2009年8月 9日 (日)

目標とイノベーションを如何に結びつけるか【ほぼ日読書日記 2009年8月8日】

P&Gがなぜ、勝ち続けることができるのかを知ることができた。

A.G.ラフリー、ラム・チャラン(斎藤 聖美訳)「ゲームの変革者―イノベーションで収益を伸ばす」、日本経済新聞出版社(2009)

日本の企業との違いは、目標、戦略、システムとイノベーションのうまく結びつけているかどうかだな。組織運営自体は日本企業のそれに近いと思う。リーダーシップは形は違うが、目指すところは同じ。

ただ、この違いは決定的かもしれない。というよりも、似ているところと似ていないところは相反している部分があって、両立するのは難しいと日本の企業は思っているんじゃないだろうか。

じゃあ、なぜ、両立するのか?結局、行くつくところは文化か。

2009年8月 8日 (土)

メタファをデザインする【ほぼ日読書日記 2009年8月7日】

森博嗣さんが自ら翻訳し、「本書は、『発想力』を育むためのドリルである」と評価している本。写真をうまく使って、発想を刺激してくれる。

ジェーン・フルトン・スーリ、IDEO(森博嗣訳)「考えなしの行動?」、太田出版(2009)

一気に読む本ではない。ドリルとして使えばよいと思う。同じページで何度でも楽しめる。夏の旅行の渋滞のお供に如何?

25年くらい前に、ドナルド・ノーマンの講演を最初聞いたときに、「誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論」にも出てくる車のドアノブのメタファの話をした後で、ホテルの部屋のバーにあったナッツの袋を持ってきて、自然な開け方とデザインが違う、人間が無意識にどのように使うかを観察し、メタファをデザインすべしという話を聞いて感動したことがある。今や、インダストリーデザインでは常識になっていることなのだが、当時はほとんど言われていなかったことだった。

もう一つ、しばらく前に読み、日記に書き忘れた本。「ミメロギア」風に、創造性、発想力についてポイントを述べている。

タイトルの鳥の目・虫の目、戦略・戦術、想像・創造、知識・知恵、、、

高橋 宣行「「鳥の目・虫の目」発想読本」、PHP研究所(2009)

高橋 宣行さんの本そのものもいいのだが、松岡正剛氏先生の「ミメロギア」というフレームワークはやっぱりすごい(ミメロギアはミメロギアミメーシス(模倣)とアナロギア(類推)という二つのギリシア語をくっつけた松岡先生の造語)。

ミメロギアが高橋 宣行さんの頭の中を引き出しているのが手に取るように分かる。

2009年8月 7日 (金)

技術を推進力とするプロデュース

4396111673 宮永 博史「理系の企画力!-ヒット商品は「現場感覚」から」、祥伝社(2009)

お奨め度:★★★★1/2

東京理科大学の社会人向けのMOTコースは、日本の経営学の重鎮のひとりで、「人本主義」とか、「場のマネジメント」といったユニークな理論を構築されてきた伊丹敬之先生をはじめとする、質の高い教員を抱えた実践的なコースと評判のコースで。

その中でも、技術経営の分野に、セレンディピティというユニークな概念を持ち込まれている宮永先生のカジュアルに読める一冊。

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お知らせ:カレンダーをつけました

日記を表示欄から外してから、日記を書いている日がぱっと分からないという指摘をいただいていました。いろいろ考えていたのですが、よい方法が見つからなかったので、とりあえず、サイドバーにカレンダーをつけました。

カレンダーに印が入っている日は記事をアップした日です。

が、日記は当日中に書くとは限らない(というか、まず、書かない。当日書く場合も12時を超えることが多い)ので、カレンダーをクリックしたら前日の日記が出てくることが多いと思います。

そのように活用頂ければと思います。

社会起業に目覚める【ほぼ日読書日記 2009年8月6日】

なぜか、知り合いに社会起業なるものに取り組んでいる人が結構いる。その人たちが取り上げられた本を送ってきてくれたり、会うとよく話題になるので、興味も出てきて、結構、本を読んでいる。

10冊は読んでいると思うが、この本を読んでずっと疑問に思っていたこれまでの世界とのリンケージが見えたように思う。

ベン・コーエン、マル・ワーウィック(斎藤 槙、赤羽 誠訳)「ソーシャルビジネス入門 「社会起業で稼ぐ」新しい働き方のルール (The Social Venture Network Series) 」、日経BP社(2009)

