2009年2月27日 (金)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月26日

テレビの報道番組のコメンテータで見て、そのコメントの質の高さに注目していたが、この本はその期待を裏切らない。一度さっと読んで、有料メルマガのネタに使い、もう一度すぐに読み直した。

4478007659_2 藤井 清孝「グローバル・マインド 超一流の思考原理―日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか」、ダイヤモンド社(2009)

自分の仕事の深みに入り込んでいって、自分の主義主張を語れる人というのは、結構いる。職人系の人、研究者(大学の先生)など。

でも、彼のようにキャリアを綴る中で、自分の主義主張を語れる人はそんなにはいないように思う。ぱっと思いつくのは、岡野工業の岡野 雅行さん。この人の言っていることはプロフェッショナルを超えて、すごみを感じる。

30年だもんなあ。キャリアの節目がきっちりマネジメントされているって感じの人生。自己決定をしているし。今はっていうか、昨年までは東大生の上位はこぞって外資系金融に行くって「悩む力」の姜尚中先生がよく言われているが、30年前に、灘高校から東大法学部に言って、三菱商事の内定を蹴って、マッキンゼーに行くって言うのはすごいことだと思う。

そのあとのキャリアの中では、ケイデンスのイノベーションの孵化器という話が一番おもしろかった。また、ヴィトンの話の中では、日米欧のブランド論というのが印象に残る。

この本でもっとも共感したいのは、本のテーマになっている「日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか」に対する論旨。ちょうどよい機会なので「ひとつ上のプロマネ。」ブログに記事も書いた。こちらでかなり詳しく紹介している。

「正解への呪縛」から解き放たれる

さて、今日は寝る前にもう一冊、読んだ。復刊で、すでに読んだ本だったので軽く読み流す。コロンビア大学の哲学の教授、ジョシュア・ハルバースタム先生の「Work」の翻訳。

4887596839 ジョシュア・ハルバースタム(桜田 直美訳)「仕事と幸福、そして人生について」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2009)

僕がワークライフバランスの本にあまり興味を持たないのは、2000年に出たこの本で終わっていると思っているから。この本の水準を超えた議論をすることは並大抵ではないと思う。この分野の本をこれだけ体系的に、かつ説得力を持ってかける人は日本国内では見あたらないので、これからも出てこないだろう。

かといって、仕事術としてワークライフバランスを語るのは聞くに堪えない。ある時点で切り取れば確かに仕事術である。語れる人は大勢いるだろう。しかし、ライフワークのライフとは人生で、ワークとはキャリアである。その2つの壮大なテーマのバランスなど、語れる人がそうそういるとは思えない。

このテーマはそんなテーマではないだろう。自分でじっくりと考えるテーマだ。その道しるべを与えてくれる貴重な本。

原著が絶版されていたとは知らなかった。どういう事情で復刊されたかは書かれていないが、喜ばしいことだ。結果として良かったかどうかは別にして、丹羽宇一郎さんの前書き、そして千場弓子社長のあとがきとくれば、力が入っていることはわかる。

いずれ、紹介記事を書こうと思っているが、プロジェクトで仕事をしている人には、ぜひ、読んでほしい本である。

2009年2月26日 (木)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月25日

昨日の日記はやりすぎた。とりあえず、写真の掲載は、その日によんだ本だけにしよう。。

ということで、さて、今日、読んだ本の1冊目。

4062725029 可兒 鈴一郎『世界でいちばんやる気がないのは日本人――成果主義が破壊した「ジャパン・アズ・No.1」』、講談社(2008)

まあ、言っていることはわかる。共感する部分も多い。ただ、同じ経験をした北欧人に学べというのは、あまり、訴えるものがないように感じる。まあ、そういう世界に育ってこられた方のようなので、そういう価値観なのだろう。

この本に書かれている問題の本質を知りたいなら、太田先生の本を何冊か、読んでみるべきだ。とりあえず、この辺がお奨め。

太田 肇「お金より名誉のモチベーション論 <承認欲求>を刺激して人を動かす」、東洋経済新報社(2007)

太田 肇「承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?」、東洋経済新報社(2007)

