2009年7月21日 (火)

新しいコミュニケーションのあり方を学ぶ【ほぼ日読書日記 2009年7月20日】

連休最終日。今日は、セミナーの準備と執筆。夜、1冊、本を読んだ。

清宮 普美代、北川 達夫「対話流―未来を生みだすコミュニケーション」、三省堂(2009)

対話をどう定義するかははっきりしないが、「戦うコミュニケーション」はもう古いという。戦うコミュニケーションというのが何かははっきりしなかったが、その対極にあるのが対話ということだろう。

2人の会話は知的で、刺激的。対話に興味がない人も引き込むようなポテンシャルのものだ。その意味で、すばらしい本。

惜しいなと思うのは、ビジネスと教育という一見違うが、人を育てるということでは同じフィールドで、同じ価値観を持っている人の対談だったこと。

たとえば、ディベート流と対話流が「対話」をして、双方が納得できる答を得るという、企画の本が読みたいなあと思う僕は、対話流ではなく、戦うコミュニケーション流なのかなあ、、、

でも、対話って、弁証法の流儀だし、、、

2009年7月19日 (日)

行動分析学はビジネスに役立つか【ほぼ日読書日記 2009年7月19日】

連休2日目。

今日も朝から夕方まで執筆活動。あまり、はかどらなかったので、夕方から本を読み出した。

舞田 竜宣「社員が惚れる会社のつくり方」、日本実業出版社(2009)

行動分析学を応用したマネジメント。エンゲージメントという概念を提案し、コストをかけないで組織を活性化する方法をかなり体系的に書いてある。できるかどうかは別にして、おもしろいと思った。

ただ、行動分析学の部分で落ちないところが、何カ所かあった。杉山先生や、島宗先生の書かれた行動分析学そのものについて書かれた本を読んでいる分には、興味深く読めるのだが、この本や舞田さんの前作も含めて、最近、よく出版されているビジネスへの応用は、違和感がある部分がある。理屈はわかるのだが、話がきれい過ぎるところに、飲み込みにくさがあるのかもしれない。

あるいは、金井先生が発達心理学を組織論に持ち込まれた初期にも同じような感じを持っていたので、僕がイノベーターではないだけなのかもしれない。

なんか、もやもや感が残ったので、もう一冊、読んだ。

長沢 朋哉「世界一シンプルな戦略の本」、PHP研究所(2009)

ありそうで、なかった本。戦略論を人に教えるときに、どこから行くのかは結構、頭を悩ませるところ。どうしても、ビジョンやミッションから入るが、目的から入る方がすっきりする。いい本。こっちはすっきり!

ぼうずのビジネスモデルを知った【ほぼ日読書日記 2009年7月18日】

連休初日。

ずっと執筆作業に従事。気分転換に読んだ本にはまってしまった(苦笑)。基本的には、お坊さんの暴露本。

ただし、大学で経営学を学び、就職後も「隠れボウズ」として会計事務所に勤務し、税理士の資格を取ったという著者だけあって、切り口は思いっきりビジネス。

ショーエンK「「ぼうず丸もうけ」のカラクリ」、ダイヤモンド社(2009)

マーケティング、プライシング、税金、組織文化などにおいて、非常に参考になることが多い。

一つだけ紹介すると、お布施という仕組みがある。一時、対価はお布施方式でといった考えがはやっていたことがある。お布施の額というのは、お坊さんの格だけではなく、檀家の格を併せて決まるそうだ。

たとえば、セミナーの料金をお布施にするということは、セミナーの品質(どのくらい参考になったか)ということに加えて、あなたがどれくらいのものだということも加味して払ってくださいということになる。

これだと、たぶん、実際にセミナーで聞いた内容を実践に移す人は高いお布施を払うことになるので、合理的!

