プロジェクトマネジャーの秘密 Feed

2007年1月 7日 (日)

【補助線】脱・タコツボプロジェクトマネジメント

『ひとつ上のプロマネ。』という言葉から、「プログラムマネジメント」、「マルチプロジェクトマネジメント」を連想される人は多いと思う。

Siya ある意味でこれは正しいと思う。ある意味というのは、これらは

 視野を広く持った上で、全体のバランスを考える

ことに本質があるからだ。

プロジェクトマネジャーは、得てして自分のプロジェクトの利益だけを考えて動く傾向がある。タコツボプロジェクトである。権限委譲の意味を勘違いし、権限委譲されているので、自分たちだけで「できる」と勘違いしているケースだ。

組織の中でプロジェクトをやっている限り、これは論理的に成立しない。無理は、組織の中での無理を生み、必ず自分のプロジェクトに跳ね返ってくる。ここをいかにうまくコントロールできるかが問題だ。

このすべてがプロマネの守備範囲だとは思わないし、それがPMコンピテンシーだとも思わない。むしろ、これは組織の問題であり、プロジェクトスポンサーの問題である。しかし、どこまで見えているか、そして、それに対してどのようなイニシャティブを取れるかは大きなポイントである。

タコツボから出て、海で泳ぐことができる。

これが、ひとつ上かどうかのひとつの分かれ目であることは間違いない。とりあえず、こんな本は如何でしょうか?

447979177901_1 アービンジャー・インスティチュート(金森 重樹監訳、富永星訳「自分の小さな「箱」から脱出する方法

「ひとつ上のプロマネ。」のブックリスト

Pmstyle_color1_2 PMstyle.bizに PMstyle.biz Booksを開店しました。サイト内で、書籍やソフトウエアの買い物をお楽しみいただけます。

日本語のサイトでこれだけきちんとプロマネ系の本を整理したサイトはないと思います。

「ひとつ上のプロマネ。」を目指す人は要チェックです!

PMstyle Books

2007年1月 6日 (土)

【補助線】栴檀は双葉より芳し

SIのプロマネをやっている山村さんから質問(意見)を戴いた。企業名を出さないことを条件に了解がえら得たので、公開質疑としたい。

【山村さんの質問】

「ひとつ上のプロマネ。」というのは、経験をつんだベテランのプロマネということでしょうか?ひとつ上のプロマネ。を目指すには、まず、多くのプロジェクトを経験するということになりますが、現実には同じようなプロジェクトしか担当しないので、難しいと思います。何か、アドバイスをいただければありがたいです。

Iimono僕は違うと思う。

 栴檀は双葉より芳し

という言葉がある。エンジニアの場合、この例えは難しい場合がある。それは、ファーストキャリアで、会社で仕事をすることの作法とか、お客さんとはどういうものなのかとか、常識がわかっていない人が、いきなり、うまくできるものではない(組織もそれはよく分かっているので、その時点での能力が発揮できるところにはめ込むので、それをあまり感じることはないだろう)。

ところが、プロマネはファーストキャリアであることはまずない。つまり、仕事をすることがどういうことか、お客様とはどういうものかを「その人」なりに分かっている。その上で、プロジェクトマネジャーという「ロール」をこなす。すると、やはり、「栴檀は双葉より芳し」となるのだ。たる人は、最初から「何かいいもの」を持っているのだ。

Kami これを「人間力」だとか、「PMコンピテンシー」だとかで言いたがるが、僕はそれでは物足らない。ひょっとすると、スピリチャルなものかもしれない。それをみなさんと一緒に探したいと思っている。

僕もよく分からないので、今のところ、「何かいいもの」とだけ言っておく。

確かに、「何かいいもの」は経験で身につくこともあるだろう。そういう人もたくさんいる。でも、経験だけでは身につかないようにも思う。

同じようなプロジェクトをやっていても、やり方が劇的に変わる。そんなゴールを目指しましょう!

2007年1月 4日 (木)

一皮むけた経験を教えて!