この理屈をマネジャー相手に展開できるといいのだが。

はい、もう一冊。

4492556338 秋元 征紘「こうして私は外資4社のトップになった」、東洋経済新報社(2009)

本のコンセプトは

勝間 和代「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)

に似ているが、こっちの方がいいのではないかと思う。やっぱり、実際にマネジメントの現場で身につけた考えは説得力が違う。何よりも感心したのは、ロジックとベタのバランスの良さだ。この本はいずれ紹介記事を書くので詳しくそのとき書くが、やたらと論理的なスキームを持ち込んできたのはコンサルタントであるということをもう一度、認識しておく必要がある。

コンサルタントはそれで商売になるが、経営者はどこかで現実適合する必要がある。そこでベタな論理が必要になるのだが、ここを如何に筋よく作れるかがその人の器だろう。秋元 征紘さんという方はそこがすばらしい。

2009年2月25日 (水)

なぜ、米国の労働制度は日本でうまく機能しないのか

4492532536 冷泉 彰彦「アメリカモデルの終焉、金融危機が暴露した虚構の労働改革」、東洋経済新報社(2009)

お奨め度:★★★★1/2

大学卒業後、米国に留学し、日米で企業勤務を経験し、その後、米国に移住し、大学講師をつとめ、現在は日本語学校に勤務している著者の組織や労働に対する日米比較分析。キャリアからわかるように両国の現場を知っているだけに非常に説得力のある分析が並んでいる。企業でマネジメントに関わる人にはたいへん、参考になる本だ。

続きを読む »

2009年2月24日 (火)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月24日

メインに日記を持ってきてから、日記に本の写真を入れてくれと言う要望が数人からあった。チョコットやってみましょうか。感想など、あれば、戴けるとうれしいな、、、

ちょっと古い本だが、畑村先生の

4061498703 畑村 洋太郎「組織を強くする技術の伝え方」、講談社(2006)

を読む。

出版は、某日経の誰かが命名して騒ぎ出した2007年問題がきっかけのようだが、そんな一過性のニーズではなく、技術論、コミュニケーションの本質論である。もっとも本質的な指摘は、技術は伝えるものではなく、「伝わる」ものだという指摘だろう。

僕が2007年問題にあまり興味がわかなかった理由はこの点にある。この議論を突き詰め、伝わるものだけが、伝える価値があると思うから。

こんな発言を京都でするのは極めて危険(笑)なのだが、タメに技術を守ってみても仕方ないと考える人なのである。

本当に守りたければ命を賭けることが必要だというのもわかるし、無くなって価値がわかるものもたくさんあることも理解する。そのくらいの多様性は持ち合わせているので、守ろうとする人の立場は理解できる。

その上で、残らなかったものは価値がなかったと考える人なのである。もっといえば、技術が消えていくことは重要なことだとすら思う。技術が消えることによって生まれる技術もある。

実際に、技術というのは文化と違って実用的な側面が強い。実用的である限り、価値の無いものは滅びるのが正しいと思う。ただ、美しさを持つ技術というのは存在する。例えば、刀鍛冶などは美しいと思う。このようなものは技術ではなく、工芸として残せばよい。

っていうと、また、かみつかれそうなので、この議論はここまでにして、もう一冊。

キャメルヤマモトさんの新作

4532490472 ヤマモト キャメル、太田 智「グローバルリーダー開発シナリオ」、日本経済新聞出版社(2009)

キャメルヤマモトさんの著書はかなり読んでいるが、

ヤマモト キャメル「鷲の人、龍の人、桜の人―米中日のビジネス行動原理」、集英社(2007)

4087203816 にたいへん共感を覚えている。今回の本は、背景にこのような国民感があると思って読むと、なかなか、興味深い。これは、キャメルさんのいう体感知に近いと思う。

キャメル・ヤマモト「キャメル・ヤマモトの「体感知」の技法―むずかしい仕事が必ずラクになる」、海竜社(2005)

続きを読む »