サービス業従事者必読だな、こりゃ。

2009年7月17日 (金)

第60回書籍プレゼント「3分でわかる クリティカル・シンキングの基本」(7月29日まで)

著者の方や、出版社の方に支えられ、本プレゼントも、60回を迎えることができました。御礼申し上げます。

今回から、ビジネス書の杜でも告知することにしました。

このプレゼントは、もともと、プロジェクトマネージャー養成マガジンの読者サービスとして始めたという経緯もあり、10、20、30、40、50回という区切りは出版社様や著者様にお願いしてプロジェクトマネジメントの書籍をプレゼントしてきました(50回はまだ、未実施)。

徐々に、ビジネス書の杜のサービスとして認識されてきましたので、60回は流れに任せました。幸いにも、区切りにふさわしい本をプレゼントできることなりました。

というわけで、今回のプレゼントは、日本実業出版社の田中学様のご厚意による、 「3分でわかる クリティカル・シンキングの基本」です。

小川 進、平井 孝志「3分でわかる クリティカル・シンキングの基本」、日本実業出版社(2009)

アマゾン:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453404562X/opc-22/ref=nosim

ビジネス書の杜記事:https://mat.lekumo.biz/books/2009/07/post-3dc8.html

みなさんの会社にも、「やってはいけないと思っていること」、「考えてはならないと思っていること」が多いのではないかと思います。これが「思考停止」と呼ばれる現象の主要因になっています。

もし、気づいていなければ、自分の1日の行動を振り返って、なぜ、そのような行動をしたかを考えてみてください。5つやそこらは、特に理由がないが、それが自社の常識、業界常識というのがあるはずです。ひょっとすると、社会人の常識だと思っていることもあるでしょう。

これが適切なものであればよいのですが、実はこのような常識や前提が真っ先に時代に合わなくなります。すると、いくらそこでロジカルにものを考えても、適切な結論はでてきません。とにかく、考えれば思考していると思っている方も少なくないと思いますが、このような思考は「思考停止」に他なりません。

こんな落とし穴にはまらないための思考法が、クリティカルシンキングです。ビジネスシンキングこそが、ビジネスマンの「常識」です。

この本を手にいれ、クリティカルな思考を身につけてください。

応募はこちらからできます。

http://pmstyle.jp/honpo/present/20090717.htm

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シンプル族の生態【ほぼ日読書日記 2009年7月16日】

「下流社会」以来、初めて三浦展さんの本を読んだ。この本は非常に参考になる。

三浦 展「シンプル族の反乱」、ベストセラーズ(2009)

日本でも、スローライフや、ロハス、最近では草食系の原点として注目されているPaul H. Ray、Sherry Ruth Andersonさんの

The Cultural Creatives: How 50 Million People Are Changing the World

が提唱している「カルチャルクリエイティブス」が理論的なベースになっているようだ(この本は読んでいないので、引用からはそんな感じ)。それに独自の調査をして、固めているような本。読み応えもある。

ライフスタイルだけではなく、このような価値観はワークスタイルでも色濃く出ているように思う。この本も勝間帯で、「共感します!この価値観を理解してください」と書いているが、共感するかどうは別にして、理解をすることは必要そうだ。

この本を読んで、なるほどと思ったことを一つあげると、最近、よく分業によるモチベーションの低下という指摘がある。とくに、ITの世界などは、全体像が見えないままで、取り組んでいるのでモチベーションが低いという指摘が多い。分業は今に始まったことではない。ドラッカーだって教会の石切工の話をしている。

突然、言われ始めたのに違和感を感じているが、これが「手作業指向」などいくつかの「カルチャルクリエイティブス」の特性を持った人たちが増えてきたというのであれば納得できるな。

もし、そうだとすれば、ビジョンを示すとかいうような単純な話では解決しないだろう。最近、デザインがやたら注目されているとか、といった辺りにもヒントがあるのかもしれない。

全然、関係ないが、最近、勝間さんが絡んだ出版物は、アマゾンで関係者の中傷に近いようなコメントがつくのが目につくなあ。

も、一冊。仕組みブームを作った泉正人さんの新作。

泉正人「「仕組み」思考術」、アスコム(2009)

