« 2008年4月 | メイン | 2008年6月 »

2008年5月

2008年5月26日 (月)

【補助線】ゲームか遊びか?

【チームワーク観A】
・チームワークとはチームのために自分を犠牲にすること
・チームのためにはやりたくないこともやらなくてはならない
・「いいやつ」よりも「勝てるやつ」とチームを組みたい
・勝つことがすべて。だからズルも大目に見られる
・ユニフォームでチームの一員であることを示す

【チームワーク観B】
・チームワークとはみんなが満足できる方法を探すこと
・自分が満足いく働きをすることがチームのためになる
・いい人であれば友だちがたくさんできる
・フェアなのが一番。だからルールは守るべき
・洋服は自分を表現するためのもの

あなたのチームワーク観に近いのはAだろうか、それともBだろうか?

実は、これは「ビジネス書の杜」でも紹介したが、パット・ハイムが書いた「HARDBALL for WOMEN(邦訳:会社のルール)」の中で指摘されている「野球のルール」と「ままごと」のルールである。

もう一度、最初の話に戻る。チームワーク観Aは野球のルールであり、チームワーク観Bはままごとのチームワーク観である。

パット・ハイムの主張は、男性は野球(ゲーム)からルールを学び、女性はままごと(遊び)からルールを学んだため、このような差が出てきたというものである。このようなチームワーク観の背景にあるのは、遊びから学べるものと、ゲームから学べるものの違いであり、遊びから学べるものは

・相手と仲良くする
・対立を避ける
・円満解決を目指す
・過程を楽しむ
・全員で決定する
・みんなで協力しあう

であり、ゲームから学べるものは

・監督の言いつけは必ず守る
・競争するのは当たり前
・チームプレイに徹する
・権力を振るう
・自分を有利に見せる
・批判を受け止める
・ゴールに集中し、勝ちを目指す

だという。

プロジェクトというのは後者のルールで行われるゲームである。少なくともアメリカでは。ところが、日本のプロジェクトマネジメントは実は「遊び」の価値観を取り入れつつある。特に、若者を中心にして。

このルール、どこから始めるかが問題なのだが、とりあえず、ビジネスであれば、「ゴールに集中し、勝ちを目指す」である。ところが、今のプロジェクトマネジメントは、いろいろと気を使いすぎなのだ。とりあえず、ゴールを明確にし、それの達成に一直線に進むといった文化を持つ組織は少ないし、必ずしも、よしとしない。

なぜか?小学生から延々と、協調性の重要性を刷り込まれてきたからだ。競争の重要性を教わってきていないのだ。競争ではとにかく目標を達成すればよい。協調は勝つこと自体にそんなに意味はない。勝負は結果であると考え、プロセスを重視する。

さて、あなたはどちらの道を選びますか?プロジェクトマネジメントはゲームに有効なマネジメントである。遊びに有効なマネジメントもある。日本型のマネジメントである。

2008年5月23日 (金)

PMサプリ125:互いの考えが変わることを前提として話し合う

どちらかが勝つか負けるかではなく、互いの考えが変わることを前提として話し合う
(平田オリザ、演出家)

【効用】
・PM体質改善
  問題解決能力向上、アカウンタビリティ向上、実行力向上、バランス感覚の洗練
・PM力向上
  プロ意識の向上、チームをまとめる力の向上、
  ステークホルダをコントロールする力の向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気向上

【成分】

◆Win-Winの関係は最終解か?
◆勝ち負けにこだわる限り、持続的ない
◆道路問題の決着は妥協?
◆お互いに変わるという前提が必要
◆プロジェクトマネジャーは自分も相手も変わることを信じる度量が必要

このサプリを服用したい方はこちら

2008年5月19日 (月)

【補助線】持続的動機づけは可能か?

