プロジェクトマネジャーの秘密 Feed

2009年10月13日 (火)

【補助線】リスクを制約条件として捉える意味

◆制約条件は6つ

PMBOKのプロジェクトマネジメントの対象となる制約条件が、従来の3つ(4つ)から6つに変わった。

・スコープ
・品質
・スケジュール
・予算
・資源
・リスク

説明としては、これらの要素は相互に影響を与えるため、そのバランスが重要であるという説明にとどまっているが、なかなか、興味深いのは5つのベースラインに加えて、リスクが入っていることである。

他の5要素が変わるとリスクも変わるので、リスクも併せてどうするかを考えなさいといえば一見当たり前のように思えるが、実はそうでもない。

続きを読む »

2009年10月 8日 (木)

【補助線】プロジェクトマネジメントエグゼクティブ

◆プロジェクトマネジメントエグゼクティブとは

企業(組織マネジメント)には、エグゼクティブと呼ばれる人たちがいる。

エグゼクティブとは、組織運営に関して、「重要かつ決定的な意思決定を行っている人たち」で、一般的には上級管理職、経営幹部、重役などを指す言葉である。

これと同じようにプロジェクト(プロジェクトマネジメント)にもエグゼクティブと呼ばれる役割の人がいる。

プロジェクトマネジメントエグゼクティブの役割は

「プロジェクト運営に関する重要かつ決定的な意思決定を行っている人たち」

である。これは一体誰だろうか?

プロジェクトマネジャー?
プロジェクトマネジメントオフィス?
上位管理者?

続きを読む »

2009年10月 6日 (火)

【補助線】「目的を変えても仕事を続ける」謎

◆ダムを造ることが目的なら、プロジェクトを中止する理由はない

ダム建設中止の是非が大きな問題になってきた。住民は、今の「中止ありき」で協議をしていくという方法に激しく反発している。

ダムのプロジェクトではダムを造ること自体を目的にしているわけではない。たとえば、熊本の川辺川の場合だと、ダムを造る目的には、治水、水源(かんがい)、発電の3つの目的があるとされる。時代が経てば、状況が変わり、目的が消失することがある。当たり前の話だ。3つある目的のうちの治水だけが残っている。

当然、投資対効果が変わってくるし、目的が変わるということはプロジェクトとしては仕切り直しをすることを意味する。しかし、仕切り直しをすることなく、40年継続された

この問題の構図ははっきりしている。戦略的にプロジェクトを進めようとせず、「実行ありき」なのだ。目的というのはある意味でどうでもいいのだ。ある意味というのは、必要ないというとではない。「実行ありき」で、目的は実行するための「理由」に過ぎないということだ。従って目的が変われば、仕切り直しするという理由はない。

つまり結果としてか、確信犯かは別にして、ダムを建設すること自体が目的だったということになる。

よく走り出したプロジェクトは中止できないというが、目的が「ダムを造ること」だとすれば、中止する理由などないわけである。この点をよく押さえておいてほしい。

続きを読む »

2009年9月18日 (金)

【補助線】マニュフェスト考

◆「計画」に対するマインドセット

いよいよ、鳩山政権が発足した。政権交代もさることながら、なんと言っても「理系」それも、経営工学でStanfordのPh.Dを持つ鳩山由起夫氏が日本のリーダーになることが注目だ。良くも悪くも、社会の価値観や風土が変わるのではないかと期待が高まる。

ビジネス上で考えてみたときに、理系と文系の違いで目立つのは、(構想も含む広い意味での)計画に対する感覚だと思う。いいか悪いかは別にして、日本人のビジネスマンは「計画は計画、実施は実施」と考える傾向が強い。良くも悪くも人に依存した仕事の進め方をする。Aさん、Bさんの計画は単に計画に過ぎないと考える。リスクマネジメントまでを計画ベースで行うプロジェクトマネジメントが普及してきても、この計画に対するマインドセットはあまり変化していないように思える。ここが変われば相当な社会的インパクトがある。

続きを読む »

2009年9月 8日 (火)

PMサプリ立読み「PMサプリ186:速くやるために準備に時間をとる」

速くやりたい。だからこそ、準備に時間をかける(大木豊成、エクスアーツ常務取締役)

【効用】
・PM体質改善
  創造力アップ、バランス感覚の洗練、顧客感度アップ、問題解決能力向上、
・PM力向上
  チームをまとめる力の向上、ピープルマネジメント力向上、リスク対応力向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気向上

立ち読みしたい人は、「続きを読む」をクリック!

ずっと読みたい人はこちらから申し込む!

=====

続きを読む »

2009年9月 7日 (月)

【補助線】アクティブ・ノンアクションという問題

◆不毛な忙しさ

プロジェクトマネジメントの成熟が大きな課題になってきた。

プロジェクトの成熟度を考える上で、どうしても見逃せない問題がある。

プロジェクトマネジメントを導入した組織で、マネジャー(課長)やシニアマネジャー(部長)が忙しくて、そんなやり方はできないという問題である。

前々回、前回と述べてきた計画によるガバナンスの仕組みをとってみても、マネジャーやシニアマネジャーがプロジェクトスポンサーとして機能しない限り、仕組みは十分に機能することはなく、無理に機能させると、今度はプロジェクトマネジャーにより負荷がかかり、肝心のプロジェクトマネジメントが十分にできないという悪循環が生じる。