ソーシャルイノベーションは価値と機会と手法のバランスが問題だと思う。バランスを欠くと、B級戦略ビジネスになってしまう。事例本は数多くあるが、このような視座を持って事例を学んだときに、納得できない部分があるというか、はっきりいうとバランスを欠いていて、ちからわざで起動に載せたようなイメージのものが多い。そのため、従来のビジネスとどのように位置づけていけばよいかが分からないままだった。

この本は、そこをかなり、分析的に書いてあるので、分かりやすく、ヒントになる点が多かった。

2009年8月 6日 (木)

問題解決のアートとサイエンス【ほぼ日読書日記 2009年8月5日】

読み出したら、面白くなって、途中で熟読モードに切り替え。一気に最後まで読んでしまった。

清水 久三子「プロの課題設定力」、東洋経済新報社(2009)

コンサルタントにとっては、課題はツールであり、思いっきりポジティブであるが、実務をやっている人にとっては課題は微妙。よいリーダーは、課題をポジティブに捉える。この代表がトヨタの改善だ。

ただ、問題解決力と課題設定力のどちらが重要だという話しではないような気がする。より大きなレベルの問題解決の中で、問題解決力と課題設定力はサイエンスとアートのような位置づけ。難しいのは間違いなく、課題設定力が難しいが、どっちも重要。

アートだからこそ、体系的なアプローチをしているこの本の価値がある。リーダー必読。

もう一冊。

僕はセミナーのタイトルを決めるときは、まずは自分で考え、そのタイトルで検索し、その後で推敲するようにしている。今回、企画したセミナーは「プロジェクトマネジャーのためのマネジメント基礎力」。

なんと、造語のつもりだったマネジメント基礎力という本があった。なんと、ユニークな切り口で本を書かれるので、おおよそ、読んでいる中西晶先生の本ではないか!

一応、アマゾンで購入してさっと目を通した。問題意識は同じ。中西先生は基本ではなく、現場マネジメントの基礎的実践力という位置づけだ。僕の企画したセミナーも、プロジェクトマネジメントの基礎となるマネジメント力。若干、視点は違うので、内容はかなり違うが、視座はほぼ同じ。心強い。

中西 晶、家田 武文「マネジメント基礎力―はじめてリーダーになる人の本」、エヌティティ出版(2009)

ちなみに、セミナーはこちら。

〓【開催概要】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
 ◆プロジェクトマネジャーのための「マネジメント基礎力」講座
  日時:2009年9月28日(月) 10:00-18:00<7PDU>
  場所:ヴィラフォンテーヌ汐留コンファレンスセンター(東京・港区)
  講師:好川哲人(エムアンドティコンサルティング)
  詳細・お申込 http://www.pmstyle.biz/smn/management_basics.htm
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

2009年8月 4日 (火)

アマゾンに登録がない?!【ほぼ日読書日記 2009年8月3日】

力作だ。取り上げられている事例もおもしろいし、「アップルアウトサイド」、「インテルインサイド」というモデルも納得。

妹尾 堅一郎「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由」、ダイヤモンド社(2009)

なのだが、そもそも、この本で前提としている「技術力」とはいったい何か?標準競争や知財戦略では負けているというのだから、このあたりは入っていない。

プロセスでみれば納得するのだが、プロセスで解決する問題なのだろうか?結局、この本で書かれている問題の根底にあるのは、技術を構想できないことなのではないかと思う。

さて、先週、八重洲東京一番街の栄松堂書店で購入した本。

金子孝弘「なぜ、あたなの教え方は「伝わらない」のか」、キクロス出版(2009)
ISBN:9784862204486(4862204481)

なぜか、アマゾンにエントリーがない。この日記を書いている時点だが、奥付は6月11日になっているので、時間の問題でないだろう。どなたか見つけたら教えてください!

