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2021年2月15日 (月)

【コンセプチュアル講座コラム】VUCAをチャンスに変える

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceputual_col/

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Chance

◆コロナテック

コロナにテックで対抗しよとするスタートアップが世界中で登場しています。例えば、半年以上前の記事ですが、こんな記事がありました。

「新型コロナにテックで対抗するスタートアップたち」
https://jp.techcrunch.com/2020/04/27/2020-04-19-tech-for-good-during-covid-19-childrens-book-phone-booths-and-aperitifs/

この中で紹介されているのは

1. 新型コロナウイルスの検査ができる電話ボックス
2. 必要不可欠な配送を無料で
3. 自宅でコーディング
4. 市民の義務としてデイリーアセスメント
5. 新型コロナウイルスのない世界
6. Twilioのホットライン
7. 解雇されたメイクアップアーティストの雇用努力
8. 動画のイッキ見
9. ブライダル会社が社会に貢献
10. 寝る前の絵本の読み聞かせがアップグレード

などです。コロナの期間だけだと思われるサービスもありますが、興味深いのはコロナが終わっても求められそうなサービスをコロナをきっかけに始めたサービスがあることです。例えば、2.、8.、10.などです。また、ひょっと応用すれば、コロナ以外の目的にも使えようなサービスもあります。例えば、1.、4.、6.、9.などです。


◆日本のコロナテック

日本でもコロナにテックで対抗しようとする動きはあります。例えば、大学の取り組みでコロナででできなくなった医師や看護師を目指す学生たちは病院での実習をVRで実現しようといった試みはありますが、米国や中国のように技術やビジネスとして確立していくところまでは行こうとしていません。

日本の場合、一言でいえば、一時しのぎをして、コロナ前と同じ製品や方法でビジネスができるようになる日を待っている印象があります。

日本の意思決定のスピードを考えると、この経営判断は正しいのかもしれません。何か新しい技術やサービスを開発しても、商品化したり、販売される頃にはコロナの蔓延は終わっていることは十分に考えられるからです。また、ある投資家がコロナ関連ビジネスには長期的な展望がないので投資しないと言っていましたが、これもまた、日本では妥当な判断ではないかと思います。


◆コロナテックの種類

ただ、コロナテックがすべて一時的なものだとは言えません。コロナに対抗するために開発が加速された技術やサービスには3種類あります。

(A)コロナが終息すれば使われなくなる技術やサービス
(B)再び感染症が出てきたら使われる技術やサービス
(C)コロナによって誕生や成長が後押しされた技術やサービス

の3つですが、技術進化の速さを考えると(B)はほとんどないと考えられられますが、ひょっとするとリモートワーク関係の技術やサービスは(B)になる可能性もあります。

日本企業や投資家が想定しているのは(A)がほとんどだと思います。冒頭に紹介した10個の事例は、ほとんど(A)だと思われます。そして、問題は如何に(C)を見つけるかです。


◆VUCAに対する日本企業の認識

この議論は、VUCAにもそのまま当てはまります。

日本企業も、コロナによってVUCAな時代であることの実感が沸き、なにがしかの危機感を感じ始めています。ところが多くの企業はコロナと同じように、VUCAも一時的なものであり、また元に戻ると考えて、目先の対応策で影響を回避しようとしています。

コロナは社会、生活、経済に大きな影響を与えていますが、それでもまだ、部分的なものです。3密回避やマスク、手洗いなどにしても、蔓延が治まれば元に戻ると考えられていますが、企業も同じで、リモートワークや業務プロセスの変更などはコロナが蔓延している間は仕方ないけど、ワクチンで集団免疫ができれば止めたいと思っている企業や組織は少なくありません。

しかし、これは間違いです。VUCAはそのような一時的な変化では終わることは考えにくいものがあります。例えば、リモートワーク一つとってみても、それまで週1回の在宅勤務だった企業が本当にそこに戻るかどうかは微妙なものがあります。

この問題は、コロナ対応で起こった変化の本質がどこにあるかによります。VUCAも全く同じで、VUCAで変わったことの本質がどこにあるのかによって、(A)になるのか、(C)になるのかが変わってくるでしょう。


◆GAFAが変化させたもの

例えば、VUCAによって成功したと考えられているものの一つにGAFAがあります。

「iPhoneを使ってGoogleで検索し、Facebookででユーザを探し、評価を聞き、良ければアマゾンで注文する」

というのは今、多くの人が普通に行っている消費行動ですが、これはインターネットが普及してきただけの理由だけで生まれたものではありません。あっという間に状況や人の関心が変動するVUCA時代に適したやり方だから、普及してきたという一面があります。

つまり、以前であれば誰かがモノやサービスを使っているのを見て(あるいは雑誌などのメディアで見て)存在を知り、いいなと思えば近くの店で探し、自分も求めるという消費行動が基本でした。しかし今は、こんなものが欲しいと思えば、ネットでモノやサービスを探し、世界中のどこからでも購入するというモデルになっています。

問題は、この変化が一時的なものか、それなりに長い間継続する変化なのかです。この点を考える際に興味深いのは、アマゾンが初期に打ち出した「ロングリテール」というコンセプトです。これは、ネット上の販売では、できるだけ品数を増やして対応できる方が有利になるというコンセプトですが、これはアマゾンというショップの範囲だけではなく、ネットにつながっていればどこでも珍しいものを売ればビジネスになるというもので、VUCAな世界に合う販売方法だと言えます。そして、このコンセプトでものを売っている企業はどんどん増え、その企業で購入するには、GAFAの作ったモデルが使われています。

このように考えると、VUCAに対応した変化は一時的なモノばかりではなく、変わらないものもあると考えられます。つまり、(C)ですが、VUCAの時代のビジネススキル、あるいはマネジメントスキルとして重要なことは、何が(C)で、何が(A)なのかを見極めるスキルです。

