2009年7月21日 (火)

【補助線】目的と手段

◆目的と手段を混同してはならない

プロジェクトの企画にしろ、戦略策定にしろ、目的と手段を混乱してはならないという話は、昔から、よく言われる話である。

たとえば、野球の投手。何とかバッターを抑えたいと思って、早い球を投げれるようになりたいと思った。とりあえず、155Kmの球を投げれるようになろうと決める。早い球を投げることに熱中するあまり、いつのまにか、155Kmの球を投げることが目的になってしまい、本来の目的であるバッターを抑えるというのは忘れてしまっている。

イメージとしてはこんな話だ。

プロジェクトでもこの種の話をよく聞く。本来、目的があって、スコープが決まるのだが、「とりあえず」スコープが決まっているケースがよくある。つまり、目的が曖昧なままでスコープを決めている。

すると何が起こるかというと、スコープを忠実に実現することが目的になってしまう。

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2009年7月19日 (日)

PMサプリ180:人間は計画する葦である

人間は計画する葦である(加藤昭吉、コンサルタント)

◆チンパンジーと人間の違い
◆仮説力と計画力
◆プロジェクトとバナナ
◆目標達成手段としての使い方がイメージできなないものは計画ではない

【効用】
・PM体質改善
  アカウンタビリティ向上、計画力アップ、リスク管理力アップ、実行力向上
・PM力向上
  ステークホルダをコントロールする力の向上
・トラブル緩和
 モチベーション向上

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2009年7月14日 (火)

プロジェクト目的の秘密(全3回)~その1 目的と目標について理解しよう

◆はじめに

プロジェクトマネジメントの研修や、ワークショップで、「このプロジェクトの目的を設定しましょう」というと、必ず出てくる答えがある。

(例1)顧客の要求を満たす○○システムを作る
(例2)収益を増加させる

このような目的はほとんどの場合、あまり適切な目的だとはいえない。第1回の目的は、なぜ、これらの例がなぜ適切でないのかを理解していただくことである。

また、第2講「プロジェクトの目的・目標の秘密」(全3回)を通しての「目的」は、どのように考えて「プロジェクトの目的や目標」を設定すれば適切な目的の設定ができるかだ。

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2009年7月12日 (日)

PMサプリ179:コンセンサスが独創を生む

みんなが満足する結果にしようとあれこれ工夫することでシナジーが生まれ、一人では思いつかないような独創的な考えが出てくる(ディヴィッド・ストラウス、コンサルタント)

◆How to make collaboration work
◆顔を立てる
◆顔を立てることは無駄か?
◆不満足な部分があってはならない
◆相手の立場で自分を利する

【効用】
・PM体質改善
  リーダーシップ発揮、バランス感覚の洗練、問題解決能力向上、創造力アップ
・PM力向上
  ステークホルダをコントロールする力の向上、チームをまとめる力の向上
・トラブル緩和
  不要なトラブルの回避

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2009年7月 7日 (火)

【補助線】プロジェクトを「作業」から「仕事」に

◆仕事と作業の違いは?

いきなりで恐縮だが、PMP(R)の方に質問。work、task、activity の違いが説明できますか?

山﨑裕司さんという方が書かれた本に「日本語で書いた経営の教科書」という本がある。経営者やマネジャーにとっては示唆に富むたいへんよい本だ。

この本の中に、「仕事」と「作業」はどのように違うのかが明確に書いてある。それによると、

作業:定められたことをすること
仕事:目的に対して、効率的に貢献をするように作業を定め、割り当てること

だという。

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2009年7月 4日 (土)

サプリ178:ポジティブはネガティブに克つ

ポジティブな感情の方が、ネガティブな感情より影響力を持つ(ドナルド・クリフトン、ギャラップ社・元会長)

◆ポジティブ心理学の有用性
◆ネガティブのコントロールを重視する日本人とスポーツ新人類
◆ネガティブでは期待以上の成功はない
◆ポジティブがプロアクティブを生む

【効用】

・PM体質改善
  PM体質の全般に対して効果があります
・PM力向上
  PM力向上の全般に対して効果があります
・トラブル緩和
  弱気克服

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2009年7月 1日 (水)

お知らせ:ブログのタイトルを変えました

ついに、ブログのタイトルを変えました。1年くらい前に、

茂木 健一郎「思考の補助線」、筑摩書房(2008)

を読んだときに、このブログで書きたいのはこういうスタンスの記事だなと思いました。

そして、このときに、次のリニュアルでブログタイトルとして、「プロジェクトの補助線」、「プロジェクトマネジャーの秘密」、「プロジェティスタの思考術」、「プロジェクトファシリテーティング」、「プロジェクト思考の補助線」など、いくつか考えていました。