仕組み本をいろいろな人が書いているが、確かに

泉正人「最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)

は納得感のある本だったが、それ以外は違和感がある(そんなに読んでいるわけではないが)。

泉さんの新刊を読んでいて、ふっと思ったのは、こういう発想も、カルチャルクリエイティブスの発想かもしれない。確かに、生き方に仕組みを入れれば、世界観はシンプルになることは間違いない。

2009年7月16日 (木)

プロジェクトマネジメントは変わるのか?【ほぼ日読書日記 2009年7月15日】

これはさすが芝尾さんならではと思わせる、いい本ですね。

芝尾 芳昭「プロジェクト会計入門」、生産性出版(2009)

大変、参考になりました。特に、4章のプロジェクト会計の導入の話は参考になった。組織としてプロジェクト会計を導入できるかどうかはともかくとして、プロジェクトマネジメントに新しい視点を与えることは間違いない。工事進行基準に対応するのに、会計マンも3章とこの4章くらいの見識はもっておいてほしいなあ。

もう一冊。空気というのを最初に言い出したのは、たぶん、山本 七平氏。

山本 七平「「空気」の研究」、文芸春秋(1983)

阿部元首相のYK揶揄以来、(場の)空気について書いた本が結構でていて、何冊か読んだが、その中では一番よかった。

四条 さやか「空気の作法 あなたの印象を変える空気の法則」、同友館(2009)

空気というのを体系的に語るなら、コミュニケーションとして捉えるのだという何でもないことに気がついた。「空気」に対する認識が変わった。コミュニケーションとして考えれば、読むだけではなく、作ることが必要なんだ。

2009年7月15日 (水)

計画力の名著に遭遇【ほぼ日読書日記 2009年7月14日】

書店で、計画技法ではなく、計画方法論のような本を探していたら、なんと、加藤昭吉先生の本に遭遇した!

加藤先生といえば、なんといってもこの本。大学時代に数理計画法の講義のテキストだった本で、PERTやCPMはこの本で理解した。

加藤 昭吉「計画の科学―どこでも使えるPERT・CPM」、講談社(1965)

ブルーバックスの35、このブログで紹介した本の中でもっとも古い本です、はい。今でも、PERTの入門書というとこの本を紹介する人が多いので、すごい本だ。

単に数学的な説明だけではなく、概念的な説明を非常にわかりやすくされている。この本を覚えたことは、今でも非常に役立っている。昨年、地頭力というのがプチブームになったが、さほど、新鮮さを感じなかったのはおそらくこの本を読んでいたから。

さて、前置きはここまでにして、今回遭遇した本はこれ。

加藤 昭吉「「計画力」を強くする」、講談社(2007)

すぐに読む。すごすぎる本。こんな本を書ける人は加藤先生以外には、いないだろう。

2009年7月13日 (月)

思考停止から脱却する法

453404562x 小川 進、平井 孝志「3分でわかる クリティカル・シンキングの基本」、日本実業出版社(2009)

お奨め度:★★★★★

問題解決のための三位一体の思考法として、「ロジカル・シンキング」、「ラテラル・シンキング」と並ぶ「クリティカル・シンキング」を扱った日本実業出版社の「3分でわかる」シリーズ。

正しく考えるロジカルシンキング、正しく発想する「ラテラルシンキング」が「正しく」できるには、「正しく疑う」クリティカルシンキングが必須だとし、その「心構え」、「疑うコツ」、「訓練法」について述べている。

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仕事が楽しくなる【ほぼ日読書日記 2009年7月12日】

