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2014年7月

2014年7月 9日 (水)

【イノベーション戦略ノート:036】イノベーションのタイミング

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
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◆時計におけるパラダイムシフト

Timming

イノベーションとパラダイムの関係で有名な事例はいくつかあるが、もっとも有名な事例は時計のパラダイムシフトだろう。多くの人はぴんときたと思うが、機械式の時計からクオーツ時計にパラダムが変わった。

1960年代までスイスは圧倒的な時計王国だった。数字を見るとよく分かる。

販売個数ベースのシェア 65%
利益ベースのシェア 80~90%(推理)

それまでスイスは最高品質の自動巻きの腕時計において、イノベーションを追求していた。ところが、1970年に入り、時計作りのルールが変わり、機械時計から電子時計の時代になった。1981年までに時計作りに携わっていた6万2千人のうち5万人が職を失った。1980年の数字見ると

販売個数ベースのシェア 10%以下
利益ベースのシェア 20%以下

になった。スイスに変わって台頭してきたのが日本である。1960年代にすでに品質ではスイスと肩を並べていたものの、世界でのシェアは1%以下だった。ところが80年代になると、33%以上のシェアを占めるに至った。



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2014年7月 8日 (火)

【イノベーション戦略ノート:035】パラダイムの変化に対応する

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
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◆テリットという会社

Paradaim

日本ではあまり知られていないが、イタリアにテリットという会社がある。かつては携帯電話の製造をしていた会社で、倒産の危機に瀕していた。そこから見事に立ち直り、今ではこれから市場の拡大が期待されるある分野で世界市場の30%を占めるに至っている。

ある分野とは、M2M(Machine to Machine)、いわゆるモノのインターネットの通信手段である。

この会社は倒産の危機にあったときに、無線M2Mの戦略目標を立て、見事に戦略実行に成功した。今年は1800万台を出荷し、4年後には1億台の出荷をもくろんでいる。その背景にはモノのインターネットの急速な普及の見込みがある。ガートナーによると、2020年までに260億以上のモノが互いに接続されることになると予想されている。その中の1億を自分たちの携帯電話を売り込もうとしている。

この中でも有望な分野としては、

自動車、セキュリティ、盗難防止、決済、自動販売機、遠隔測定法(telemetering:いわゆるインテリジェントメーター)、遠隔医療によるヘルスケア、ホームエレクトロニクス

などがあるという。

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2014年7月 6日 (日)

【プロジェクトの本質】本質とは何か?

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
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◆はじめに

これまで「プロジェクトの補助線」という名前でブログをやっていたときには「補助線」というコラムをときどき書いていた。

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ブログを「プロジェクトイニシアチブ」に変え、コンセプトも変えたので、「補助線」に代わる新たなブログ連載として「プロジェクトの本質」という連載を始める。

初回のテーマは、そのタイトルにもある「本質」とは何か。

最近、PM養成マガジンで「プロジェクトマネジメントをコンセプチュアルにしよう!」という連載を始めたが、その中で述べたようにコンセプチュアルスキルとは

「周囲で起こっている事柄や状況を構造的、概念的に捉え、事柄や問題の本質を見極めるスキル

と定義される。要するに本質を見極める技術がコンセプチュアルスキルである。

プロジェクトマネジメントをコンセプチュアルにしよう!

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2014年7月 4日 (金)

【ブックレビュー】「好き嫌い」と経営

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楠木 建「「好き嫌い」と経営」、東洋経済新報社(2014)

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」で知られる楠木建先生の対談集。

企業の戦略ストーリーの創造は経営者の直観やセンスに大きく依存している。

その根底には、その人を内部から突き動かす「好き嫌い」があるというのが楠木先生の仮説で、その後、その仮説を実証すべく、東洋経済の季刊誌Think!で「楠木教授の好き嫌い対談」という企画で特徴のある経営者と好き嫌いを巡る対談をするという連載があった。

それをまとめたのが本書である。

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2014年7月 2日 (水)

【イノベーション戦略ノート:034】イノベーションの流儀

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◆はじめに

RyugifacebookのPMstyleページで、今年の3月くらいから、「イノベーションの流儀」というシリーズのミニ記事を書いている。いろいろな開発事例を取り上げ、そこからイノベーションの流儀(方法論)を学ぶという趣旨でやっている。

PMstyle facebookページ

10回を超えたので、一度、まとめて紹介してみました。

興味がある流儀があれば、紹介しているURLに詳細があるので、クリックしてみてください。その際、別のサイトに移動するので、了解の上でお願いします。

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2014年7月 1日 (火)

【イノベーション戦略ノート:033】イノベーションをめぐるジレンマ

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◆破壊的イノベーション

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イノベーションのジレンマ(正確にはイノベーターのジレンマ)は、ハーバードビジネススクールの教授であるクレイトン・クリステンセン先生が名付けた破壊的イノベーションの理論である。破壊的イノベーションはパラダイムシフトの際に起こる既存の市場を壊滅させるイノベーションである。

最近の例でいえば、フィルムの市場を破壊したデジタルカメラがそうである。破壊的イノベーションの特徴は、パラダイムシフトの特徴といってもよいが、あり得ないと思われることが起こることだ。

クレイトン・クリステンセン「イノベーションのジレンマ 増補改訂版」、翔泳社(2001)

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。