【戦略ノート293】顧客価値を実現するプロジェクトマネジメント(1)~方向性

顧客価値を実現するのは、難しい。理由は2つある。一つは顧客自身が自分の求めている価値を必ずしも明確にできていないこと。もう一つは、顧客においては価値は明確になっていたとしても、それをプロジェクトの価値にうまく変換できないこと。
もう少し、詳しく説明しておこう。
顧客価値のベースになるのは、顧客のニーズ、あるいは要求である。そこで、価値を実現するために、顧客の要求を明確にし、その要求を実現していくのが一般的なアプローチである。プロジェクトの成果物が顧客価値になるのは、要求が正しく把握できたという前提での話しであり、現実にはで難しい。そのため、プロジェクトの生産物は、顧客にとって期待通りの価値を持たないことが少なくない。
もう一つの問題は、メトリクスの問題である。プロジェクトマネジメントにはアーンドバリューという考え方があるように、基本的にはプロジェクトの進捗は生産量からマッピングされるメトリクスを使って測ることが多い。アジャイル開発などで、機能の実現を進捗としてとっても同じことである。
つまり、これらのメトリクスは、顧客価値とプロジェクトで生産された価値がうまくマッピングされていることを前提としているわけだが、現実はそんなに単純ではない。顧客価値にはプライオリティがあるので、生産の価値はプライオリティを反映したものである必要がある。
顧客価値を実現するには、この2つの問題を乗り越えていかなくてはならない。
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