マネジャーが洞察するための最強ツール

4478006547 P.F.ドラッカー著、特別寄稿:ジム・コリンズ、フィリプ・コトラー、ジェームズ・クーゼス、ジュディス・ローディン、カストゥーリ・ランガン、フランシス・ヘッセルバイン(上田惇生訳)「経営者に贈る5つの質問」、ダイヤモンド社(2009)お奨め度:★★★★★

15年前に、ドラッカーの冠をつけた財団「ピーター・F・ドラッカーNPO財団」(現在はリーダー・トゥー・リーダー財団に改称)ができたときに、その存在意義を問うためにドラッカーが発した5つの質問を紹介した本。

続きを読む »

2009年2月23日 (月)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月23日

こういう本ができていたのか。

P.F.ドラッカー著、特別寄稿:ジム・コリンズ、フィリプ・コトラー、ジェームズ・クーゼス、ジュディス・ローディン、カストゥーリ・ランガン、フランシス・ヘッセルバイン(上田惇生訳)「経営者に贈る5つの質問」、ダイヤモンド社(2009)

知識と意図を行動に変えるか。上田先生は、この5つの質問がドラッカー経営学の神髄であると言われている。

質問会議という本が出てみたり、ヒューマンスキルの中でも質問することの重要性は認識が高まっている。僕はどうも違和感を持っているのだが、この本を読んでよくわかった。問いとは、考えて考えて考え抜かれた結果である。

質問は哲学の結晶であって、キャッチボールのように簡単に発すべきものではないのかもしれない。

それなりの質問はそれなりの気づきしか与えない。考え抜かれた質問は、深い洞察を与えるってことか。そう考えると、質問をコミュニケーションのツールに使うというのは、間違いかもしれない、、、

断っておくが僕は質問型のコミュニケーションには超肯定派である。その僕がそう感じた本ってことだ。

続きを読む »

【ほぼ日 読書日記】2009年2月22日

組み合わせのオーケストラ、擦り合わせのジャズ
組み合わせのアメフト、擦り合わせのサッカー

辺見 芳弘「「擦り合わせ」思考力 1+1=10の成果を挙げる発想&実践術」、PHP研究所(2009)

この本で披露されているミメロギア。音楽の好きな人なら、ジャズとオーケストラ、スポーツが好きな人なら、アメフトとサッカー。

なかなか、良くできたミメロギアである。

ミメロギアについてはこちらの記事を参照。
https://mat.lekumo.biz/ppf/2009/01/post-7fd1.html

問題意識はたいへんおもしろいと思った。ただ、なんかもやもやしているのは、本当に著者がいうような「ふくらまし」、「ええとこどり」、「メッセージ目線化」の3ステップで「擦り合わせ」なるものが実現できるのか?

この3ステップというのは、WinWinの関係構築の行動ステップにそっくりである。その意味では妥当なのかもしれない。

僕のイメージでいうと、擦り合わせというのはもっといいもののような気がする。コンサルティング系の発想なので、かなり、力業のようなイメージなのだが、何かとても本質的なものが抜けているようなぎこちなさがある。単に、僕の本の読み方が足らないだけかもしれない。

非常に気になる本ではあるので、日を改めて丁寧に読んでみよう。アメフトとサッカーの間には、もっと何か本質的な違いがあるようにも思うのだ。

2009年2月22日 (日)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月21日

新規プレゼント開始。

佐々木さんの「プロデュース能力」のサイン本。当選者の名前を入れたサインを貰える手はずになっている。こちらから応募してください。

さて、佐々木さんとメールのやりとりしながら、プレゼントのページを完成させたのち、ちょっと長めのお昼をとって、本を1冊読む。っていうか、その辺にあった本を一冊持って食事に出ただけだが、、

田原 祐子「あなたは、部下のやる気をなくさせていませんか? 」、インデックス・コミュニケーションズ(2009)

「枠」「軸」「船」か。どういう関係なのだろう?