日曜日なので、何冊か、新刊書に目を通した。

プロフェッショナルサービスのファームの新規ビジネスの獲得を、広告業界をモデルにしてまとめている。探査(獲得の事前設計)、接触(見込み顧客へのアプローチ)、提案を経て、「恵みの雨」を降らせるまでの一連のプロセスを、読者に「プレゼン」するような語り口で書いてある。構成はかなり、卓越していると思う。コンセプチャルでありながら、ポイントは具体的なところまで落とし込まれていて、説得力がある。

クリーブ・ラングトン、ロッド・モリソン (イラスト)(東急エージェンシーナレッジセンター訳)「新規ビジネス獲得は、蜜の味 (NY流「勝てるプレゼン」の極意)」、東急エージェンシー; 初版(2009)

営業でなくても、ナレッジワーカーであれば、読んでおいて損はない。

さて、もう一冊、むちゃくちゃよい本。

上田 信行「プレイフル・シンキング」、宣伝会議(2009)

「働くこと」は「楽しい」を実現するための方法を書いているのだが、大上段に振りかぶった話し出はなく、局面局面で、どうすれば、楽しくなるかのアイディアを提供している。究極のポジティブシンキング本。

よい本に当たる日は、本当に当たる。3冊目。

棚橋 弘季「ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術」、日本実業出版社(2009)

この本もなかなか、優れもの。プロデュース思考の佐々木さんが「プロデュース」という言葉は、手垢がついているとよく言われているが、デザインという言葉もそうだと思う。そのような手垢をきれいにしながら、デザインの価値を発見させてくれる本。コンセプチャルな記述が多いので、少し格闘が必要だが、格闘する価値はあるな。

2009年7月12日 (日)

お休みしてました【ほぼ日読書日記 2009年7月11日】

久しぶりの日記です。

この1週間、事業の企画のために、かなりの数の本を読んだのだが、ほとんど古い本。

ということで、紹介しなかった。

1週間更新しなかったので、何かあったんですかというご心配のメールを戴いた。僕は書評を書いたり、アフェリエイツのための本を読んでいるわけではなく、あくまでも仕事の一環として読んでいる本の中から専門書と洋書を除いた割と新しい本だけを紹介しているので、こういうこともある。ただ、、確かにほぼ日とか言いながら、かなりの頻度で書いているでの心配して頂いたようだ。

お詫びにまとめてタイトルだけ紹介しておく。ただ、業務上の理由で、すべては紹介できないので、ご容赦。下期には、事業としてプロモーションして行く予定なので、そのときのお楽しみとおいうことで。

まず、このブログで紹介したことのある本から。

マーティン・セリグマン(山村 宜子訳)「オプティミストはなぜ成功するか」、講談社(1994)

あとは、紹介したことがない。

マーティン セリグマン(小林 裕子訳)「世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生」、アスペクト(2004)

スーザン・セガストローム(島井 哲志、荒井 まゆみ訳)「幸せをよぶ法則―楽観性のポジティブ心理学」、星和書店(2008)

タル・ベン シャハー(坂本 貢一訳)「HAPPIER―幸福も成功も手にするシークレット・メソッド」、幸福の科学出版(2007)

プライス・プリチェット(富永 和子訳)「楽観脳 最後に笑うオプティミストになるために」、東京書籍(2008)

シェリー・E. テイラー(宮崎 茂子訳)「それでも人は、楽天的な方がいい―ポジティブ・マインドと自己説得の心理学」、日本教文社(1998)

ここまでは、すべてポジティブ心理学の本。ちょっと違う系統の本。

新田次郎「富士山頂」、文芸春秋(1974)

プロジェティスタ研究会のために読んだ。20年以上前に読んだ本を読むというのはなかなか、ないことだ。ご存じの通り、NHKのプロジェクトXの第1話の原作と言われている。このご時世に読むと、「官僚的」であることの傲慢さが鼻につく。

もう一冊。ある講演のネタ仕込みで読む。すごい会社があるなあとひたすら感動。

チャールズ・ナイト、ディヴィス・ダイヤー(浪江 一公訳)「エマソン妥協なき経営―44年連続増収を可能にしたPDCAの徹底」、ダイヤモンド社(2008)