(C)の技術やサービスはチャンスを生み出すからです。


◆VRというコロナテック

この一例がVRです。VRはコロナ以前から注目の技術で、ンピューターによって作られた仮想的な世界を、あたかも現実世界のように体感できる技術です。

2月12日の日経新聞に、中国の仮想現実(VR)技術を使った技術がどんどん、日本に入ってきているというニュースが掲載されていました。

中国発「コロナテック」、身近な存在に 日本に次々上陸
買い物VRや非接触検温、感染拡大防止に一役
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ04A740U1A200C2000000/

中国発のいくつかのVR技術を使って日本企業がさまざまなサービスの提供に取り組んでいる事例を紹介しています。

VUCAな時代には素早く体験し、変動に対応していくことが重要だと考えられ、その実現技術として注目されていました。ところが未来の技術としては有望性が認められていましたが、ゲーム以外の領域では意外と進展しませんでした。リアルの場の方がいいと考える人が多かったからですが、これを一変させたのがコロナでした。リアルの場に出向くことが好ましくないと考えられられたり、出たくないと考える人が増えたためです。

こういう状況では、VRは非常に役立ちます。記事にあるように、不動産だとか、種類の多い商品の販売には有効です。このようにコロナがVRを後押ししてくれているのです。


◆VUCAをチャンスに変える

VRのように未来の技術として注目されていた技術で、コロナが後押しした技術、つまり(C)の技術は結構見かけます。失敗しましたが、マイナンバーカードなどはその典型例でしょう。

VUCAで普及してくる技術、つまり、(C)の技術は、VUCAをピンチではなく、チャンスに変えることができます。重要なことは、VUCAにおいて、不確実性を逃れる技術やサービスからはこのようなチャンスは生まれてこないということです。創造的に考え、付加価値を生み出すこととです。

このような話をすると多くの人はそうすべきだと言いますが、実際にはできないと考える人が圧倒的に多いのも事実です。この構図はイノベーションの難しさと同じ構図です。あるいは、イノベーションそのものの構図です。

できない理由は2つあります。一つは、思考法の問題で、創造的な思考ができないことです。こちらはデザイン思考をはじめ、いろいろな創造的思考法がありますが、実は創造的な思考法を身につけるだけでは解決しないことが多いのです。創造的思考法は使いこなせれば創造的な成果を生み出せるものですが、使いこなせないのです。この問題の根底にあるのが、コンセプチュアル思考の非力さです。創造的な思考のインパクトを向上させるためには、コンセプチュアル思考の強化と併せて行う必要があります。

もう一つは風土の問題で、心理的安全性がないことです。こちらは、カルチャーを変えていく必要があります。つまり、「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられるカルチャー」に変えていく必要があります。

◆コンセプチュアルスキルを高める3つの講座

コンセプチュアルスキルの基本トレーニングには、以下の3つの講座が有効です。

一つは、コンセプチュアルスキルとは何かを理解し、コンセプチュアルスキルが高くなればどのようなことができるようになるかを体験する講座です。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルスキル入門~本質を見極め、行動するスキル◆(7PDU's)
 日時:2021年 04月 13日(火) 13:30-17:00、04月 14日(水) 13:30-17:00
 形態:ZOOMによるオンライン開催です。2日間に分割して開催します
    ※少人数、双方向にて、演習、グループディスカッションを行います
 講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
 詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_skill.htm
 主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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  【カリキュラム】                     
  1.コンセプチュアルスキルとは
  2.本質を見極める
  3.洞察力を高める
  4.応用力を高める
  5.コンセプチュアルスキルでこれからの行動が変わる~ケーススタディ
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二番目は、コンセプチュアルスキルを本格的に活用するための思考法「コンセプチュアル思考」について学ぶ講座です。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆コンセプチュアル思考のポイントと活用
              ~VUCA時代の思考法◆(7PDU's)
  日時:【ZOOM】2021年 02月 25日(木) 13:30-17:00
                02月 26日(金) 13:30-17:00
  形態:ZOOMによるオンライン開催です。2日間に分割して開催します
  講師:好川哲人(有限会社エムアンドティ取締役)MBA
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_thinking.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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【カリキュラム】                     
【第1日】コンセプチュアル思考に慣れる
1.コンセプチュアル思考のイメージ(アイスブレーク、講義)
2.コンセプチュアル思考を実践してみる(個人ワーク)
3.コンセプチュアル思考の原理を学ぶ(ワークの振返り、講義)
【第2日】コンセプチュアル思考を活用する
4.コンセプチュアル思考の実際(講義)
5.コンセプチュアル思考で変化に対応する
  (個人ワーク、グループディスカッション)
6.コンセプチュアル思考で不確実性に対応する
  (個人ワーク、グループディスカッション)
7.コンセプチュアル思考を応用した活動(まとめ)
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三番目は、新しいことを生み出すときに必要なコンセプチュアルスキル「クリティカルシンキング」の講座です。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆クリティカルシンキング入門◆(7PDU's)
 日時:2021年 03月 01日(月) 13:30-17:00、
          03月 02日(火) 13:30-17:00
    ※ZOOMによるオンライン開催です。2日間に分割して開催します
    ※少人数、双方向にて、演習、グループディスカッションを行います
 講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
 詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/critical.htm
 主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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  【カリキュラム】
   1.クリティカルに考えるとは
   2.ロジカルシンキングとその落とし穴
   3.何を疑うのか(合理性)
   4.何を疑うのか(内省)
   5.クリティカルシンキングの4ステップ
   6.具体的状況におけるクリティカルシンキング演習
   7.クリティカルシンキング総合演習
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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。