プロジェクトメンバーのモチベーションを気にするプロジェクトマネジャーが増えている。このテーマで話をしていると、2つのタイプがいることがわかる。

箱の中で満足させようとするタイプと、箱の外を見せて満足させようとするタイプだ。前者は、プロジェクトの作業内容であるとか、作業環境に気を配り、楽しく仕事をしてもらうタイプである。後者はプロジェクトの成果に対する評価を向上させることによって満足させうようとするタイプである。

あなたはどちらだろうか?

前者と後者の絶対的な違いは状況をコントロールできるかどうかである。担当させる仕事とか、環境というのは、上位組織との条件闘争が必要になるにせよ、コントロール可能である。ところが、外部の評価というのは結果と出さない限り得られないし、評価指標すら、状況に応じて変わってしまうことも少なくない。

このような背景があるのだが、「お客に評価されても仕方ない」、「営業に評価されても仕方ない」といった(捨て)セリフを吐くプロマネは意外なくらい多い。このブログを読んでいる方はそんな行動はしないと思うが、心の中ではそう思ったことがある人は多いのではないかと思う。

どちらがいいかは火を見るより明らかである。メンバーを箱の中で満足させて、気持よく仕事をしている、そしてそれが結果的に外部の評価を受けたとしても、持続性はない。この種のマネジメントは麻薬と一緒で、その満足感がなくなると、動機が失われてしまう。結果として何をやってきたかというと、箱の中でメンバーが満足できるロジックを顧客に押し付けるという行動である。過剰な機能の提供、必要性の根拠に乏しい技術開発や新規技術の適用など。この辺まではご愛敬であるが、ここにたとえば、専門性を盾にとった予算水増し、納期の延長などが入ってくるともはや愛嬌では済まない。いくつく先はコンプライアンスの欠如である。これでは持続的になりようがない。

プロジェクトメンバーの動機を持続的に維持するための方法は、顧客満足と連動させるしかない。顧客満足が高めることを動機にする。顧客は満足すれば、要求レベルが上がる。そこでその要求レベルを達成することを動機にする。

このロジックには欠かせない要素がある。顧客満足に対する上位組織(組織内評価者)の評価である。

理想的な企業像は組織がそのような価値観を持っており、従業員は顧客を満足させれば評価も高くなる。しかし、現実には絵に描いた餅である。顧客満足を優先すれば、顧客の言いなりにならざるを得ない。すると、上位組織からは何をやっているのだということになり、評価は逆に低くなることが現実だろう。

この悪循環を断ち切る切り口はどこにあるのだろうか?

「もの」信仰を捨てることだ。上に述べた機能第一主義も結局はここにあるのだが、この悪循環は

 よいものを提供すれば顧客は満足する
   → 欲しがるものを提供すれば顧客は満足する

といった変化はあるものの、もの(商品)で満足させようという発想は全く変わっていないのだ。これをやっている限り、顧客の言うことなど聞こうものなら、コストは青天井になる。

ここを離れて、結局、顧客は何を欲しいのだろうという本質を考え抜く、そこにだけ、問題解決の糸口があるのではないだろうか?

2008年5月16日 (金)

PMサプリ124:自分の経験の絶対化からは何も生まれない

自分の経験の絶対化からは何も生まれない。経験のある人と経験のない人が対話する
ことによって新しい発想は萌芽する(北川達夫、フィンランド教材作家)

【効用】
・PM体質改善
  リーダーシップ発揮、創造力アップ、リスク管理力アップ、現象観察力アップ、
  バランス感覚の洗練、問題解決能力向上
・PM力向上
  プロ意識の向上、プロジェクト管理力向上
・トラブル緩和
  問題解決

【成分】

◆経験重視の持つ危険性
◆経験者にとって経験は真実
◆あるプロジェクトでの出来事
◆経験者と素人とのコラボレーションが進化を起こす
◆経験を活かすコラボレーション

このサプリを服用したい方はこちら

2008年5月12日 (月)

