« 【コンセプチュアル思考によるイノベーション】第1回 なぜ、イノベーションが生まれないのか | メイン | 【コンセプチュアル思考によるイノベーション】第2回 抽象と具象の行き来でイノベーティブなコンセプトを作る »

2017年5月15日 (月)

【イノベーション戦略ノート:111】イノベーションにおける創造と想像

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Souzou

◆2つのそうぞう

イノベーションのためには、2つの「そうぞうりょく」、すなわち「想像力」と「創造力」が必要だとよく言われる。それぞれのそうぞうりょくの役割はあまり明確ではない。今回の戦略ノートはこの話を整理してみたい。

この議論をするために以下のような簡単なイノベーションのプロセスを考えておく。

まず、最初のステップはさまざまなな事象から「疑問」を見つけ出すことからイノベーションは始まる。これは経験の世界であるが、経験を重ねていくに従って、イノベーションの課題が見えてくる。そして、課題の解決方法を考え、具体化していく。ここにイノベーションが生まれる。

◆コンセプチュアルなイノベーションプロセス

このプロセスをコンセプチュアルに考えてみる。すなわち、概念(抽象)の世界ですべきことと、形象(具象)の世界ですべきことに整理していみる。

すると、まず、経験したさまざまな事象から「疑問」と見つけていくというのは形象の世界で行うことだ。そして、それが蓄積され、ある日突然、抽象化され、すべきことが課題が見つかる。課題はイノベーションによって解決したいことで、概念の世界のもので、これまで取り扱われていない新しさを持ったものだ。

つぎにその課題を解決する方法を考える。これは抽象的なレベルで行う。課題解決のアイデア自体がイノベーションになることもあるし、アイデアはすでにある場合もある。これはどちらでも構わない。

いずれにしても抽象的な課題解決策を得たら、それを具体化する。ここで具体化の方法がイノベーションになる。


◆イノベーションと2つのそうぞう

さて、このようなプロセスを考えたときに、創造と想像はどのような役割を果たすのだろうか。言葉の定義としては

創造:人まねでなく、新しいものを自分から作り出すこと
想像:実際に知覚に与えられていない物事を、心の中に思い浮かべること

といったものだ。まず、最初の課題を見出すところで行うことは創造である。実際に経験しているさまざまな事象から、新しい課題を見つける。これは創造的な活動である。そして、課題に対して、解決策を見出す。これも創造的な活動である。

ただし、ここで考えられるパターンとして、

新しい課題に対して、既存の解決策を適用する

ということがある。これもイノベーションになる。


◆イノベーションのポイントは想像

このようにして、概念の世界で抽象的に考えられた課題解決策を実現する具体的な方法を考える。ここで新しい方法を考え、イノベーションを実現することになるが、ここで求められるのは、想像である。つまり、概念的な方法から、まだない、言い換えると知覚されていない物に落とし込んでいく活動が必要になる。

一連のプロセスを経て、イノベーションの質がどこで生まれるかと考えてみると、問題解決の方法より、問題解決策を具体的な物に落とし込んでいくところ、すなわち想像にあるのではないかと思う。

コメント

コメントを投稿

PMstyle 2024年11月~2025年3月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。