2011年8月 2日 (火)

プロジェクトマネジメントの新しい「基本」

4534048483 このブログのオーナー、好川哲人の新刊「プロジェクトマネジメントの基本」が本日、発売になりました。ブログやメルマガ、facebookに断片的に書いてきたことを、基本というコンセプトで整理しました。

プロジェクトマネジメントにはその目的に応じて2つのタイプがあります。

一つは、目標が決まっていて、目標を制約条件の範囲内で達成することを目的にしたプロジェクトマネジメントです。このタイプの代表的な手法はPMBOKで、主として現場のオペレーションに使われる手法です。PMstyleでは、これをPM1.0と呼んでいます。

もう一つは、プロジェクトの目標そのものをステークホルダと合意しながら決定し、その目標を達成していくことを目的としたプロジェクトマネジメントです。このタイプには、ソフトシステムズ方法論や戦略アラインメントなどいくつかの手法はありますが、PMBOKのような代表的な手法はありません。また、体系的にまとめられた書籍も海外では結構な点数がありますが、日本では、あまり見あたりません。

こちらの手法は、企業においては経営のオペレーションを現場活動に落とし込んで実行するために活用される手法です。PMstyleでは、PM2.0と呼んでいます。

この本は、PM2.0の「基本」をまとめたものです。

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【戦略ノート261】組織的コミュニケーションでやらされ感を払拭する

◆3つのプロジェクトコミュニケーション

Strategy2 プロジェクトマネジャーのもっとも重要な役割を一つだけあげるとすれば、コミュニケーションマネジメントである。この持論はもう5年くらい変わらない。

プロジェクトのコミュニケーションには3のタイプある。

一つは、作業上必要なコミュニケーションである。これを手段的コミュニケーションという。要求や仕様に関するコミュニケーション、作業進捗に関するコミュニケーション、問題やリスクに関するコミュニケーションなどがこれに該当する。この種のコミュニケーションは一般にはホウレンソウと呼ばれ、プロジェクトコミュニケーションというと、これを思い浮かべる人が多い。

二つ目は、動機づけやチームビルディングを目的にしたコミュニケーションである。これは充足的コミュニケーションという。ホウレンソウがコミュニケーションが手段であるのに対して、このタイプのコミュニケーションはコミュニケーション自体が目的であるところに特徴がある。

三つ目は、組織的なコミュニケーションである。たとえば、プロジェクトの背景、戦略、戦略ゴール、あるいは、プロジェクトの目的、顧客の想いなど、メンバーが意識しなくてはならないプロジェクト目標の背景にあるものに関するコミュニケーションである。

このタイプのコミュニケーションは行われているといえば、行われている。たとえば、キックオフミーティングで、これらのことは一式まとめて話をするプロジェクトは少なくない。しかし、戦略ゴールやプロジェクト目的などは、そもそも、形式的に表現されたものを聞いてもそれで理解したということにはならない。それらがプロジェクトのメンバーの活動と結びつき、腹に落ちてはじめて理解できたといえる。

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サプリ277:経営の全体を綜合せよ

経営の全体を綜合せよ(ピーター・センゲ、MIT経営大学院上級講師)

【成分】

◆なぜ、プロジェクトは重要か
◆プロジェクトと定常業務
◆戦略に託した経営の意図を読み取る
◆鍵を握るプロジェクトスポンサー

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サプリ276:制約があるなら、それを乗り越えればよい

制約があるなら、それを乗り越えればよい(鈴木友也、トランスインサイト代表)

【成分】

◆メジャーリーグではオーナーは経営者
◆規制と制約
◆制約をどう受け止めるか
◆制約を乗り越えないと縮退する
◆1位を狙うから2位になれるという理屈

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2011年7月29日 (金)

【戦略ノート260】大規模プロジェクトのマネジメントには概念化スキルが不可欠

◆マネジャーの3つのスキル

ハーバード大学教授のロバート・カッツは、マネジャーの能力を

(1)テクニカル・スキル、
(2)ヒューマン・スキル
(3)コンセプチュアル・スキル

の3つに体系化した。

テクニカルスキルは業務スキルで、プロジェクトマネジャーであれば、PMBOKのようなものだ。ヒューマンスキルは、コミュニケーションスキル、交渉スキル、モチベーションスキルなど、人間力に相当するものだ。コンセプチュアルスキルは概念化スキルとも呼ばれ、物事を概念化して捉えたり、抽象的に物事を考えたりする能力のことである。

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2011年7月25日 (月)

PMO2.0のためのパフォーマンスコンサルティング入門(6)~パフォーマンスコンサルティングの問題解決プロセス(後)

◆はじめに

前回は、パフォーマンスコンサルティングの問題解決プロセスのSTEP1として

・ビジネス成果のあるべき姿
・パフォーマンスのあるべき姿

について述べた。次のステップは、現状を分析し、ビジネス成果とパフォーマンスのギャップを明確にすることである。

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2011年7月24日 (日)

【補助線】アナログ放送の終了日にプロジェクトXについて考えた

◆テレビの紆余曲折

今日でアナログ放送は終了。歴史的な日だ。

テレビで、いろいろと回顧特集をやっていた。その中で、たかじんの「そこまで言って委員会」で、田原総一郎さんや、池田信夫さんがでてきて、レギュラーメンバーと面白い議論をしていた。口火を切ったのは、田原氏。田原氏が社会に出た時代のテレビというのは、新聞社を落ち、出版社を落ち、でもマスコミにという人がテレビに行った。格も低く、テレビだから(仕方ない)という理由で何でも許された。イロモノだ。そういう時代だったそうだ。

池田信夫さんの時代は、テレビは根付き、よい人材が入ってくるようになってきた。そして、テレビは全盛期を迎える。特に、NHKはアカデミックな人たちも含めて、出演がステータスになったそうだ。

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2011年7月20日 (水)

【補助線】PM1.0とPM2.0との違い

プロジェクトの区分はさまざまな方法があるが、プロジェクトマネジメントを考慮したときに、

・ゴール(目標)
・ソリューション(目標達成方法)

に注目して整理すると分かり易い。


つまり、プロジェクトの目標(ゴール)が明確かどうか、および、目標の達成方法(ソリューション)が明確かの2軸でプロジェクトを区分するわけだ。

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2011年7月19日 (火)

サプリ275:物語なき数字は意味がない

数字なき物語も、物語なき数字も意味はない(御手洗富士夫、キヤノン会長)

【成分】

◆注目されるストーリー
◆計画に意図はあるか
◆計画とストーリー
◆ワークパッケージレベルでストーリーを語れ

 

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【戦略ノート259】アクティブ・ノンアクションと概念化スキル

◆アクティブ・ノンアクションとは

アクティブ・ノンアクションという概念がある。2年くらい前に、プロジェクトの補助線ブログにこんな記事を書いたことがある。

アクティブ・ノンアクションという問題

簡単にいえば、「忙しいけど、忙しさに見合う成果がでない」現象をいう。スマントラ・ゴシャール先生が著書『意志力革命』で言及し、目的を伴う意識的行動をとっていないことがその原因だと指摘している

確かに、このような現象の原因に目的意識の欠如があるというのはその通りだと思うが、では、目的意識の欠如を引き起こす原因はなんだろうか。



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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。