★イノベーション戦略ノート Feed

2014年9月10日 (水)

【イノベーション戦略ノート:051】イノベーションには「立ち止まる」ことが必要

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Teisi

◆イノベーションには「立ち止まる」ことが必要

先日、ケヴィン・キャッシュマンの「優れたリーダーは、なぜ「立ち止まる」のか」(英治出版、2014)という本を読んでいて、その通りだなと思ったことがある。それは

心と体に睡眠が必要であるように、リーダーシップとイノベーションには「立ち止まる」ことが必要である。

具体的に「立ち止まる」ことが何を意味しているのかは本を読んでもらうとして、少し、これに関連して常日頃感じていることを書いて見たい。



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2014年9月 9日 (火)

【イノベーション戦略ノート:050】ニーズとウォンツ

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Needs_2◆ニーズに聞いても分からない

ニーズをウォンツは違うという話は30年前からある話だが、ここにきてまた、話題になることが多くなった。それは、デザインや行動観察に関心が高まってきたためだ。

昔からある話は、ニーズは顧客やユーザに尋ねるものではない。開発者が考えるものだ。という話。考える方法の一つに市場調査があった。市場調査をして、その結果からニーズを分析する。

ところが、特定の状況を除いて市場調査には極めて高い想像力が必要である。特定の状況と書いたのは、後追いをする状況である。後追いをする分には、先行の商品の機能やせいぜい改善的プラスアルファを調査範囲にしておけばよい。

ところがトップを走りだすとそうはいかない。ゼロから新しいものを考えることになる。すると、市場の調査の範囲も想像(創造?)しなくてはならなくなる。日本の多くの企業はまず、ここで躓いたように思う。

そこで、始めたのが顧客の声を聞くという話。市場ではなく、個々の顧客をインタビューなどで聞くようになった。

ここで問題になるのが何を聞くかである。ニーズを聞いても答えは返ってこない。たとえば、顧客にどんなクルマが欲しいですかと答えは返ってこない。当然のことだ。

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2014年9月 8日 (月)

【イノベーション戦略ノート:049】改善の延長線上にイノベーションがあるトヨタの発想のすごさ

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Prius

◆トヨタの問題解決

前回イノベーティブリーダーとは何かという話題の中で、ソリューションとイノベーションは違うという趣旨のことを述べたところ、ちょっとした反論(?)があった。それは、どこに境界があるのかという疑問だった。

その方がメールで述べていたのは、「トヨタの問題解決」という本の中に書かれていたことを引用されていたので、この本に書かれていることを紹介しつつ、僕の見解を述べたい。

トヨタの問題解決に何が書いてあるかというと、トヨタでは問題解決は2通りあると考えられており、

・現実に起こっている問題に対する発生型問題解決
・目標設定を上げたときに起こる問題に対する設定型問題解決

の2つがある。これらの対応責任は現場にあるのだが、これ以外に主に工場長などの幹部が責任を持つ問題に「ビジョン指向型問題解決」というのがあるそうだ。

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2014年9月 2日 (火)

【イノベーション戦略ノート:048】イノベーティブなリーダーとは

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Innovative

◆リーダーシップとマネジメント

このメルマガではイノベーティブ・リーダーという言葉を使っているが、ある人がリーダーというのは本来イノベーティブなものではないかと指摘されたことがある。

そのとおりで、新しいことをする人がリーダーだということを強調するために敢えて「イノベーティブ」という言葉を使っている。

今更だが、今回の戦略ノートはメルマガで使っている「イノベーティブ・リーダー」という言葉の共有をしたいと思う。

まず、最初に皆さんはリーダーシップとマネジメントの違いをどのようにお考えだろうか。いろいろな意見はあるが、今、もっとも一般的に受け入れられているのは

マネジメント:現在のシステムを機能させ続けるために、複雑さに対処することリーダーシップ:現在のシステムをよりよくするために、変革を推し進めること

というものである。

マネジメントは現在のシステム(ルール、プロセス、ビジネスモデル)を機能させ続けることが目的であり、新しい問題が起こったときに、どのように現在のシステムの範囲で対応するかという問題解決を行う。一方で、システムそのものを変えようとする変革を行うことがリーダシップである。

一例をあげると、よく稟議のスピードが問題なるが、あるプロジェクトで今の稟議のルールではどうしても時間がかかって納期が厳しいということで稟議の際には事前に予定を告知し、持ち回りすることにした。これはマネジメント的な対応である。

別のプロジェクトでは、同じ問題に対してルールそのものを変えて稟議の決裁者数を少なくした。これはリーダーシップ的な対応である。

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2014年9月 1日 (月)

【イノベーション戦略ノート:047】月を撃ち落とすイノベーションの起こし方

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Moon

◆自動運転車というイノベーションはなぜ起こるのか

前回技術とイノベーションの関係について書いたが、技術プッシュの問題の根底は戦略にある。企業の活動をどのように見るか、現実をどのように見るかという問題はあるが、企業(カンパニー)の活動を部分最適を目指す活動の集合とみれば、イノベーションの課題は前回のように部分として技術と顧客ニーズをいかに統合するかという議論になる。

現実の度合い、事業の広さなどの問題はあるにせよ、企業活動を全体最適を目指すものだとみれば、イノベーションは(事業戦略)にしたがって行われるものだということになる。イノベーション戦略ノートの第11話に

経営戦略とイノベーション

という記事を書いたが、この世界になるわけだ。

今回のイノベーション戦略ノートはその上でという話である。

こういう文脈では出てこないイノベーションというのがある。たとえば、今、自動運転車で大きな話題になっているグーグルのイノベーションを考えてみよう。



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2014年8月27日 (水)

【イノベーション戦略ノート:046】技術と顧客ニーズを統合する

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Gijyutu2

◆技術はA級戦犯か?

