« 【戦略ノート286】人ベースのプロジェクトマネジメント | メイン | 魅力要因を生み出す「デザイン思考」 »

2012年5月28日 (月)

【インターパーソナルスキル・エンジン】第4回(その3) リーダーシップ(最終回)~リーダーシップの行動

Leadership(その1)プロジェクトリーダーシップの4つの役割

(その2)リーダーシップの活動

前回、リーダーシップの4つの役割について説明し、それぞれの役割でどのような活動をするかを述べた。

今回は、もう少し具体的に、その活動でどのような行動をすべきかを考えてみよう。


◆リーダーとしての役割に基づく行動

最初は、リーダーとしての役割に基づく活動から考えて行こう。

まず、「プロジェクトのビジョンを理解させ、賛同してもらう」ための行動としては、

・一般論から本プロジェクトの議論へ誘導するような問いかけを行う
・顧客が言っていること、言っていないことに注意を向ける
・プロジェクトマネジャー、顧客、主要ステークホルダが、同一のゴールや目標に向けて仕事ができるように、プロジェクトの目的に対する認識を明確にする

などの行動が求められる。また、「ビジョンに向けたプロジェクトの活動を動機付ける」ためには、自らがビジョンを通じて語っている価値観とチームの行動を整合することが望ましい。そのためには、

・メンバーの日々の業務を通じて、彼らの価値を示す
・リソースの制約、組織の方針、コントロールできない内外の要因により、できないかもしれない約束を慎む
・価値感と行動の統合に関する、メンターやコーチのフィードバックで得る

などの行動を取るとよいだろう。

さらに、チームをステークホルダに売り込み、ステークホルダの協力を引き出すために、ステークホルダに対して、「チームの声」を届けなくてはならない。そのためには、

・プロジェクトの進捗報告を定期的に提供する
・コンフリクトの解消、課題の解決にプロアクティブに、創造的に、率直に取り組む
・プロジェクトのゴールやベネフィット実現への協力を取り付ける


◆マネジャーとしての役割に基づく行動

二番目はマネジャーとしての役割に基づく活動について考えてみる。

まず、「管理の仕組みを作る」ことは、前回述べたようにプロジェクトマネジメントの導入に他ならないが、その際には、

・チームメンバーのすべきことが明確になり、計画を作り、遂行できるような役割とレスポンシビリティを示す
・チームメンバーに期待する振る舞いやパフォーマンスは、厳密なルールとして与えるのではなく、ガイドラインとして与える
・ミーティングは目的を明確にし、目的に焦点を絞って行う。

といったところに注意するとよい。さらに、「進捗をタイムリーにステークホルダに報告する」ためには、

・チームメンバーが自律的に適切な手続きで報告できるようにする。手続きはプロジェクト憲章に明記する
・キーワードの追跡やモニタリングができるようにする
・チームメンバーのポジティブで、主体的、創造的な態度を引き出す
・チームメンバーが準備するレポートを、読みやすく、ステークホルダが必要な情報だけが含まれるようなものになるよう指導する

などの行動をするとよい。


◆ファシリテータとしてのスキルと行動

ファシリテータとしての行動には、明確な形があるわけではないが、以下のようなスキルに基づく行動をとればよいだろう。

・議論のポイントを明確、かつ、正確に述べる
・オープンエンドの質問を投げかける。たとえば、「このプロジェクトが成功するには、何をすればよいと思うか」といった質問。
・傾聴し、話す人のメッセージの要点を認識するように努力する
・メンバーが正しく理解していることを確認する質問を投げる
・プロジェクトマネジャーやメンバーの支援をするために、専門的、かつ、社会的責任を持った行動をする意志を示す


◆メンターとしての役割に基づく行動

さらに、メンターとしての役割に基づく活動では、

・手本を示す
・チームとチームメンバーの成長に純粋に関心を持ち、彼らの問題に対して、カウンセリングをしたり、アドバイスを与える
・メンバーの現在と未来の活動に対して、可能性の示唆、リソース、問題解決のアプローチ、メンバーとの議論の機会を提案する
・フランク、かつ支援的なフィードバックを提供する
・長いプロジェクト期間に持続するするよう、チームを動機付ける

などを行うとよいだろう。


◆リーダーシップのまとめ

プロジェクトリーダーシップとして、4つの役割と活動、および、その役割に基づく具体的な行動を示した。今回示した行動をプロジェクトにおいてどのような行動として具体化するかについては、個別の問題であり、本連載の連動公開講座「プロジェクトマネジャーのための対人関係スキル講座」でエクスサイズを行い、考えてみたい。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆プロジェクトマネジャーのための対人関係スキル講座         ◆7PDU's
日時:2012年06月22日(金)10:00-18:00(9:40受付開始) 
場所:ヴィラフォンテーヌカンファレンスセンター汐留(東京都港区)
講師:好川哲人(エムアンドティコンサルティング代表、MBA)
詳細・お申込 http://www.pmstyle.biz/smn/interpersonal.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【カリキュラム】
1.プロジェクトマネジメントで対人関係スキルが重視される理由
~PMAJの調査から
2.プロジェクトマネジメントに必要な対人関係スキルを鳥瞰する
3.対人関係スキルの基盤としてのリーダーシップとコミュニケーション
4.「組織の協力を引き出す」対人関係スキル
・エクスサイズ1:上位組織を説得する
5.「顧客と協働する」対人関係スキル(2)
・エクスサイズ2:顧客との利害関係の調整
6.「チームを動かす」対人関係スキル
・エクスサイズ3:チームがまとまり、トラブルを乗り越える
7.対人関係スキルで仕事の仕方を変える(まとめ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/605869/31147403

【インターパーソナルスキル・エンジン】第4回(その3) リーダーシップ(最終回)~リーダーシップの行動を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

PMstyle 2024年4月~7月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。