【補助線】インフォームド・コンセントを導入しよう

ある中堅SI企業の一事業部が、インフォームド・コンセント制度なるものを取り入れようとしている。提案書にインフォームド・コンセントシートなるものを添付しようとして、今、内容を検討している。

インフォームド・コンセント (informed consent) は、「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念。(Wikipedia)日本ではもっぱら医療行為に対して適用されるが、英語の本来の意味としては「あらゆる」法的契約に適用されうる概念だとある。

たとえば、弁護士の世界で、依頼者に対して、正しい情報を伝え、合意をするというインフォームド・コンセントの考え方があるという。

もう少し、Wikipediaの解説を紹介しよう。

医療行為の患者が説明を受けるべきなのは、

 治療や臨床試験・治験の内容

である。その上で、方針に合意するのだが、問題は説明の内容だ。説明は、対象となる行為の名称・内容・期待されている結果はもちろんだが、

 代替治療、副作用や成功率、費用、予後

まで説明すべきだとされている。つまり、リスクが含まれているのだ。ここがミソ。

SIのような顧客が費用を出すプロジェクトでリスクをどう扱うかは悩ましい。

が、やはり、リスクを隠したままでプロジェクトを進めていくことは、どう考えてもよい影響があるとは思えない。リスクを隠したままでプロジェクトを進めていくことが、コミュニケーションを形骸化させているケースが多いからだ。

あなたのプロジェクトでも考えてみてはどうだろう?

2008年5月10日 (土)

PMサプリ123:PDCA+Aサイクルを回せ!

PDCAサイクルからPDCAAサイクルへ(トヨタ)

【効用】

・PM体質改善
  リーダーシップ発揮、問題解決能力向上、計画力アップ、実行力アップ
・PM力向上
  ピープルマネジメント力向上、チームをまとめる力の向上、リスク対応力向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気向上

【成分】

◆トヨタのPDCAAサイクル
◆PDCAサイクルの計画の難しさ
◆PDCAサイクルの難しさ
◆ベネフィットを可視化するPDCAAサイクル

このサプリを服用したい方はこちら

2008年5月 3日 (土)

PMサプリ122:コミュニケーションの問題は対話力不足にある

コミュニケーションの問題は対話力不足にある(津田塾大学教授・中西雅之)

【効用】
・PM体質改善
  創造力アップ、バランス感覚の洗練、リーダーシップ発揮、顧客感度アップ、
  自己統制力アップ、
・PM力向上
  ピープルマネジメント力向上、チームをまとめる力の向上、リスク対応力向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気向上

【成分】

◆なぜ、コミュニケーションは難しい
◆悪い例
◆対話とはWin-Winの関係を「作っていくこと」である
◆Win-Winの関係を作る対話
◆ポイントを押さえた対話が成果のあるコミュニケーションを実現する

このサプリを服用したい方はこちら

2008年5月 2日 (金)

【補助線】あなたにとって、ステークホルダは敵ですか?味方ですか?

ステークホルダマネジメントがプロジェクトの肝だというのは多くの人が同感するところだろう。ステークホルダマネジメントがうまくできる人がよいプロジェクトマネジャーであるというのも異論はないだろう。

ここで本質的な問題がある。それは

 ステークホルダマネジメントは敵か、味方か

という問題だ。

ある人はステークホルダはリスクだという。ある人はステークホルダは味方だという。

この問題はその人のプロジェクトマネジャーとしての資質を決定づける問題である。はっきりいえば、

・ステークホルダを味方にできる人はAクラス
・ステークホルダを敵にしながらもうまく対処できる人はBクラス
・ステークホルダを敵にしてしまって足を引っ張られる人はCクラス

だとランキングしてまず、間違いない。なぜか?言葉を言い換えてみればすぐに分かる。

Aクラス:自分(のチーム)の能力以上のことをできるプロマネ
Bクラス:自分(のチーム)のできる範囲のことをできるプロマネ
Cクラス:やるべきこともできないプロマネ

となる。

Aクラスの人は、PMstyleでは「ひとつ上のプロマネ。」と呼んでいるプロジェクトマネジャーだ。ステークホルダの「力を借りる」ことができるので、能力以上のことができるのだ。実際に、顧客や組織の力をうまく借りて、プロジェクトを進めている人はあなたの周りにもいるのではないだろうか?