内容はたいへん、参考になったし、共感することも多かった。「わかる」から「できる」まで導いていくのが講師ということで、講師は

・専門分野を極める
・受講者が主役
・自分のエピソードを持つ
・計画8割、実施2割
・講座は生モノ
・目的名何かを認識する
・振り返りと研鑽

の7つを心得よとのこと。何回か、読み直してみたが、言っていることがMECEになっている。これはすごい!まさに、練り込まれた感じ。

2009年8月 3日 (月)

揺り戻し?【ほぼ日読書日記 2009年8月2日】

理論主義と経験主義、合理性とゆとりなど、ものごとがどちからに大きく振れると、必ず揺り戻しがある。人間のバランス感覚かもしれないし、あるいは、もっと大きく自然の摂理的なものなのかもしれない。

香山 リカ「しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール」、幻冬舎(2009)

香山さんを引っ張り出してきたところに価値があるように思う。勝間の対極にあるのは何か?

そういえば、日記に書き忘れていたが、先日、こういう本を読んだ。

アル・ライズ、ローラ・ライズ(黒輪 篤嗣訳)「マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?」、翔泳社(2009)

右脳と左脳の議論なのだが、マーケティングとマネジメントという対比はなかなか、おもしろいし、あまり、双方の本質が分かる。マネジメントを学びたい人にも、マーケティングを学びたい人にもお奨め。

考えてみれば、経営はマネジメントとマーケティングの揺り戻しでいろいろと変化しているような気がする。むう、深いなあ。

2009年8月 2日 (日)

右脳vs質問【ほぼ日読書日記 2009年8月1日】

ワールドカフェとか、質問会議とか、対話系の会議術の本がたくさん出ている。ほとんど、プロセスについて書いた本だ。その代表とも言える対話系の会議術は、実施するハードルは低いが、成果を出すハードルは極めて高い。

たとえば、ブレーンストーミングを考えてみればよく分かる。ブレーンストーミングをやったことのない人は少ないと思うが、ブレーンストーミングをして最初に誰も考えていなかったことにたどり着いた経験のある人はそんなに多くないと思う。

なぜだろうか?プロセスにこだわりすぎて、成果のマネジメントに注意が払われていないからだ。もし、そんな問題意識があれば、この本は役に立つと思う。

宇佐美 清「右脳会議―退屈な定例会議が「宝の山」に変わる! 」、ダイヤモンド社(2009)

そんなに難しいことが書いてあるわけではないのだが、以外と、普段の会議では気がつかないような視点がたくさん、書かれている。

もう一冊、今日、読んだ本。

ケン・ロビンソン、ルー・アロニカ(金森 重樹監修、秋岡 史訳)「才能を引き出すエレメントの法則」、祥伝社(2009)

エレメントとは、「自分のやりたいことと自分の得意なことが合致する場所」という意味。場所は必ずしも物理的な場所を意味しない。そのような場所を見つけることによって、ゾーンに入ることができる。読んでいて、チクセントミハイ博士の

M. チクセントミハイ(大森 弘訳)「フロー体験とグッドビジネス―仕事と生きがい」、世界思想社(2008)

と共通する部分があるように感じたが、この本はかなり実践的である。体系化されてはいないが、フロー(ゾーン)に入るための方法を、たくさん述べている。

第61回書籍プレゼント「TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則」(8月12日まで)

まず、第60回の当選者です。当選者はこちらをごらんください。

続いて、61回。第61回は長野慶太氏の本で、長野さんのお力添えもあり、草思社の三浦さんのご厚意で、プレゼントをしていただきました。

長野慶太「TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則」、草思社(2009)

長野氏は、リーダー向けの自己啓発本の中で、エッジの効いた主張をされ、人気のある方で、この本もたいへん、はっとさせられることの多い本です。詳しくは、ビジネス書の杜にある紹介記事「「違いのわかる」ビジネスパースンの時間術」をお読みください。

応募はこちらからできます。

http://pmstyle.jp/honpo/present/20090731.htm

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2009年8月 1日 (土)

2009年7月ベスト3

先月から月間のベスト3をサイドバーに表示するようにしましたが、遅ればせながら、月が変わると、残らないことに気づきました。記録的な意味あいもありますので、今月から、サイドバーを更新するときに記事にもしておくことにしました。