っていうか、このオビに書かれている言葉は、三間連結か三位一体だろうと思って読んだのだが、ひょっとすると違うのかもしれない。単なるメタファ?いや、メタファにはなっていないなあ。

チームを三位一体や三間連結で表現するというのは、意外とおもしろいことなかもしれない。今度、考えてみよう。

いきなり、ごちゃごちゃ書いたが、著者は大変なカリスマリーダーらしく、書かれていることはなかなか、説得力があります、ハイ。ただ、よそ行きの本みたいな感じで、こんな言葉で10万人に通用するはずがないので、普段の言葉で書いてほしかったなあ、、、

2009年2月19日 (木)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月19日

東京駅の大丸の地下で、まい泉のお弁当を買って、近くの栄松堂書店で、単行本1冊と、新書3冊を購入。

マックス・ウェーバー(中山 元訳)「職業としての政治 職業としての学問」、日経BP社(2009)

有名な名講演2本。もともと、別の本として岩波から出ていた本をまとめた1冊。「職業としての学問」大学のとき、就職しようか、研究者になろうかと迷っていた時期に、恩師の先生のすすめでは4~5回読みなおした。

必ずしも理解したとはいえなかったが、今、改めて読んで見ると、マックス・ウェーバーが言っていることはよくわかる。研究者にならなくて正解だと改めて思った。

もう1本の「職業としての政治」は初めて読んだ。1921年の講演らしいが、今と全く構造が変わっていないのはちょっとびっくり。政治家は一度は読むべき本だな。

2冊目。

PHP総合研究所「エピソードで読む松下幸之助」、PHP研究所(2009)

感動した!これを抽象化した話にしてしまうと、単なるノスタルジア、高度成長期のよき時代の話ということになると思う。

が、読んでいてまったくそう思わない。もし、今、僕が「パナソニック」の社員で、社長が松下幸之助であったら、間違いなく感極まり、幸之助信者になるだろう。

物語というものの持つ力かもしれないし、松下幸之助の神髄がそう思わせるのかもしれない。いずれにしても、企業は人である限り、このように思えるというのはすごいことだなあとつくづく思った。僕も技術者であるので、これを言われたら泣くなと思う話がいくつかあった。

PM養成マガジンプロフェッショナルのPMサプリという企画で、時々、幸之助の言葉をサプリとして取り上げるのだが、そのときは反応が大きい。よくわかる。

続きを読む »

【ほぼ日 読書日記】2009年2月18日

今日はプロジェクトマネジメントオフィスのセミナーをやって、そのあと、いろいろと雑務や調整業務をしていて時間がとれなかったので、本を読まなかったが、ちょっとおもしろいことがあったので、日記を書く。

必要があって、佐々木さんの「プロデュース能力」のアマゾンのページを開いた。

佐々木 直彦「プロデュース能力 ビジョンを形にする問題解決の思考と行動」、日本能率協会マネジメントセンター(2008)

ご存じのようにアマゾンのすべてのページにはクロスセリングのコーナーがあるが、小さな感動を覚えた。

この本にクロスセリングでついていたのは、

佐々木 直彦「コンサルティング能力 新装版 相手の問題解決と夢実現を助ける6つの力
」、日本能率協会マネジメントセンター(2008)

國貞 克則「悩めるマネジャーのためのマネジメント・バイブル」、東洋経済新報社(2008)

佐藤 通規、金澤 透「ハイリターン・マネジャー」、東洋経済新報社(2008)

ロバート・グリーンリーフ、ラリー・スピアーズ(金井壽宏監修、金井真弓訳)「サーバントリーダーシップ」、英治出版(2008)

石川 光久「現場力革命」、ベストセラーズ(2008)

カ イ カ ン !

2009年2月18日 (水)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月17日

京都駅で購入。東京へ向かう新幹線の中で読む。

野田 稔、ジェイフィール「あたたかい組織感情 ミドルと職場を元気にする方法」、ソフトバンククリエイティブ(2009)

ジェイフィールは野田先生がマネジメント契約をしていたアミューズの力を借りて作られた会社。

アミューズはサザンオールスターズや福山雅治らが所属する有名な総合エンターテインメント企業で、ジェイフィールはそのノウハウをビジネスに持ち込んで新しい展開をしているという。アミューズ側はMBAコースの同級生が担当していることも含めて、ちょっと注目している会社。

