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2012年5月22日 (火)

【インターパーソナルスキル・エンジン】第4回(その2) リーダーシップ(2)~リーダーシップの活動

Leadership

(その1)プロジェクトリーダーシップの4つの役割

(その3)リーダーシップの行動

◆プロジェクトリーダーシップ

前回の記事に対して、ある方からリーダーシップの範囲を超えているのではないかというコメントを戴いた。一般的にリーダーシップという言葉はリーダーの行動を指す言葉であるので、この指摘は正しい。ただ、この連載で言っているリーダーシップは、いわゆるプロジェクトリーダーシップであり、プロジェクトを進めるために必要なロールの行動を併せたものである。


◆プロジェクトマネジャーの役割

そもそも、プロジェクトマネジャーはどのような役割を期待されているのだろうか?この問題を考えてみたい。リーダーシップという観点からは、まずはリーダーである。リーダーとしての役割はプロジェクトチームを動かすことにある。

二番目は、マネジャーとしての役割だ。プロジェクトには、スコープ、スケジュール、コスト、品質、リスクなど、マネジメント(管理と是正)しなくてはならない対象がたくさんある。マネジメントする役割が求められる。

ここで注意しておかなくてはならないことは、リーダーとしての役割とマネジャーとしての役割には、シナジーがあるということだ。リーダーとして役割がうまく果たせれば、マネジャーとしての役割も高いレベルで果たせることが多い。逆に、リーダーとしてうまくできなければマネジメントに反発を買い、マネジャーとしての役割は管理者的な役割になってしまうだろう。

このような性質があることが混乱を招いている部分があり、リーダーの役割だけを果たそうとして、マネジャーの役割を放棄しているようなプロジェクトマネジャーを時々見かけるがこれはプロジェクトマネジャーとして適切な態度だとは言えない。

三番目は、ファシリテータとしての役割である。ファシリテーターとしての役割は、コミュニケーションを活性化することである。チームメンバー、スポンサー、社内の関係者、顧客など、多くのステークホルダの間のコミュニケーションを活性化することがファシリテータとしての役割である。この役割は、プロジェクトが大規模化、複雑化するにつれて、だんだん重要になってきている。

最後は、メンターとしての役割である。プロジェクトメンバーはある意味で親元を離れて、自分で成長することを求めらている。プロジェクトマネジャーは、その成長を助けることによってプロジェクトのパフォーマンスを高めていくことができる。

ここで明確にしておきたいのは、プロジェクトマネジャーは専門スキルの育成を抱え込むべきではないことだ。メンバーのスキル育成の責任はライン組織にある。ここを崩してしまうと、プロジェクトというワークスタイルの前提である、専門的なスキルを持つ人材が集まって特定の目的を果たすことが崩れてしまう。

もう一点注意しておきたいのは、キャリアパスについてである。この点についても、キャリアビジョンの構築はプロジェクトマネジャーが抱え込むべきではない。そのメンバーが次にどういう仕事をするかはプロジェクトマネジャーはコントロールできないので、ラインマネジャーに任せるべきである。その中で、各メンバーが持つキャリアビジョンに従ったキャリアパスの構築の支援をするのがメンターとしての役割だと考えるべきだろう。


◆プロジェクトマネジャーのリーダーシップ活動

さて、では、それぞれの役割で何をすればよいのかを考えてみよう。

まず、リーダーとしてだが、

・プロジェクトのビジョン(ミッション、目的、目標など)を明確にする
・ビジョンに向けたプロジェクトの活動を動機付ける
・チームをステークホルダに売り込み、ステークホルダの協力を引き出す
・変化を受け入れ、対処する

といった活動が必要である。

次に、マネジャーとしては

・プロジェクトの管理の仕組みを作る
・プロジェクト活動のコンプライアンスを管理する
・プロジェクトの進捗をタイムリーにステークホルダに報告する

などである。プロジェクトの管理の仕組みを狭い意味でのプロジェクトマネジメントという。

三番目はファシリテーターとしてであるが、

・コミュニケーションがきちんと行われるようにする
・メンバー、スポンサー、ステークホルダのいうことを傾聴する
・コンフリクトの解消の支援をする
・リソースの獲得を前倒しに進める

などの活動が必要だ。

最後のメンターとしては、

・チームのあり方、プロフェッショナルとしての在り方、組織人としての振る舞い方を示す
・メンバーの問題解決を支援する
・メンバーのキャリアパスの構築を支援する
・チームメンバーのパフォーマンスとその向上に心から関心を示す

などである。実際には、これらの活動は具体的な行動に落とし込まなければならない。どのような行動をとっていくは次回(リーダーシップ最終回)。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。