ということで、2009年7月にアマゾンで売れた本、ベスト3です。

【第1位】選ばれるプロフェッショナル ― クライアントが本当に求めていること

【第2位】心のなかの幸福のバケツ

【第3位】3分でわかる クリティカル・シンキングの基本

でした。

第1位になった「選ばれるプロフェッショナル」は7月26日に日記で紹介し、まだ、紹介記事も書いていない本ですが、びっくりするくらい売れました。

すばらしい本なので、うれしいです。

それから、2位は先月、紹介したドナルド・クリフトンのポジティブ心理学もの「心のなかの幸福のバケツ」。ドナルド・クリフトンの「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす」も5位に入りました。

この本はビジネス書の杜では、こういう形でしか紹介していないのですが、アマゾンの当該ページにクロスがついているからだと思います。恐るべしアマゾンですね。

7月は、忙しかったので、紹介記事を3本しか書くことができませんでしたが、今月は、夏休みもありますので、もう少し、書きたいと思っていますので、お楽しみに。

セレンディピティのその後【ほぼ日読書日記 2009年7月31日】

昨日、この本について書いた。

マーク・シルベスター、モヒ・アメッド「リビングサービス―感動を呼ぶITサービス革新が今始まる」、日経BP社(2009)

今日、別の人から別の本を貰った。

富士通(株) Qfinity推進室「職場を変える 富士通の品質改善活動(Qfinity)」、日本能率協会マネジメントセンター(2009)

重なるときはこんなものか。と思って、ぱらぱらと見ていたら、そういうことでしたか。これも、リビングサービスというわけですか。

全くの偶然なのだが、宮永先生の新刊を読んでいたら、生産財(部品)メーカのコンシューマ向けマーケティングの必要性に触れられていた。

宮永 博史「理系の企画力!-ヒット商品は「現場感覚」から」、祥伝社 (2009)

富士通という会社は以前はナレッジマネジメントをアピールしていた。なかなか、おもしろいやり方だ。

さて、宮永先生の本。宮永先生というとセレンディピティのブームの仕掛け人で、

宮永 博史「成功者の絶対法則 セレンディピティ」、祥伝社(2006)

のインパクトが強いが、今度の新刊の方がよい。理系の現場オリエンテッドな企画方法を、かなり、体系的に述べられている。もちろん、セレンディピティと同じようにインパクトのある事例満載。新書にせずに、もっと詳しく書いてほしいような本。

理系マネジャーは読んでおきたい本。

2009年7月31日 (金)

リビングサービスは普及するか【ほぼ日読書日記 2009年7月30日】

関係者の間では結構話題になっている本を頂戴した。早速、読了。

マーク・シルベスター、モヒ・アメッド「リビングサービス―感動を呼ぶITサービス革新が今始まる」、日経BP社(2009)

内容はおもしろい。新しい時代を予感させ、わくわくする。
確かに、プロデュースとITサービスを結びつける本かもしれない。ただ、こういう抽象論をインプリメントし、発展されるには、コンセプチャルスキルの低い日本企業はすぐには取り込めないだろう。

読んでいるうちに、なんとなく、この本を思い出した。

マイケル・A. クスマノ「日本のソフトウェア戦略―アメリカ式経営への挑戦」三田出版会(1993)

この本は、東芝、日立をはじめとする、日本のソフトウェアファクトリーについてのレポートで、その後、このクスマノ博士のレポートが刺激になって、マイクロソフトがOfficeの開発でソフトウェアファクトリーを構築し、進化させた。21世紀になってから、今度は方法論として開発環境の提供を始めた。それが契機になり、また、折からの組み込みソフトウェアブームと重なり、ソフトウェアファクトリーが再び進化を始めた。このような50年の動きのターニングポイントになった一冊。

リビングサービスでマイクロソフトになるのはどこだろう。。。

2009年7月30日 (木)

サカナの場作り、ネコのイノベーション【ほぼ日読書日記 2009年7月29日】

ほぼ、1日コンサル。仕事を終えた後で1冊。

もう10年前。「フィッシュ!」で独特の「場のマネジメント」理論を披露してくれたスティーヴン・ランディン博士のイノベーション論。今度はネコ。サザエさんの世界だな。

スティーヴン・ランディン(野口吉昭監修) 「キャッツ―ネコに学ぶ組織を変える「9つの教え」」、ティー・オーエンタテインメント(2009)

