◆「誰に」の次に「何を」
第22話から第24話まで「誰に」に関する質問について考えた。一番最初に述べたようにイノベーションにおいてこの質問がもっとも重要な質問である。
イノベーションではついつい、製品を決めてからどこに売るかを決めているケースが多いが、これではうまく行かないというのが共通認識になりつつある。
最近有効性が注目されるようになってきた「リーン・スタートアップ」でも、まず、最初に顧客発見のステップがあることからも分かるように、まず、「誰に」なのだ。そして、それらの顧客が「何を」、つまりどのような製品を求めるかを考えていく。
ということで、今回からは「何を」に関する質問について考えていきたい。
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◆ダイソン氏の気づき
23回に模倣によるイノベーションという記事に、カンバンはイノベーションかもしれないが、ジーンズ眼鏡はイノベーションではないだろうという意見を貰った。ジーンズ眼鏡もイノベーションだとは思うが、もう少し、インパクトのある例を紹介しよう。
実は、23回で書きかけて止めた事例がある。みなさんがよくご存じのダイソンのサイクロン式掃除機の事例だ。この事例が画期的なイノベーションであることは、当初の価格や普及の度合いから間違いないと思うが、この事例は典型的な本質の模倣でイノベーションが生まれた事例である。技術の絡む話なので、書いていたら話が複雑になりすぎてやめたのだが、もう一度チャレンジする。
ダイソンのサイクロン式掃除機が生まれたのは、ジェームズ・ダイソン氏の既存の掃除機への不満からというのはよく知られている。ダイソン氏が掃除機を使っているうちに集塵パックの目を通過したホコリが外に出て行くため、長時間使っていると集塵パックが目詰まりを起こし、ゴミを吸い込む力が弱ってくることに気付いた。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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