もう一冊。

川島 蓉子「虎屋ブランド物語」、東洋経済新報社(2008)

たいへん、よく書けたドキュメンタリーだと思う。読みやすいし、ブランド戦略を読み取る上で、きちんと必要なポイントがきちんとプロットされていると思う。ISDNを調べるためにアマゾンのページに言ったら、レビューが目に入った。東洋経済の出版物であるので、多少のバイアスはあるとしても、それを自分なりに考えるために読む本だと思うけど。

プロジェティスタ研究会向けには、こっちの方が参考になったかも。

この他に、新刊もあるが、それは別途。

2009年7月 7日 (火)

アドレナリンの分泌を促すプロマネ本【ほぼ日読書日記 2009年7月6日】

おっ、scrappy project management の翻訳がでているじゃないですか。

キンバリー・ウィーフリング(田中 健彦)「土壇場プロジェクト成功の方程式 回避可能な12の落とし穴」、日経BP社(2009)

早速、購入。東京に向かう新幹線で読破。っていっても、本は原書で読んでいたので、20分ほど眺めておしまい。訳はうまいかどうか分からないが、読みやすいし、原書の勢いがうまく出ているように思う。

プロジェクトマネジメントのレバレッジポイントを12取り上げて、非常に明快に、だめなことと、いいことを書いている。

scrappyというニュアンスが出ていて、とてもよい本だと思う。書いてあることは、結構、日本でプロジェクトマネジメントの考え方を書いた本で、ほかの人も言っているようなことなのだが、語り方がうまい。

この本を読むだけで、アドレナリンが分泌される!その意味で、土壇場プロジェクトを成功に導く本か!?

2009年7月 5日 (日)

経営にとって大切なことを学ぶ【ほぼ日読書日記 2009年7月4日】

先週の水曜から、アクセス25%くらい増えている。参照元のURLで、目立ったのが、「kazuyomugi.cocolog-nifty.com」(笑)。勝間さんの「まねる力」について日記で触れたところ、書評リストの中に入っていたためと思われる。

過去にも何回か同じような事件があったが、だいたい、10%前後で、25%アップは素直にすごい。勝間本ならぬ、勝間力だなあ。

はい、この話題はここまで。今日は経営にとって大切なものを学ぶ上でとてもよい本を2冊読んだ。

源明 典子「現場の「知恵」が働く チームイノベーション (スコラ式風土改革)」、日本経済新聞出版社(2009)

言ってしまえば、スコラの宣伝本である。3つの事例とその事例に関連の深い彼らの理論が簡潔に解説されている。

ところが、読んでいておもしろいし、興味深いので引き込まれるように読んだ。もちろん、著者の方の筆力もあるのだと思うが、やっぱり、スコラコンサルティングの取り組んでいる活動は的を得ているというのが何よりの理由だろう。

たいへん、参考になった。

もう一冊。一方で、こういう価値観もある。

ジェームズ・キルツ、ロバート・ローバー、ジョン・マンフレーディ(高遠 裕子訳)「大事なことだけ、ちゃんとやれ!―ゼロ成長企業を変えた経営の鉄則」、日本経済新聞出版社(2009)

ジェームズ・キルツは、ナビスコ、ジレットなどのCEOとして有名な名経営者。経営の基本だけを忠実にやれば成功することを主張した本。まさに、原理を貫く経営である。

いろいろな価値観の企業があり、その価値観を大切にした経営をする。だからマネジメントはおもしろい。

ただ、一つ言えることはいいとこ取りをしないことだろう。というと、ベストプラクティスというのを否定しているのかとよく言われるが、ベンチマーキングをするからベストプラクティスが意味がある。ベストプラクティスを「お話」として聞いてきて、とりあえずやってみようというのは、日本人の好むマネジメントスタイルだが、そんなやり方でなんとかなるほど、あまい状況ではない。