ネコを

・好奇心が旺盛
・自立しマイペース
・臨機応変
・賢い
・スマート
・哲学する
・客観的に見ている

といった特徴を持つネコはイノベーションを起こす可能性が高いという。

まあ、これはこれでそれなりに納得感があるし、スティーヴン・ランディンの言っていることだからそうなんだろうと思わないでもない。

が、ネコにはこういう見方もある。

「自己実現」に幻想を持たず、出世のためにあくせくせず。滅私奉公に背を向けつつも、得意分野には爪を磨く。

この本だ。

山本 直人「ネコ型社員の時代―自己実現幻想を超えて」、新潮社(2009)

犬でだめなことは共通しているが、微妙に違う。まさに、どちらに転ぶかはマネジメントにかかっている。

2009年7月29日 (水)

マネジメントはクリエイティブの触媒【ほぼ日読書日記 2009年7月28日】

また、雨で新幹線が止まりそうな気配だったので、前日の夜、移動。新幹線車中で1冊。

ハーバードビジネスレビューに掲載されたピクサーの社長エド・キャットマルのマネジメント論。書籍のページにして70ページほどの小論であるが、非常におもしろかったし、いろいろなことを想像させてくれる。

エド・キャットマル(小西未来訳)「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたか」、ランダムハウス講談社(2009)

翻訳をした小西未来さんが、その後につけているレポートは、取材をした上で、経営学のフレームワークを使ってピクチャーのマネジメントを説明している。頭はすっきりしたが、まだまだ、隠れている部分があるような気がする。

日本では職人=聖域という前提の中で、卓越したもの作りが行われてきたと言われている。確かにそういう構図はあると思うが、実はこの構図はもの作りに限定されたものではなく、クリエイターと言われる人材全般に存在している構図。

ジブリの鈴木 敏夫さんの

鈴木 敏夫「仕事道楽―スタジオジブリの現場」、岩波書店(2008)

を読んだときにも感じたが、ピクチャーにしても管理はされているようには思えない。しかし、マネジメントは思いっきりしているし、マネジメントというのはクリエイティブにとって重要な要素になっていることとは間違いない。特に、アニメのような、クリエイターのコラボレーションにおいてはその傾向があるのかもしれない。

A級のクリエイターのいる組織にはマネジメントがあり、B級クリエイターしかいない組織にはマネジメントはない。そういう時代になっていることを痛感させた1冊。

2009年7月26日 (日)

仕組み作りの本質が分かる

4478009406 ショーエンK「「ぼうず丸もうけ」のカラクリ」、ダイヤモンド社(2009)

お奨め度:★★★★★

大学で経営学を学び、就職後も「隠れボウズ」として会計事務所に勤務し、税理士の資格を取ったという一風変わったお坊さん ショーエンKさんが書いたお坊さんやお寺のビジネスの実態を書いた本。

ぼうず丸もうけとテーマについてマネジメントリテラシーがある著者が書いているだけに、比較的ベールに包まれた宗教ビジネスの暴露を楽しみながら、事業戦略、マーケティング、人事、財務、営業、オペレーションマネジメント、税務などに応用できる、レバレッジの聞く仕組み(カラクリ)が満載。

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卓越したプロフェッショナル論を読む【ほぼ日読書日記 2009年7月26日】

版元からお送り頂いた本。

大橋禅太郎「行動力・力」、サンクチュアリパプリッシング(2009)

さっと読んだが、刺激的なセンテンス、興味を引かれるセンテンスに出会う度に、おっと思ったり、きょとんとして、とりあえず、次に進んでいるうちに、終わってしまった。

読み終わって印象に残ったのは、リッツカールトンのクレドの個人版「マイ・クレド」とコヴィーの優先順位マトリクスを、大橋禅太郎流に書き直したもの。この2つで、信念を持って、戦略的に行動をせよってこと。

確かにそうだなと思う。きちんと読めたわけではないが、結局、この本の内容はこの大橋禅太郎流に集約されるのだろう。すごい○○も突き詰めればそう言っているわけだし、これが大橋さんの信念ということなのだろう。

もう一冊。こっちは自腹。

ジャグディシュ・シース、アンドリュー・ソーベル(羽物 俊樹訳)「選ばれるプロフェッショナル ― クライアントが本当に求めていること」、英治出版(2009)

