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2020年7月15日 (水)

【コンセプチュアルリーダー塾コラム】本質に対して手を打ち、無駄を省く

コンセプチュアルリーダー塾 : https://mat.lekumo.biz/ppf/juku/━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

Juku1◆本質を見極める目的

塾コラム「業務の中で課題の本質を見極める」の続編で、今回は

「無駄を省き効率的に仕事を進める」

という行動について考えてみます。前回は「本質を見極める」という行動で、このためには、問題発見と問題解決を切り分けて考えることを提案しましたが、このような行動によって本質を見極めることができれば、無駄を省き、効率的に仕事を進めることができます。

本質を見極めることの重要性の一つは、無駄なことをしないという目的にあります。しかし、これが非常に難しい課題になっています。原因は日本の評価方法にあります。


◆行動評価があるから無駄を省けない

日本の評価は成果評価と行動評価とのハイブリッド評価だと言われています。成果を重視する一方で、行動(プロセス)も見るという考え方の評価です。多くの企業が目標管理制度を導入し成果評価が加わったようにも見えますが、成果主義批判の中で設定目標にはプロセスに対する目標も設定できるようになっている企業が多く、要は高度成長期から続く日本型の評価です。

行動評価は、標準プロセスを導入し行動評価についても決めている先進企業もありますが、多くの企業は曖昧なままで、管理者が主観によって評価しています。極論すれば頑張っているかどうかを見ているわけですが、問題は頑張るという概念の中に「無駄になってもよいので実施する」という行動が含まれていることです。これがある限り、無駄を省くことはできません。

いや、うちの会社では無駄は省くように改善しているという思った方も多いと思います。その通りで、多くの企業では改善はしています。しかし、多くの企業には根本的に無駄な慣行があります。例えば、予定通りに仕事が進んでいるときの報告などはそうです。無駄以外の何ものでもないのですが、なかなか改められません。


◆根本的な無駄は改善では解決できない

改められない理由はさまざまですが、根本的な無駄は改善というレベルでは解決できないのです。解決できない背景にあるのは行動の評価です。行動評価のために熱心さを訴えるために報告するという理由があります。一つ、事例を示しましょう。

ある企業で、プロジェクトが計画どおりに進んでいる場合には進捗報告を止めるという方針を打ち出したプロジェクトマネジャーがいました(Sさんと呼びます)。Sさんがこのようにやり方を変えようとした理由はそれまでのプロジェクトマネジメントの経験で、プロジェクトを進めていく中で、問題がないときの進捗会議は必要なく、モチベーションを下げるだけ、つまり無駄だと考えたからだそうです。

ちなみに、Sさんはある年度の目標管理でプロジェクトマネジメントの無駄を省くという目標を設定しようとしたら社内のルールに反しているからと反対されたそうです。

Sさんが担当するプロジェクトで、プロジェクトマネジメント計画で報告は問題が発生したときに不定期に行うと計画したところ、社内ルールとの整合性をどうするのか、問題が起こっているかどうかの判断はどうするのかなど、いくつかの点が議論になりましたが承認されました。

ところが、当該年度のプロジェクトの業績はこれまで通りであったにも拘わらず、人事評価が下がっていたそうです。組織として決めているルールを守らないことが理由として指摘されたそうです。


◆コンセプチュアルでないリーダーの行動

このように明確な無駄があっても、なかなか無駄を省くことは難しい問題がありますが、そういう問題ほど根が深く、影響も大きいのが一般的です。この積み上げが日本企業の生産性の低さになっていると考えられますが、では、どうすればよいのでしょうか。

ここで出てくるのがコンセプチュアルリーダーの一つ目の行動である本質を見極めることです。

上の進捗報告の話を考えてみますと、進捗報告の必要性はいろいろな意見があると思いますが、本質は何でしょうか。広い意味でのプロジェクトマネジメントのスタイルです。広い意味といっているのは、プロジェクトチームのマネジメントだけではなく、組織によるプロジェクト管理も含んでいるという意味です。

この例の企業では、組織としてはプロジェクトへきちんとした権限移譲をしており、1ヵ月に一度、報告することがルール化されていましたが、それ以外は特に介入されることはなく、プロジェクトマネジメントの点では優良な企業でした。プロジェクトマネジャーのSさんもこの進捗報告を止めようとしたわけではありません。

問題は組織とAさんの進捗報告の目的の違いです。組織はプロジェクトチームにおける進捗報告の目的をチームメンバーの管理だと考え、その入り口は社内ルールの順守だと考えていたのに対して、Sさんはそれは本質ではないと考えていたことにあります。進捗報告の本質的な目的をプロジェクトを計画通りに進めることだと考え、それを実現するための手段として不定期な進捗報告という方法が適していると考えていたわけです。


◆コンセプチュアルリーダーは問題の本質を考え、無駄を省く

それぞれの立場から考えていたわけですが、多くのリーダーは組織が決めたことは決まっていることだとして受け入れています。これはコンセプチュアルではありませんし、何よりも無駄な仕事が多く出てくることは理解して頂けると思います。

コロナ禍で、コロナ感染者のデータを保健所からマニュアルで集めて、分析しているという問題が最初から指摘されていますが、いまだに変わっていません。現場で作業する人は手を抜いているわけではなく、決まったやり方に従ってちょっとでも早くしよと頑張っています。しかし、仕組みを変えるという問題は改善でできる問題ではありません。

この仕組みそのものはそんなに複雑なものではなく、実際にデータをネットで送っている担当者もいるそうです。集計する側にコンセプチュアルなリーダーがいれば、あっという間に変わってしまう問題です。

では、コンセプチュアルなリーダーは何をするのでしょうか。ルールとして決まっていることを疑うことです。なぜ、そのように決まっているのかを疑い、どんどん疑いを掘り下げていきます。それによって現在のやり方をしている本質的な理由を突き止め、その上でその解決方法を考えます。例えば、この問題の本質は保健所の業務のプライオリティにあると考えます。そしてプライオリティを挙げるためには何をすればよいのかを考えるのです。

ところが、コンセプチュアルでないリーダーは、ここで例えば、通信環境がないという表面的な理由を問題だと考えます。するとなかなか手が付けれない問題になって、落ち着いてからにしようと考えがちです。

このようにコンセプチュアルリーダーには、

「常に問題の本質を考え、本質に対して手を打ち、無駄を省く」

ことが不可欠です。

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 <基本編】コンセプチュアルスキルの基本を身につける
 1.課題の本質を見極め、コンセプトを創る
 2.コンセプトから実現シナリオへ
 3.創造的に問題解決する
 <応用編>コンセプチュアル思考を活用する
 1.直観を効果的に活用し、生産性を高める
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 3.コンセプチュアルスキルを活かしたコミュニケーション
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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。