この両方の本で書かれていることで共通しているのは、部分的にでも書かれていることをやってみようかと思わせるようなインパクトのある内容だということだ。

同時に、徹底することによって初めて成果が生まれるということだ。

2009年7月 3日 (金)

アインシュタインの頭の中を覗く【ほぼ日読書日記 2009年7月2日】

やっと「アインシュタイン・ファクター」を読み終えた。第1章を読んだのは、発売直後だったと思うので、1ヶ月以上かかったことになる。

リチャード・ポー、ウィン・ウェンガー(田中孝顕訳)「アインシュタイン・ファクター」、きこ書房(2009)

この本、「頭脳の果て」というタイトルで2回出ていて、3回目なので、同じ出版社が3回出すからには、何かいいことがあるのだろうと思ってついに読んだ。本来は、あまり、僕の読書ジャンルには入らない本。昨今の脳ブームにはまったく乗り遅れている。っていうか乗っていない。

でも、この本、1冊読んで、だいたい、全体像がわかったような気がするので、その意味では大変、よかった。内容もそれなりにおもしろかった。特に、第6章の「イメージを解釈する」はたいへん、参考になった。

全然、関係ないが、田中孝顕さんの訳本に、神田さん、勝間さんの推薦をつけて出すというのは、グッドアイディアだと思う。ほかにも何冊かそうしてほしい本がある。

2009年7月 2日 (木)

勝間本【ほぼ日読書日記 2009年7月1日】

ある方から戴いたので、ぱらぱらとみた。インタビューは結構、おもしろかったが、どういうコンセプトの本なのだろうか?とふと思った。インタビューイの人たちをまねてみてはという勝間さんからの提案なのか、それとも自分がまねたい人なのか、それともそういう編集をしておいて実は私をまねなさいっていうことなのか(笑)、はたまた、全然違うのか。

勝間 和代「AERA MOOK 勝間和代「まねる力」」、朝日新聞出版(2009)

まあ、それはともかく、なんとも贅沢にインタビューを使った構成はすごいとしか言いようがない。ライターではなく、プロデューサですね。っていうか、ディレクターか。この本以外にも、最近、何冊か出ているし。

日経MJ 2009年上期ヒット商品番付東前頭に「勝間本」っていうのが入っている。今回も、「1Q84」が入っているように書籍が入るのは時々見かけるが、書籍を超える「勝間本」ってコンセプトなんだから、これは。すごい!

今をときめく勝間さんだからできる本なんだろうな。

2009年7月 1日 (水)

御立直資さんの視座に触れる【ほぼ日読書日記 2009年6月30日】

ボスコンの日本代表を務める御立直資さんのエッセイ。日経ビジネスオンラインの連載の書籍化。日経ビジネスオンラインの連載をずっと読んでいたので、こんな話があったなと思いながら読んだ。

御立 尚資「経営思考の「補助線」 」、日本経済新聞出版社(2006)

ある意味、御立直資さんの視座からものをみれるので貴重な一冊だと思うのだが、読んでおもしろいと感じる人は、限られているのではないかと思う。このエッセイを受け止めるには、かなりの経営リテラシー、それも戦略経営のリテラシーが必要なのだと思う。こういう文章をネタに会話ができるような社会になってほしいな。日本にこれだけの視座を持ったコンサルタントはどれだけいるんだろう。。。

それにしても、ビジネスエッセイを書くというのは難しいなあ。

昼間、必要に駆られて久しぶりに川喜田二郎先生の「発想法」を読んだ。ある会社で、社内のコンサルタントに「KJ法をきちんと教えてほしい。特にフィールドワークの部分を」という注文を受けた。この問題意識はよくわかる。

川喜田 二郎「発想法―創造性開発のために」、中央公論社(1976)