ずっと読みたかった本なので、よくぞ、翻訳してくださいました。実は、原書を買っていたのだが、英語が難しくて、断念。日本語の訳を読んでもよく分からないところが結構あったが、とりあえず、最後まで読めて満足。

10年前の本であるが、今、まさにプロフェッショナルに求められている、共感力、コラボレーションなどの重要性を説いていることは先見の明だな。

この本は紹介記事を書きたい。最近、空手形が多くて、あまり、当てにならないけど。

「違いのわかる」ビジネスパースンの時間術

4794217064 長野慶太「TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則」、草思社(2009)

お奨め度:★★★★★

時間管理に成果の管理を統合し、具体的な方法論にまで展開した、時間術の本。これまでの時間術本とは一線を画する一冊。

僕は時間術の本は読まない主義であるが、にも関わらず、共感を持って読め、みさなんにお奨めしたい一冊。

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決断力はどのように生まれるのか【ほぼ日読書日記 2009年7月25日】

ノール・ティシーとウォレン・ベニスという、リーダーシップに興味を持つ人なら、ゴールデンコンビの共著。

これは読んで置かなくては思って、課題書を読むような感じで、読み出したが、思いのほか、実践的だった。人事、戦略、危機を決断の3大エリアとして、事例を紹介している。読んで気づいてくれと言う感じの構成。

ノール・ティシー、ウォレン・ベニス(宮本 喜一訳) 「JUDGMENT 決断力の構造―優れたリーダーの思考と行動」、ダイヤモンド社(2009)

ほ~っと思ったのが、最後に100ページ近くのページをさいている「決断力を向上させるためのハンドブック」。

たいへん、実践的だと思う。決断と言うことに関しては、日本人と欧米人でかなり、考え方の違いがあるところだと思っていたが、このハンドブックを眺めてみて、分析的に捉えてしまえば、そんなに違うものではないことがよく分かった。

2009年7月25日 (土)

宋 文洲と藤巻 幸夫の新刊を読む【ほぼ日読書日記 2009年7月24日】

またまた、ため日記になってしまった。

7月21日に東京に移動。この際に読んだ本。

長野慶太「TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則」、草思社(2009)

この本は、次のプレゼントです。事情があって、先に紹介記事をかいているので、そちらを読んでください。

「ちがいのわかる」ビジネスパースンの時間術

もう、一冊。

徳谷 昌勇「監査役の条件―8つの新発想でリスクマネジメントを使いこなす」、東洋経済新報社(2009)

この本は、監査役の活動を念頭において、内部統制のリスクマネジメントをとても丁寧に解説してあるので、非常に参考になった。

プロジェクトマネジメントでは、プロアクティブリスクマネジメントが常識であるが、経営組織の内部統制でも、そのような方向に向かっていくことが、明確に分かり、よい本。

東京滞在中は全く本を読まず。24日に京都に戻る新幹線の中で、東京で買った本を2冊読む。

宋 文洲「社員のモチベーションは上げるな!」、幻冬舎(2009)

相変わらずの宋文洲流。

彼のすごいところは、あまり人が言わないような視点から言っていること。この本言っていることはスポンサーシップ論(内発的動機論)である。が、彼独特の視点から書かれているので、たいへん、印象に残る。書籍タイトルも相当なものだが、たとえば、

「ホウレンソウ」の徹底が責任転嫁を生む

という指摘があって、これを下手にやると、責任逃れが蔓延するような組織になってしまうと言っている。こういう現実をみた指摘がやまほどあって、それぞれについて解決策を述べている。それをすべて併せてみると、結局、最近注目さてているスポンサーシップということになる。

もう一冊。こちらも、ファンの多い著者。

藤巻 幸夫「絶対に仕事が楽しくなる ポジティブシンキングの授業 (ビジネスマンの学校)」(2009)

最近、凝っているポジティブ心理学の実践として一つ一つの項目が非常に参考になった。グッドジョブ。最近の何冊かと比べると、この本に書いてあることはその気になれば誰でもできることが多い。それは藤巻さんだからできるんでしょというようなことがあまり書かれていない。

誰でもできるというか、似て非なることをやっているのを、ちょっと気持ちを切り替えてやるといいよって教えてくれる。この辺が、授業なるゆえんだろうか。

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