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2020年8月11日 (火)

【コンセプチュアル講座コラム】VUCAに適応できるコンセプチュアルな組織文化を創る

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceputual_col/

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Culture1

◆アジリティでVUCAに適応する

VUCA時代を迎えて、これまでの日本企業のやり方とは違うやり方が必要になっています。

日本企業はこれまでは、先例主義で、まず欧米を真似てスタートし、改善し、調整して競争力を持ってきました。

ところがVUCAの時代には、ビジネスの環境変化による変動が大きく、改善や調整だけでは十分な成果を上げることが難しくなってきました。VUCAを生き残るためには、その変動に飲み込まれないように自らの変革を迅速に実行するアジリティ(敏しょう性)が不可欠であると考えられています。

ビジネスにおいては、アジリティはVUCAに適応していくことに他なりません。つまり、目まぐるしい環境変化による変動に即応するために欠かせない、経営や組織運営のあり方の速さを意味しています。


◆俊敏性から敏しょう性へ


しかし、単に行動スピードが速いという意味ではありません。経営コンサルタントの遠藤功さんがアジリティについて興味深いことを言われています。いわく

「必要なのは俊敏性ではなく、敏しょう性だ」

というものです。

俊敏性とは英語では、quickness(クイックネス)と言い、ゴールが決まっているときにそのゴールにいかに速くたどり着けるかです。

これに対して、敏しょう性とはゴールが決まっていないときに、いかに適切にどこに進むかを判断し、いかに速くたどり着けるかです。例えば、Aから行くところ(ゴール)が、B、C、Dと複数あるときに、どこへ進むべきかを適切に判断し、行動する速さです。アジリティはこちらの意味合いの概念で、これこそがVUCAの時代に適用するために必要な対応です。

つまり、アジリティには、単に素早く行動できるだけではなく、意思決定のスピードや効率、チーム編成や役割分担の柔軟性などの要素が含まれます。

◆アジリティの実現方法

アジリティの高い組織の要件として、よく言われるのは

・ビジョンが明確である
・迅速かつ最適な判断をする
・柔軟な発想をする
・情報網を広く張り、情報収集をする

などがよく上げられ、そのために

・エンパワーメント
・ITの活用
・リーダーのアジリティの向上
・経営者のラーニングアジリティの向上

などに取り組む企業が多いですが、なかなか、うまくいかない現実があります。

その原因を尋ねると、やはり、「迅速かつ最適な判断能力を持つ」、「柔軟な発想を持つ」などのスキルの問題だと考える企業が多く、トレーニングをしているという企業も少なくありません。

さらに、ビジョンを策定し、エンパワーメントしてもあまりうまくいかないという声もよく聞きます。

このような壁に直面する原因はアジリティが組織文化になっていないことにあるように思えます。

アジリティは一人ので行う活動に対する特性ではありません。迅速かつ、最適な判断をするのは組織であり、柔軟な発想をするのも組織です。これらをビジョンを策定することによって同じ方向を向けばできると考えているところに落とし穴があります。

迅速かつ最適な判断、柔軟な発想を実現しようとすれば、ポイントになるのは問題の本質をいかに適切に見極められるかにかかってきます。

課題や問題の本質を見極めることができれば、抽象的なレベルで問題解決をして、それを具体化して問題解決策を決め、問題解決を行うことができます。そして、もし解決できなければ、もう一度抽象的な問題解決策に戻り、別の具体策を取ります。この繰り返しによって、迅速かつ柔軟な問題解決が可能になります。

問題解決だけではなく、例えば、市場や顧客の要求の本質を見極めることができれば、それを具体化して、迅速かつ最適な商品やサービスを提供することが可能になります。


◆シャインの提唱する組織文化

では、どうすればそのようなマネジメントができるのでしょうか。リーダーだけが本質を見極め、組織やチームを引っ張っていくだけでは不十分です。VUCAのような変動の激しい時代には、リーダーだけが頑張るだけでは組織を引っ張ることは不可能です。組織の全員が本質を重視するという前提で自然に考え、動く必要があります。

ただし、これを思考プロセスを決めるといった方法で実現するのは至難の技です。

そこで注目されるのが組織文化です。特にVUCAの時代に適していると思われるのはエドガー・ヘンリー・シャインの組織文化論です。

シャインは、組織文化の構造として以下の3つのレベルがあるとしています。

<レベル1>人工物
<レベル2>価値観
<レベル3>基本的仮定

最初のレベルである人工物は、目に見える組織構造やプロセスで、部外者にも識別できるものです。これらは目に見えるものです。例えば、メンバーの服装、オフィスの配置やオフィス用品、その組織の独自の言葉、メンバーの明白な行動パターンなどが代表的です。また、組織の方針やビジョンを記述したポスターなどもこのレベルに該当します。

二番目の価値観には、戦略や目標など、その組織の価値の源泉になっているものです。組織内で共有されている「どうあるべきか」という感覚であり、部外者には識別は難しいものです。

シャインの組織文化の特徴は三番目のレベルである基本的仮定です。これは組織の中で繰り返し有効に機能した信念や価値観です。組織の歴史の中でメンバーに共有され、当たり前のこととなり、組織の中では、そのような価値観が「世の中の常識」となり、成功を収めるための「暗黙の仮定」となります。

組織文化をこのように見ると、中核になる本質を見極め、具体的な事業や行動を展開していくには、レベル3までの組織文化が存在している必要があることは容易に分かります。もちろん、その表面にはレベル1やレベル2の文化があるわけですが、レベル3があって初めて本質を中心にして行動ができるようになります。

このような組織文化の構築が、VUCA時代のマネジメントの必須だといえます。


◆シャインの組織文化はコンセプチュアル思考である

シャインの組織文化の興味深さを別の視点から触れておきます。

シャインの組織文化のモデルは具体と概念を行き来しながら、全体として組織文化が構築されているモデルになっていくことです。簡単にいえば、ビジョンがメンバーの行動パターンなどの人工物を生み出し、また人工物から価値観を通じて基本的仮定を生み出すような構造になっています。

このような枠組みで組織文化を作っていくことによって、組織のメンバーが自然にコンセプチュアルな思考をするようになり、VUCAの時代に適応できる組織になっていくと期待できます。


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コンセプチュアルな組織文化を創るベースになるのはコンセプチュアル思考です。


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 1.コンセプチュアル思考のイメージ(アイスブレーク、講義)
 2.コンセプチュアル思考を実践してみる(個人ワーク)
 3.コンセプチュアル思考の原理を学ぶ(ワークの振返り、講義)
【第2日】コンセプチュアル思考を活用する
 4.コンセプチュアル思考の実際(講義)
 5.コンセプチュアル思考でVUCAに対応する
  (個人ワーク、グループディスカッション)
 6.コンセプチュアル思考を応用した活動(まとめ)
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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。