確かに、プロジェクトを管理する立場にあるマネジャーやシニアマネジャーは忙しい。ここで一つ考えたいことは、「アクティブ・ノンアクション」という現象に陥っていないかということだ。アクティブ・ノンアクションは日本語では行動的な不行動とか、不毛な忙しさと訳され、スマントラ・ゴシャール先生が『意志力革命』で指摘した現象で、多忙ではあるが目的を伴う意識的行動をとっていないことを言っている。

続きを読む »

2009年8月25日 (火)

【補助線】プロジェクトにおける例外管理

◆例外管理は基本中の基本

当たり前すぎて、今ではあまり語られることのなくなってきたマネジメントの原則に「例外管理(Manegement By Exception)」という原則がある。

金井 壽宏、岸良 裕司「過剰管理の処方箋 自然にみんながやる気!になる」、かんき出版(2009)

では、

=====
組織には、それまでの経験から、マニュアルや標準業務手順などの形で知識が蓄積されている。管理者はそれをうまく活用して人を動かす。マニュアルは曖昧さがないほど望ましいとされ、それを管理者は部下に渡しておく。「あとは任せた」でいければ、うまくいっている証拠で、管理者は介入しない。うまくいかないとき、つまり、マニュアルに書いていない例外的事象が起きたときだけは、管理者は「俺の指示を聞け」という。
=====

と説明されている。この本では、さらに、最近では例外が多すぎたり、また、例外に対して、経験が常に役立つとは限らない時代になってきたので、例外管理という考え方は現実的ではなくなり、経営学の教科書にすら、あまり出てこなくなった、でも、イロハのイとして、意識しておくべきことだと指摘されている。

続きを読む »

2009年8月18日 (火)

【補助線】プロジェクトの数字は生きているか?

◆生きた数字と形骸化した数字

あるビジネス書を読んでいたら、「生きた数字」という表現が出てきて、はっとした。

内閣府が17日に2009年4―6月期国民所得統計を発表した実質国内総生産(GDP)は前期比プラス0.9%、年率換算プラス3.7%である。この数字を見て、景気は回復したんだと思う人は少ないのではないかと思う。

なぜだろうか?おそらく、リーマンショックからこの1年、毎日のように景気対策、景気対策と繰り返し報道され、4回も予算を組んでいる。

国の補正予算というのは、企業でいえばリストラと同じ位置づけである。普通、リストラというのは一度やって、短期間に二度目のリストラをやるときには経営指標がいくら上向いていても、その企業は危ないと思われても仕方ない。

そんなことを連想させる景気対策があり、いくら、GDPが上がっても、その数字を額面通りに受け取れない。形骸化とまではいわないが、生きている数字だとは思えない。この数字を生かすためには、この数字の背後にある情報が必要である。

続きを読む »

2009年8月 8日 (土)

【補助線】プロジェクトマネジメントの目的を実現する三位一体プロジェクトマネジメント

◆プロジェクトマネジメントの目的はQCDSの目標達成だけか?

語られて尽くしているようで、実は以外に語られていないのではないだろうか?以前、一度、このような記事を書いたら、考える意味が分からないというコメントを貰ったことがあるが、何をやるにしても、目的を持ってやることは前提であり、その意味でなぜ、考えるかという議論は意味がない。

さて、語られているいると考える人は

 プロジェクトを成功させること
  →成功の定義はプロジェクトごとのQCDに対する目標の達成

という方が多い。これが間違っているとは思わないが、本当にこれだけが、プロジェクトマネジメントを行う目的だろうかという疑問はある。

QCDの目標の達成というのは、ある意味で現場の目的に過ぎない。ある意味でと書いているのは、そのようなQCDに対する要求(制約)はそもそもは経営的な要求から出てきているわけだから、これが経営的な目的であることは間違いない。

が問題は、これは、目的として十分条件なのかという点。おそらく、多くのプロジェクトにおいてQCDの目標達成は現場が考える目的で、必要条件の一つに過ぎないのではないだろうか。

ちょっと脱線するが、これを必要十分条件だと考えていると、プロジェクトマネジメントなど行う必要があるのかという議論になりがちである。確かに、QCDの目標達成だけを目的とするのであれば、プロジェクト全体のことを考えなくても、開発マネジメント、プロセスマネジメントだけで十分に足りることは多いのも事実だ。

続きを読む »

2009年8月 4日 (火)

【補助線】なぜ、プロジェクトマネジメントの効果がでないのか

◆プロジェクトマネジャーの組織上の地位

プロジェクトマネジメントもその企業なりに自社の考えに合わせて調整し、定着の兆しが見えてきた。一方で、一定の効果は認める企業が多いが、戦略の実行支援手段として有効かと聞くと、首をかしげる人が多い。マーケティング(商品開発)や一品モノの生産といった「オペレーション」の品質を向上させる手段としては機能しているのだが、経営的な効果は顕著には見られないというのが、この5年くらいの総括ではないかと思う。

この問題については、いろいろな視点からの原因分析が可能であるが、ここでは、プロジェクトマネジャーのスキルという視点からもう一度、考えてみたい。

IT系の企業が典型的な例であるが、業務の大半をプロジェクトとして運営している企業においては、プロジェクトマネジャーはマネジャーの下位の職に位置づけているケースが多い。単純にいえば、

プロジェクトマネジャー 係長クラス
プロジェクトスポンサー マネジャー、シニアマネジャークラス

というパターンだ。このような担当は業務分担からすると自然であるし、また、事業実態から考えても現実的である。まず、これを頭に入れておいてほしい。

続きを読む »

PMstyle 2024年4月~7月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。