「発想法」は3章のKJ法以降の部分をみんなきちんと読もうとするが、実は1章と2章のフィールドワークを書いたところに意味があるのだと思う。

フィールドでの観察と仮説に基づく情報があってのKJ法であり、情報の意味づけをしないままでKJ法をやっても、「妄想」に過ぎない。これはロジカル思考ブームのもたらした弊害の一つだ。

KJ法を単なる情報整理の方法で、いくら整理してもそこからアイディアは出てこないと批判する人がいる。この批判はある意味で正しい。情報そのものが、人やチームの頭からひねり出されたものであれば、一旦フィルターがかかっているので、もうそれ以上のものは出てこない。

質的情報にしろ、量的情報にしろ、情報の源泉はフィールドにある。そこで得られた生の情報を整理すれば、アイディアはでてくる。先入観を捨てて、情報を収集すればの話であるが。

2009年1~6月ベスト10

2009年上半期(1月~6月)のアマゾン販売数のベスト10です。

1位はこの3年ほどの傾向通りで、昨年のアワード(このビジネス書がすごい)でした。今年は佐々木直彦さんの「プロデュース能力」。これ以外にも佐々木さんの本は、「大人のプレゼン術」が6位に入りました。プロデュース能力と切っても切れない本で、そういう紹介をしたもの影響しているのでしょう。この本、いい本なので、うれしいです。

あと、「職養道のすすめ」の2位はびっくりしました。紹介したあとの3日間で数十冊か売れたんですが、そのあともこんなに売れていたとは思いませんでした。「職養道」と言う言葉がなんとなく、プロフェッショナルの方々には刺さるのでしょうか?

それから、8位に、「プロジェクトとパッション」が入りました。紹介した後、3月にまとまって売れて、その後、コンスタントに月に10冊は売れているようです。これもちょっとびっくりです。なんといっても、「世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント」より売れているってすごい!ことです。

で、これだけでも十分驚きですが、最高のサプライズ!は、7位の「過剰管理の処方箋」。この本、知文を書きにくくて、紹介記事を書いていません。記事を書いていないものがベスト10に入ったのは、ビジネス書の杜開始以来、初めてです。「ほぼ日読書日記」で何とか言及しているので、その効果ですね。これをきっかけに紹介記事を書くつもりです。

実は、ほぼ日読書日記で取り上げると、著者や出版社の方からお礼メッセージを戴くことがあるんですが、こっちは内容の紹介はほとんどせずに、簡単にあれやこれやと書いているだけで却って恐縮していたんですが、ちょっと認識が変わりました。

全般的な感想ですが、マネジメント本が多く、いわゆる自己啓発書の類があまり入っていないのは、おもしろいです。日記では結構紹介しているんですが、、、

それから、チーム本がまったく入っていません。これもこの半年に関しては、特徴だと思います。実は、チーム本の最高ランクは15位くらいに、今、プレゼントを実施している吉村 啓邦さんの「チームの生成と開発」です。この半年でおそらく10冊を超えるチーム本が出ているし、かなりの点数日記では紹介していますので、ちょっと意外です。

てなことで、なんとなく、世の中の動きとはかけ離れたベスト10で、それなりの数、売れているので、「ま ん ぞ く !」です。下期もがんばってブログ書きます!

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先月のベスト3をサイドバーにつけました

ほぼ日読書開始以来、日記を中心にしたレイアウトにしていましたが、本が探しにくいという意見もありましたので、元のレイアウトに戻しました。

ただ、サイドバー(右側のメニュー)が長すぎると言う意見もいただいていましたので、この際、お気に入りのウサギをやめて、デザインを変え、サイドバーを2段にしました。

ほぼ日読書日記は最近の記事からたどって頂ければと思います。

それから、新たな試みとして、先月のベスト3というサイドバーを作りました。先月に売れた本のベスト3です。

ちなみに、6月は以下の3冊でした。

  • 【第1位】超感性経営
  • 【第2位】続・影響力の法則―ステークホルダーを動かす戦術
  • 【第3位】新版 図解・問題解決入門―問題の見つけ方と手の打ち方
  • 2009年6月30日 (火)

