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2021年3月17日 (水)

【コンセプチュアル講座コラム】目的を決めるというセンスメイキング

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceputual_col/

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Sensemakiing3

◆センスメイキングとは

あるプロジェクトのプロジェクトリーダーをやってくれないかと打診されたときに、多くの人は自分とってそのプロジェクトを担当することがどんな意味があるのかと考えると思います。

これは、プロジェクトの目的は上位組織が決めるものだと思っているからですが、本当にそうなのでしょうか?

これは「センスメイキング」の問題です。センスメイキングとは

「自身の文化の土台になっている先入観や前提を捨て去り、対象世界の文化を調べ、全方位的に理解し、意味付けをすること」

です。センスメイキングについては、詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事をお読みください。

【PMスタイル考】第161話:「役に立つ」から「意味がある」へ
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2020/01/post-f031.html

【PMスタイル考】第143話:ソリューションからセンスメイキングへ(2020/03/23改訂)
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/01/post-8d6e.html

さて、ここで一つ、大きな問題が出てきます。それは、センスメイキングは誰が行うのかという問題です。この問題をプロジェクトにおいて考えてみましょう。


◆センスメイキングを誰がするのか

プロジェクトにおいては意味は目的です。つまり、プロジェクトの目的設定をするのは誰かという問題になります。

冒頭に述べましたように、プロジェクトリーダーを打診されたときに、自分にとってどういう意味があるのか、簡単にいえばそのプロジェクトを引き受けることが自分のキャリアや経験にどのように役立つのかを考えます。ところが、そのプロジェクトが事業や企業、あるいは組織にとってどのような意味があるのかはまず考えません。それを考えるのはプロジェクトではないと考えているからです。

言い換えると、事業部や企業はプロジェクトに何らかの意味があるから行うという前提でプロジェクトのことを考えているのです。実際に多くのプロジェクトは経営計画として実施を決め、予算を付けるのである意味で当然です。

しかし、本当にそれだけでいいのでしょうか。そこで納富の問題が出てくるわけです。例えば、組織の考えている通りだと、自分のキャリアにあまり役に立たないとすればどうでしょう。多くの人は心の中では断りたいと思いますが、断れなくてこれも経験だとか考えて担当するでしょう。


◆目的に関する勘違いと正しい認識

こういう展開になるのは、理由があります。それは、プロジェクトの目的を考えるのは組織であるという前提です。プロジェクトに限らず目的に関する思い違いはいくつかあります。

・目的は見つけるものである
・目的は一つしかない
・目的は普遍的なものである

といったものです。この前提で考えると。確かに経営計画で組織が決定したプロジェクトの目的を決めるのは組織の役割ということになります。しかし、目的はそういうものではありません。上の思い違いになぞらえて書くと

・目的は考えるものである
・目的は2つ以上あっても構わない
・目的は時間とともに変わることがある

となります。これを前提にして考えると、プロジェクトの目的は組織がつくるというのはナンセンスです。プロジェクトの目的はプロジェクトが考えるものです。もちろん、予算の問題も含めて、組織が経営計画に託している思いを実現する形でです。

このように考えると、目的をつくるのはプロジェクトリーダーの一番重要な役割です。つまり、どういう目的でプロジェクトを実施すれば、主要ステークホルダーに価値が生まれるのかを考え、プロジェクトのデザインをすることこそ、プロジェクトリーダーのスキルです。


◆統合思考で目的を統合する

このためのスキルの中でもっとも重要なのは、統合のスキルです。少なくとも

・プロジェクトリーダーを引き受けるときに頭に浮かんだ目的
・メンバー一人一人の目的(チームの目的)
・経営的目的

の3つは実現できる目的でなくてはなりません。できれば、これ以外にも主要ステークホルダーの目的が実現されるとよいでしょう。具体的な方法は「コンセプチュアルスタイル考」をお読みください。例えば、この記事です。

【コンセプチュアルスタイル考】第21話:多様な意見を統合した新しいアイデアを生み出す
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2016/03/post-a2cb.html

コンセプチュアルスタイル考
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9984019/

一つの例をあげれば、P&Gの例があります。P&Gの名経営者の一人である、アラン・ラフリーは、CEOに就任したときに、業績の悪化する中で、コスト削減で乗り切ろうとする人たちと、画期的な製品を開発して乗り越えようとする人達の対立に頭を悩ませました。

そして、コスト低減に徹底的に取り組み、一方でイノベーションを強化し、画期的なヒット商品をいくつか生み出し、業績を回復しました。

そのための方策として、重要性の低いイノベーションを外注するという常識はずれの策をとったのです。これが統合です。統合というと、多く人が思い浮べるのは「いいとこどり」ですが、いいとこどりではまず、複雑な問題は解決できません。

対立する意見の本質を見抜き、本質を満たしながら問題を解決する方法を考え出す必要があります。このような思考スキルはコンセプチュアル思考の中で「統合」と呼ばれるものですが、ステークホルダーが満足するような目的を考えるには、統合するセンスを身につける必要があります。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。