Hitokawa_1 よろしければ、あなたの

「プロジェクトマネジャーとして一皮むけたプロジェクト(経験)」

を教えてください。

可能なら、コメント欄を使ってください。自分のブログをお持ちの方は、トラックバックでも結構です。

といってもなかなか、ピンと来ないと思いますので、金井先生の「仕事で一皮むける」でケースとして取り上げられているものをリストしておきます。

・管理職になり、団交委員として組合とのネゴシエーションをする

・初の管理職で現場に異動、集団の力と技能の本当の意味を知る

・新規事業の立上げと撤収による人材温存策に腐心する

・「敵塩」ともなるプラント特命で、仮説・検証の重要性を学ぶ

・自分の価値観を押し付けないことと「公私の峻別」を体得する

・事業を起こす「しんどさ」と事業を成功に導く要素を知る

・必要なら客を巻き込む大胆さと正直さの必要性に気づく

・仕事に惚れ込み、悲壮がることなく楽しんでやる大切さを知る

・考えたらただちに行動を起こす「7割正しければ、GO」の必要性を学ぶ

・「心のつながり」と「ひとつの規範にこだわらないこと」の二大教訓

・営業成績最下位の地方支社に赴任、成績をAランクに引き上げる

・青天の霹靂人事で人材開発部長になり、人材開発に新風を吹き込む

・経営の方向付けを通し、部門の物差しを脱して大きな座標軸が獲得できた

・工場のS&Bで、専門を超えて何かを創り上げるダイナミズムを味わう

・リーダーとしてグローバルサプライネットワークを構築する

・営業転出で、旗本直参から尾張百万石の陪臣になったような悲哀を味わう

・課長にを部下に持ち、「個々人に合ったマネジメント」を学ぶ

・プロジェクトリーダーから代表取締役まで、自分の価値を高め続ける

・「あなたに頼んでいるのだ」のひと言が、自分のあり方を変えた

・上司の姿から、仕事への厳しさや妥協しない姿勢を身につける

・経済団体の会長スタッフ業務のなかで、瞬間を掴まえる「呼吸」を会得

・外部研修で、「複眼」でものを見るすごさを知る

といったようなものが並んでいます。業務上の秘密があると思いますので、このレベルで結構です。

ちなみに、好川がひとつあげるとすれば、

「技術士の資格をとり、技術者として自信が出てきた頃に、まったく知らない技術分野の技術開発プロジェクトのプロマネを任され、3年間にわたり、産学の30名くらいの専門家と折り合いをつけながら、非常に楽しくプロジェクト活動を行うことができ、大きな成果を得た」

です。技術者として仕事をし始めて8年目くらいのときのことだったのですが、このときにマネジメントは面白いと思いました。

では、みなさんの経験談をお待ちしています!

2007年1月 2日 (火)

今年のテーマ

今年のテーマのひとつを「抜く」にした。

「手抜き」など抜くというイメージはビジネスの中ではあまりよいイメージがない。無駄になってもよいので一生懸命やるのがよいという既成概念からなかなか抜け出せない。

「抜く」というのをもう少し、ポジティブに捉えてみたい。

そう思って、新年早々、上原先生の「抜く技術」を読み直した。ついでに「ビジネス書の杜」に書評も書いた。こちら

この本は基本的には省資源エネルギー開発の経験をまとめたものだが、そこから得られた知見をベースにしてさまざまな思考をまとめたものである。

この中に大変、重要なことが書いてある。それは

抜くことは抜きっぱなしではだめ。抜いたものを利用する仕組みを同時に考えておく必要がある

ということだ。肝に銘じておきたい。

2007年1月 1日 (月)

持論、あるいは、自論

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僕にとって「ひとつ上のプロマネ。」とは

 「持論に基づくプロジェクトマネジメント

あるいは

 「持論を持つプロジェクトマネジャー

である。

   持論(あるいは自論)はpractical theory in useという

経験をすることはとても大切だ。しかし、経験をするだけで、理論化をしないのであれば、そんなしんどい経験はしない方がマシだ。

歯を食いしばらなくてはならないプロジェクトでも、持論の構築に役立つと思えば、耐えられるし、積極的にできる。持論にはそんな役割もある。

今年は持論を作ってみませんか?

2006年10月29日 (日)

【補助線】プロジェクトマネジャーの成熟度モデル

PMsytleでは、プロジェクトマネジャー成熟度モデルを作っている。今のところ、あまり公開する必要がないので、公開していないが、10月からPMstyle.bizで「プロジェクトリーダーシップの教科書」というWeb連載を始めた。この中で、プロジェクトリーダーシップモデルを公開したので、併せて、公開しておく。

まず、こちらがプロジェクトマネジャー成熟度モデルだ(クリックすれば大きくなる)。プロジェクトマネジャーのスキPm3_1ルが高度化してくるとプロジェクトマネジャーとしての成熟度も上がってくるというパターンを想像された方は半分はずれ。

スキルはどうでもよいとは言わないが、スキルよりはコンピテンシー重視のモデルになっている。

Pm_leadership_6 それで、こちらがプロジェクトリーダーシップの5段階モデル。こちらについては、上に書いた連載を読んでほしい。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。