日本の製造業は長年技術だけを価値創造の手段として捉えてきた。技術プッシュを伴うプロダクトアウトである。そして、その戦略は行き詰まり、マーケットインの戦略をとるようになった。つまり、市場や顧客の声を十分に聞き、それを実現することによって新しい価値を創造しようとした。

顧客のニーズの中には技術開発が必要なものも多かった。そのような技術開発をしてまで対応したが、うまく行かなかった。エレクトロニクス業界のようにたどり着いたところはガラパゴスという業界もあった。

このような経験から、イノベーションとは技術革新を意味しているわけではない、技術では価値創造できない、イノベーションとは組みわせにより新しいビジネスモデルを作り上げることだといった考えが中心になっている。

技術が日本に革新的な製品やサービスが生まれないA級戦犯になりつつある。

しかし、技術で価値創造しているところに問題があるわけではない。問題はその価値創造のやり方にある。

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2014年8月26日 (火)

【イノベーション戦略ノート:045】イノベーションの失敗コストを管理する

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Yosan

◆伊藤穣一さんの名言

「イノベーションを増やしたいなら失敗のコストを下げなければならない」

これはMITメディアラボの伊藤穣一さんの指摘である。名言だし、極めて真っ当な指摘であるが、残念ながらこのような発想のマネジメントには日本ではなかなか、お目にかからない。

発想の近いマネジメント手法がないかというとそういうわけでもなく、たとえば、日本でも徐々に普及してきたリーン製品開発と呼ばれる手法の中に、セットベース開発という手法がある。

セットベース開発とは、構想段階で多くの代替案を並行検討し、徐々に絞り込み、最終的には一つの案に集約する開発方法である。普通に考えると、代替案の個数は開発コストに比例するが、セットベース開発では、初期の段階で代替案の検討を低コストで行う方法を検討し、その方法で検討を行う。さらに、採用されなかった代替案の検討で得られた情報は知識として共有され、他の開発に活かされる。この2つの工夫により、コストを抑えることができる。

見方によっては失敗した技術経験を知識化し、活用しており、これだとかなり大胆な製品仕様ができ、イノベーションに失敗を活かすには合理的な方法になっている。

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2014年8月25日 (月)

【イノベーション戦略ノート:044】なぜ、イノベーションはワクワクしないのか

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Wakuwaku◆イノベーションにワクワク感はない

4年くらい前に、「プロジェティスタ研究会」という研究会をやっていて、その研究会主催で「仕事をワクワクする」というテーマでワールドカフェを行ったことがある。ワクワクというのは、内発的な動機、ダニエル・ピンクのいうところのモチベーション3.0である。東京で2回、関西で1回行った。

そのときに印象に残ったのは、ワクワクする状況として、新しいことをやるとか、社会に貢献するといったワードが少なかったことだ。逆に

・主体的にできる
・成果が実感できる

といった発言が多かった。研究会としては、これを承認欲求であり、内発的動機ではないと判断した。

つい最近、ある場で同じような話を聞いた。「イノベーション」という言葉にはワクワク感を感じないという話だ。ずっと頭のどこかに引っかかっていた話だったので、やっぱりそうかというのが正直なところだった。

僕はもともと技術者なので、(いろいろなレベルがあるが)人がやってしまったことは興味がないとか、社会に役立たないことはやりたくないといった発想が強い。だから、イノベーションという言葉には社会を影響を与えるという意味でワクワク感を感じるし、感じない人の感覚は理解できない。

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2014年7月29日 (火)

【イノベーション戦略ノート:043】好き嫌いから始めるイノベーション

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Suki

◆経営者とイノベーティブ・リーダー

楠木建先生の「好き嫌いと経営」(東洋経済新報社)という本が出た。問題の立て方が楠木先生らしく斬新で、仕事には誘因(インセンティブ)と動因(ドライバー)があるという。経営者になるまでは誘因があるが、一旦経営者になってしまうと誘因はその地位を保つくらいしかなくなる。その中で経営者として行動していくにはこれをやりたいという動因が必要である。

そして動因を形成する要因は「好き嫌い」であるというもの。このロジックで、日本電産の守永さん、ユニクロの柳井さんなど、独特の経営を展開している14名の経営者に好き嫌いを中心にインタビューを行い、それぞれの経営者の動因を分析している。経営者でなくても非常に面白いので、ぜひ、読んでみてほしい。

さて、この本で取り上げられているほとんどの経営者は創業者や新規事業の立ち上げに成功した人であることを考えると、イノベーティブ・リーダーにも同じことが言えるのではないだろうか?今回はそんな文脈でこの問題を考えてみたい。



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2014年7月22日 (火)

【イノベーション戦略ノート:042】クロスインダストリー・イノベーション

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◆アディダスのサッカーシューズ

Kurosu

サッカーのワールドカップで、ユニフォームより目立ったのがシューズだ。

かつてアディダスがランニングシューズを開発する際に、素材開発をするために同じような課題を持つ分野、つまり耐久性とコントロールを高めたいと考えている分野を探した。そこで目を付けたのが、ボールが生地に直接当たり、かつ記事がボールのコントロールに影響を与える球技であるサッカーだったという。そうして生まれたのがサッカーでは全世界で人気を誇る「プレデターパルス」だった。

そして、「プレデターパルス」で使われている素材はランニングシューズでも使われている。



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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。