なかなかリニュアルのタイミングがなく、それから1年経ってしましましたが、やっとリニュアルをしました。結局、タイトルは

「プロジェクトの補助線」

としました。昨年、茂木 健一郎さんの本からインスパイアされたものです。

6月末にリニュアルしようと決めて、実は、直前まで「プロジェティスタの秘密」というタイトルにしようと思っていたのですが、つい最近、御立直資さんの

御立 尚資「経営思考の「補助線」  」、日本経済新聞出版社(2006)

という本を読んで、また、補助線という言葉が強烈にインプットされ、結局、1年前に感情が戻ったような感じです。

このブログは今回も含めて3回、タイトルを変えています。「一つ上のプロマネ。」というタイトルは結構長かったような気がしますし、まだ、極めていないので、心残りはあるのですが、この辺で1段、階段を上りたいと思います。

新しいタイトルもよろしくお願いします。

2009年6月30日 (火)

【補助線】ポジティブでいこう

◆ネガティブを裏返すとポジティブ

「ポジティブな感情を持とう」、「前向きに考えよう」とかいうと精神論みたいだが、意外とそうでもない。この議論、プロジェクトマネジメントの中で、「視点」を変えるのに意外と効果がある。ポジティブ心理学の本を何冊か読んで、いくつか気がついたことがあるので、ときどき、書きたい。

自分たちにとってよくないことを、ポジティブに捉えてみるというのは、場合によっては相手の立場でものごとを考えることに通じる。「ポジティブ心理学の祖父」と言われ、「ストレングス・ファインダー」という自分の強みを評価するシステムの発明者であるドナルド・クリフトンという人がいる。このシステムは世界中で100万人以上の人に使われているらしいが、日本ではあまり、噂を聞かない。むしろ、マーカス・バッキンガムと一緒に書いた「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす」という本の方がよく知られているかもしれない。この本も、ポジティブ心理学の本であるが、彼が、ポジティブに考えるためには、「相手の身になって考える」ことが必要だといっているのはまさしく表裏一体だといえる。

たとえば、多くのプロジェクトマネジャーが忌み嫌う顧客の「要求変更」という問題がある。確かに、途中で顧客の要求が変わると言うのは極めて面倒だ。いくつかの作業が無駄になってしまうだろう。

これは、プロジェクト側の立場での話。これをポジティブに捉えるとどうか?この変更によって、それまで決まっていなかったことが決まったのかもしれないし、不適切だったものが適切になったのかもしれない。いずれにしても一歩前進である。

実際に顧客にしてみればそうだ。

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2009年6月28日 (日)

サプリ177:創造は自分で目的を設定することから始まる

創造は自分で目的を設定することから始まる(中尾政之、東京大学大学院教授)

◆創造はシステムである
◆創造的なプロジェクトとは
◆創造的にできない理由
◆創造の積み重ねの延長線にイノベーションがある

【効用】

・PM体質改善
  創造力アップ、顧客感度アップ、顧客説得力アップ、リーダーシップ発揮
  問題解決能力向上
・PM力向上
  チームをまとめる力の向上、ピープルマネジメント力向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、チームの士気向上

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2009年6月22日 (月)

前提条件の秘密(全3回)~その1 プロジェクトの前提条件とは何か

◆前提条件はプロジェクトの臍

プロジェクトでは、予算や納期といった制約条件ばかりが注目されるが、ある意味で制約条件以上に重要なのは、「前提条件」である。前提条件をあいまいなままにしていて、失敗するプロジェクトは少なくない。

逆にいえば、プロジェクトマネジメントとは、前提条件を設定できないことで発生する問題を解決するための手段だと言ってもよい。たとえば、

・すべての人は放っておいても自発的に報告をする

という前提条件を設定してもよいし、

・メンバーはリスクを察知し、リスク回避行動を取る

という前提条件を設定しても一向にかまわない。しかし、現実にはそんな前提条件は多くの組織では非現実的であるので前提とはせず、その代わりにマネジメントでその前提が成り立たない場合の対処をする。マネジメントとは理想的な前提条件を獲得するための活動であり、プロジェクトマネジメントの組織習熟度はマネジメントを不要にする前提条件の多さを表す指標に他ならない。

ここで、改めて前提条件を定義しておこう。

前提条件とは、そのプロジェクトを実施する上での「仮定」である。上に述べたように、仮定がまったくなくなることはあり得ないし、かといって、非現実的な仮定をしても意味がない。

たとえば、「プロジェクトメンバーはプロジェクトの利益を考えて行動する」という前提がある。この前提の上に生産性、コミュニケーション計画、リスク計画などの計画をしてプロジェクトを進め、前提が間違っていて失敗したプロジェクトは多い。この例を一つとってみて、前提条件の大切さ・微妙さが分かるというものだ。

前提条件は、些細なことだが、プロジェクトに大きな影響を与える、いわばプロジェクトの臍のようなものである。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。