これに対してBクラスはいわゆる「箱の中で仕事をする人」だ。もちろん、能力が高い人は箱の中に入ったままで、完璧に与えられた仕事はする。

Cクラスは論外としても、プロジェクトは与えられた課題を達成する仕事だから、できる範囲のことをきちんとできればよいと思う人もいるかもしれない。

これは間違いだ。

組織はあいつは能力以上のことをやると信頼できれば、目標を高く設定できる。つまり、組織からすれば、より多くの収益、より高い顧客満足を期待できるわけだ。ゆえにAクラスなのだ。

実は、Aクラスと能力の高いBクラスのプロジェクトマネジャーの差というのは、心構え、あるいは、ちょっとしたヒューマンスキルの差にすぎない。ちょっとしたコツを掴めば、Aクラスのプロジェクトマネジャーになることができる。

ぜひ、Aクラスを目指してほしい。

あなたをAクラスのプロマネ。に導くセミナーを2件ご紹介しよう。

【1】ステークホルダーを動かす ~「影響力の法則」
影響力の法則を実践し、プロジェクトステークホルダをうまく動かすことをテーマに
したワークショップ型のセミナーを開催します。2日間のセミナーですが、影響力の
法則の本には書いていない、実践ポイントがわかるセミナーです。

影響力の法則を身につけたい方は、ぜひ、ご参加ください!14PDU発行されます。

〓【開催概要】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
◆ステークホルダーを動かす ~「影響力の法則」    ◆14PDU取得可能
  日時:2008年5月8日 10:00~18:00 5月9日 9:30-17:30
  場所:ダイヤモンド社石山記念ホール (東京都渋谷区)
  講師:高嶋 成豪(インフルエンス・テクノロジーLLC)
  詳細・お申込 http://www.pmstyle.biz/smn/influence.htm
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
【カリキュラム】
1 オリエンテーション
2 影響力の基盤
3 影響力の法則
4 現実への応用1
5 現実への応用2
6 現実への応用3
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

【2】「ひとつ上のプロマネ。養成講座」~ステークホルダーへの影響力を身につける

ひとつ上のプロマネとは、既存のやり方に拘らず、「考え抜いて」プロジェクトを成
功させるために必要な、姿勢とスキルに裏打ちされたプロジェクトマネジメントを行
うことにより、プロジェクトを成功に導くことのできるプロジェクトマネジメントと
プロジェクトマネジャーです。

第1回ではプロジェクトマネジメントの最も肝要となるところで、ステークホルダを
分析し、そのステークホルダをプロジェクトに協力してもらうようにマネジメントし
ていく方法について議論し、ステークホルダに影響を与え、協力を得る方法について
考えます。

〓【開催概要】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
 ◆ 「ひとつ上のプロマネ。養成講座」
    第1回 ステークホルダーへの影響力を身につける◆7PDU取得可能
  日時:2008年5月20日(火) 10:00-18:00
  場所:銀座ビジネスセンター(東京都中央区)
  講師:好川哲人(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス)
  詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/stakeholder.htm
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
【講義】
・ステークホルダはプロジェクトに対して何を求めているか
・プロジェクトにおけるステークホルダ接点の作り方とタイミング
・影響力を与える方法
・ステークホルダコミュニケーションの仕組みづくり

【グループ討議】
・プロジェクトへ影響力のあるステークホルダの見極めと分析
・ステークホルダの求めるものは何か?
・ステークホルダに影響力を与えるには

【ロールプレイ】
・顧客から仕様変更要求があったときの対処ロールプレイ
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

PMstyle 2024年4月~7月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。