントは、DIYの延長線上にある。DIYムーブメントをオンライン化することでネットワーク効果を出すものだ。つまり、メイカームーブメントには、

(1)デスクトップのデジタル工作機械を使って、モノをデザインし、試作する
(2)それらのデザインをオンラインのコミュニティで当たり前に共有し、仲間と共有する
(3)デザインファイルが標準化されたこと

の3つの特徴がある。これは、ウェブの世界で起こったこととまったく同じ動きである。

このようなムーブメントを支えるのは、四種の神器である。

・3Dプリンタ
・CNC装置
・レーザーカッター
・3Dスキャナー

アンダーセンのスタートはレビューを書くことを条件に手に入れたレゴ・マインドストームとラジコンの飛行機だった。レゴによって自動操縦するチャレンジをした。思ったようにいかず、コミュニティサイト「DIYドローンズ・ドットコム」を立ち上げる。このコミュニティでさまざまな情報交換をしているうちに、起業家精神をくすぐられる。目的がないと面白くないと思い、航空ロボットビジネスを立ち上げた。コミュニティのメンバーが作った飛行機のコントローラーのデザインを使い、キットを作った。飛行機の自動操縦基板は、オープンソース・ハードウエアのコミュニティのために電子部品を設計、製造、販売する「スパークファン」に任せた。

やがてコミュニティは、スパークファンが追い付かないくらい、次々に製品をデザインしたため、ついに自前の工場を立ち上げることにした。そこでは、工員がロボット組立装置を操作し、エンジニアのチームが新製品を開発する。レザーカッター、3Dプリンタ、CNCを使って部品が作られる。初年度の売り上げは25万ドル、3年目には300万ドルを超え、4年目となる2012年には500万ドルを超えそうだという。

ここまでが、自分自身の体験の紹介を中心にしたメイカーズムーブメントの解説で、話は、ここから一般的なメイカーズ・ムーブメントの解説にはいる。

最初にいくつもの事例。特に、興味深そうなのは、現実に動き始めている自動車産業だ。自動車はハードウエアからソフトウエア(システム)になってきている。そうすると、メイカーズが活躍する場面がある。この動きは、トヨタやGMに大きな影響を与えるだろう。日本でも、現実にそのような動きがある。

次に、メイカーズの組織。特に、オープンなサプライチェーンをどうするかという話が詳しく述べられている。次は、資金調達。ここでは、クラウドファンディングについて詳しく解説されている。特に、キックスターターについて、メリット、デメリットについて分析されており、メイカーズにチャレンジするときには参考になりそうだ。

さらには、メイカーズを如何にビジネスにしていくか。成功の事例として、

・スケールコンポジット
・ブリックアームズ
・スクエア

いずれもメイカーズに興味のある人なら名前は知っている会社だと思うが、詳細に記述されており、非常に参考になる。

久しぶりに、ワクワクしながら読める本に出会った。アンダーセンは、ロングテールの提唱者としてよく知られるが、メイカーズは、ハードウエアのロングテールである。こういう世界がもうそこまで来ているのだ。

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