そのジェイフィールの活動を紹介する本がやっと出てきた。

この本を読んでいるとそんなに変わっているという感じはしないが、不機嫌な職場がご機嫌な職場になると書いてある。ならは、すばらしいことだ。

リフレクション・ラウンドテーブルという「あの」ヘンリー・ミンツバーグ教授と同社との提携プログラムが売りのようで、かなりの紙面を割いて紹介されている。

最近、この本も含めて最近野田先生の著書にはミンツバーグの話がよく出てくるが、そういうことだったのかと改めて認識。

読んでいるうちにふと気がついたのだが、このプログラム、マーコードモデルのアクションラーニングと狙いも考えもよく似ている。ふむ。

これ以上書くと、読書日記の域を超えてしまいそうなので、ここまで。

で、もう一冊読んだ。

森元 伸枝「洋菓子の経営学―「神戸スウィーツ」に学ぶ地場産業育成の戦略」、プレジデント社(2009)

僕は今では京都がもっとも長く住んでいる地になったが、少し前までは神戸が長かった。住んでいたのが地震の前までなので、神戸の人たちに言わせると、もう神戸を知っているとはいえないらしい。

実は地震の年に僕は神戸大学のMBAコースに行った。地震の被害で試験が大学キャンパスではできず、大阪府大かどっかであった。無事合格して4月から通うが、大学時代にみた夜景とは全く別の夜景がそこにあった。昼間は点在する青いビニールシート。在学中の2年間のうちに徐々に光は戻ってきたが、結局、昔みた夜景に戻ることは無かった。

今はすっかり戻っているが、そんな経験を通じて、神戸が別の街に生まれ変わったというのは確かにそうなのだろうなと思う。

その中で、神戸スイーツは一旦落ち込むも、今は震災前以上の事業規模になっているそうだ。そこに着目したなかなか、秀作のフィールドワーク。ぜひ、紹介記事を書きたいので、今日はタイトルのみ紹介。

2009年2月17日 (火)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月16日

大阪出張。行き帰りの京阪電車の中で読んだ本2冊。

ジャック・スタック(神田 房枝訳)「その仕事は利益につながっていますか?―経営数字の「見える化」が社員を変える」、ダイヤモンド社(2009)

日本のモノ作りの現場で見える化がうまくいっているのは、モノ作りのリテラシーに支えられている部分が大きい。その証拠に、ソフトウエア現場の見える化は取り組みの割には成果が上がっていない。

経営の究極の見える化のアイディアを紹介した本だ。本としてはおもしろいし、米国で多くの人に読まれている実績もある。ただ、こんな見える化ができるほど、日本企業の透明性は高くない。

もう一冊。これも軽い本。

大林 伸安「仕事が楽しくなる!25のルール」、ダイヤモンド社(2009)

喜ばれる仕事をする
使命感が持てる仕事をする
達成間の味わえる仕事をする
成長を実感できる仕事をする
一体感がある仕事をする

の5つについて、そのための定石を5つずつ、提案している。具体的だし、現場的だし、よい本である。

ただ、専門職にはこの本を読むことはあまりお奨めできない。勘違いのリスクが大きい。専門職向けにこういう本を作ってほしいなあ。

人を重んじ、競争力を獲得する

4140911271 村山 裕三「京都型ビジネス―独創と継続の経営術 (NHKブックス) 」、日本放送出版協会(2008)

お奨め度:★★★★

やっぱり、京都だ!

京都は戦後ベンチャーのメッカである。グローバル展開している企業が多い。日本の中では唯一、東京を向いていない企業である。彼らの多くは、まず、日本で成功し、そのあとでグローバル展開という、日本企業がかかっているグローバル展開できない症候群にかかっていない。これはすごいことだ。

行政的にも新しい。よいか悪いかは別にして、日本では官僚が仕組みを考えて、それを日本全国の自治体に水平展開していく(垂直展開というべきか?)。その中で、情報センターやインキュベーションラボ、試作ネットワークなど、京都が独自に開始し、国策として取り上げられたものがある。

なぜ、こんなことができるのか?この本にその秘密が書かれている。

続きを読む »

2009年2月15日 (日)

スターバックスの店員はなぜ気持ちよいのか?