    バケツに水を注ぐ

    4532312159 ドナルド・クリフトン、トム・ラス(高遠 裕子訳)「心のなかの幸福のバケツ」、日本経済新聞社(2005)

    お奨め度:★★★★★

    「ポジティブ心理学の祖父」、「強みの心理学の父」と呼ばれるドナルド・クリフトンが自身の40年間に渡る仕事を「ひしゃく」と「バケツ」という単純なメタファで紹介した本。メタファが単純な分、書かれていることには非常に深みがある。

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    行動を中心にした問題解決のフレームワーク【ほぼ日読書日記 2009年6月29日】

    僕はグローバル化信奉者ではない。経済のグローバル化は必須であるが、それと、チームだとか、組織がどうあるべきかは別の問題だ。

    目的と目標の議論でいえば、グローバル化は目標であって、目的ではない。目標だけで突き進もうとするから、達成手段もあわすような議論になってしまう。

    ダイバーシティを重視しろと強要するというのはパラドックスだ。何のためにダイバーシティを重視しなくてはならないのか?そこが問題。

    比較ビジネス文化論としては秀作だと思うが、読み進んでいるうちに、そんな気持ちになってきた。

    篠崎 正芳「世界で成功するビジネスセンス~日本企業は仕組みをチェンジ!日本人は思考・行動をアップグレード!」、日本経済新聞出版社(2009)

    ただ、思考様式も変えたいと思っている人には、非常に現実的なたくさんのアドバイスが書いてある本なので、役立つと思う。

    価値観の議論をしない、いいかえれば、アングロサクソンの資本主義の価値観を前提にした、グローバル化の本は、もう僕的なおなかいっぱいだけど。

    もう一冊、この本を読んだ。

    池上 孝一、小島 美佳「ハイパフォーマーの問題解決力」を極める」、ファーストプレス(2009)

    問題解決力のフレームワークとしては画期的な本だ。基本スキルと、応用スキルに分け、思考スキルだけでなく、行動スキルなども盛り込んでいる。

    今までの問題解決本は、思考スキルありきで、考えたことを如何に行動に移すかという観点で書かれているのとは根本的に異なる。ただし、基本スキル(ファンダメンタルスキル)の難易度が高い。

    1 色々な立場に身を置いた「視点」を持って行動している
    2 「目的意識」を踏まえて行動している
    3 的確な「判断基準と優先順位」を使って行動している
    4 やりきろうとする「アスピレーション」を抱いて行動している

    日常的にこんな行動ができれば、そもそも、問題など生じないだろう。っていうか、そういう問題があったときに何かするのではなく、継続的に問題を解消しながら仕事を進めていくためのフレームワークだとみるべきだろう。

    2009年6月28日 (日)

    知的好奇心を満たされた休日【ほぼ日読書日記 2009年6月28日】

    休日のほぼ1日を書けて読了。

    ゲイリー・レイサム、(金井 壽宏監訳、依田 卓巳訳)「ワーク・モティベーション」、エヌティティ出版(2009)

    学術書なので、おもしろいとかいうものでもないが、知的好奇心は満たされた。こういう休日の過ごし方も悪くない。

    ざっくりした感想としては、モチベーション理論は、そんなに直感とかけ離れたものはないということだ。経営学、あるいは人文科学とはそういうものかもしれないが。

    で、箸休めに読んだ本。

    金子 英之「遺言書で鍛える6つのビジネススキル―エグゼクティブは遺言書で人生設計する」、冬舎メディアコンサルティング(2009)

    本屋でタイトルを見て、直感的におもしろいと思って買ったのだが、期待外れ。っていうか、このタイトルであれば、もっとおもしろい本を作れるだろうと思った。

    この編集ではあまりビジネスの参考にはならないように思う。ただ、僕ももう50なので、人生を考える上で参考にはなった。

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