4532314348 ハワード・ビーハー、ジャネット・ゴールドシュタイン(関美和訳)「スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則」、日本経済新聞出版社(2009)

お奨め度:★★★★1/2

スターバックスを全世界に展開したハワード・ビーハー氏が、マネジメントの原則を10にまとめた本。独特の、しかも、エッジの効いた表現で、かつ、具体的に書かれている。

続きを読む »

【ほぼ日 読書日記】2009年2月14日

今回のビジネス書の杜書籍プレゼントへの応募者が意外と少ない。理由は3つ考えた。

・ラテラルシンキング(水平思考)への関心が低い

・ラテラルシンキングという言葉の意味がわからない

・アマゾンの評価が低い本

むう~、どれだろう?それ以外の原因か?興味深いなあ。

さて、今日、読んだ本。常に考えることをこういう視点からまとめた本は、意外と無かったのかもしれない。この本を読んでどう感じるかが、まずは、平凡で終わるか、非凡になれるかの分かれ目だ。

岩瀬 大輔、伊藤 真「超凡思考」、幻冬舎(2009)

ただし、ハウツー本としてこの本を読むのは時間の無駄。本田さんのレバレッジと被っている部分が多い。違う視点から、すべきことが被ることが本当にすべきことなのだろう。

それにしても、タイトルがいいなあ。

2009年2月14日 (土)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月13日

企画提案のために多少古い本を2冊。

酒井穣「あたらしい戦略の教科書」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)

ベストセラーになった「はじめての課長の教科書 」がそんなによいと思わなかったので、買ったまま読んでいなかったが、課長の教科書よりはるかによい本だ。

戦略思考の本というのは何冊かあるが、戦略論をこのような視点でまとめた本は珍しい。一般のビジネスマンがこの本を読んでピンとくるかどうかは微妙だが、コンサルタントや経営企画などの戦略策定に携わる人にはこれ以上ないテキストだ。

もう一冊。

畠山芳雄「中堅社員・どう能力を伸ばすか」、日本能率協会マネジメントセンター(2006)

畠山先生の「マネジメントの基本」選書の一冊。業績に直結した専門職ミドルのあり方について体系的に述べている。畠山先生の本は特段変わったことが書いてあるわけではないのだが、視点が体半分だけずれていて、そのずれがいろいろな気づきを与えてくれるし、また、本としても新鮮さを感じる。この本は特にそれを感じた。

2009年2月13日 (金)

メインの並びに掲載する記事について

2月7日に

>メインの並びの記事を「書籍紹介」から、「ほぼ日 読書日記」、「お知らせ」に変えました。
>これにともない、「お知らせ」として毎月、月初に、前月に書いた紹介記事のインデックスを掲載することにしました。

と書いたのだが、書き忘れたことがあるので、追加。

★5つの書籍の紹介記事もメインの並びに入れている。従って、

ラルフ・ウォルドー・エマソン(伊東奈美子訳)「自己信頼[新訳] 」、海と月社(2009)
や今日アップした

リコ・ドゥブランク「情熱仕事力―PASSION for SERVICE」、オータパブリケイションズ (2009)

はメイン記事に入っている。

サービスマネジメントの現場のバイブルにしたい一冊

4903721094 リコ・ドゥブランク「情熱仕事力―PASSION for SERVICE」、オータパブリケイションズ (2009)

お奨め度:★★★★★

リコ・ドゥブランクはディズニーやリッツ・カールトンで複数のホテルの立ち上げのリーダーを担当し、今はザ・リッツ・カールトン東京の総支配人を務める。このようなキャリアを持つリコ・ドゥブランクが自分のサービス(マネジメント)に対する信念を一冊の本にまとめたもの。

続きを読む »

【ほぼ日 読書日記】2009年2月12日

大切なことがたくさん書いてある。、、、ような気がする。

冷泉 彰彦「アメリカモデルの終焉」、東洋経済新報(2009)

仮説は、

「組織とは評価の対象と範囲を決めるために作られた」

というもの。この仮説で、成果主義をはじめ、いろいろな米国流の経営制度が日本にはなじまない理由を説明している。

仮説が正しいかどうかは人によってとらえ方が違うように思うが、この仮説一つで、いろいろな説明ができるというのはおもしろい。ただし、最後の提言はあまり、おもしろいとは思わなかった。

もう一つ、これをビジネス書の杜の読書日記に入れると、また、小池龍之介氏の本のような批判が出てくるかもしれないが、勇気を持って。

中村 雅彦「祈りの力―願望実現へのアプローチ」、東洋経済新報社(2009)

今年はスピリチャルマネジメントに手を出そうとしているが、この手の本は意外と多い。中村氏は、心理学者であると同時に、「拝み屋」。「拝み屋」といえば、このコミックスを愛読している。

宮本 福助「拝み屋横丁顛末記」、一迅社(2008)

中村さんの本に比べると、マンガだが、心理的に考えさせられる要素は結構あるし、和めるコミックス。

2009年2月12日 (木)

「ビジネス書の杜書籍プレゼント50回」の振り返り

今、実施しているもので、ビジネス書の杜 書籍プレゼントがちょうど51回になったので、過去50回のデータをまとめてみた。50回の実績がみたい人はこちら。

ビジネス書の杜書籍プレゼント

http://pmstyle.jp/honpo/present/list.htm

これだけの回数、決まった形のプレゼントを行っているといろいろな傾向が出てくるものだと感心。たとえば、某出版社の作る自己啓発本は、ほぼ、応募者数がそろっているが、これは見事なもんだ。見事なマーケティング力、企画力。

3月中をめどにもう少し、きちんと整理する予定だが、できないかもしれないので、気長に待ってほしい。とりあえず、頭出しで、応募数ベスト3と、プレゼント期間中売れ筋ベスト3を公開しておこう。

さて、これまでの応募数ベスト3は

<<1位>>
峯本展夫「プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル―論理と知覚を磨く5つの
極意」、社会経済生産性本部(2007)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4820118587/opc-22/

<<2位>>
アラン・コーエン、デビッド・ブラッドフォード(高嶋薫、高嶋成豪訳)
「影響力の法則―現代組織を生き抜くバイブル」、税務経理協会(2007)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4419050500/opc-22/ref=nosim

<<3位>>
デイビッド・ニクソン、スージー・シドンズ(中嶋秀隆訳)
「プロジェクト・マネジメント 危機からの脱出マニュアル―失敗ケースで学ぶ」、
ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478375216/opc-22/ref=nosim

である。まあ、応募数は、こちらの力のいれ具合というのもあるので、妥当な結果だなという感じがある。

ややこしいのは、アマゾンでの売れ数。まず、売れたことの売れ数の定義なのですが、まず、プレゼント企画の影響で売れた期間をいつからいつにするかを悩んでいたが、一応、

開始:プレゼント用ホームページの公開日
終了:プレゼントの発表日から1週間後

で一件落着。これが正確かというとそうはいえない部分があるが、たぶん、これでそんなに大きくは外れていないだろう。

で、興味深いのは、なんと、上の応募数ベスト3は1件もはいっていない!?。そして、代わりにベスト3に入ったのは

<<1位>>
堀 公俊、加藤 彰『ファシリテーション・グラフィック』~議論を「見える化」する
技法、日本経済新聞社(2006)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532312884/opc-22/ref=nosim

<<2位>>
デヴィッド・ボーム(金井真弓訳)「ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ」、
英治出版(2007)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862760171/opc-22/ref=nosim

<<3位>>
國貞克則「悩めるマネジャーのためのマネジメント・バイブル」、東洋経済新報社、
(2008)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492532498/opc-22/ref=nosim

の3冊。2位にデヴィッド・ボームが入っていたのでびっくりした。

このほかにも、ブログのアクセス数、アマゾンのアクセス数など、いろいろなデータをとっているので、機会をみてご紹介することにしよう。

PMstyle 2025年1月~3月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

アクセスランキング

カテゴリ

Powered by Six Apart

Powered by Google

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google