【イノベーションを生み出すマネジメント】第10話 非常識な状況を設定する
◆原価が1割下がらんのやったら、3割下げることを考えたらどうや
松下幸之助翁がブラウン管の原価を一割下げる方法はないものかと技術者たちが集まって議論していたところに通りがかり、
「みなさんね、原価が1割下がらんのやったら、3割下げることを考えたらどうや」
というアドバイスをしたというエピソードがある。3割下げようと思えば、今の設計や材料、工程に至るまで根本から見直す必要があるからだ。
絶頂期の松下(現パナソニック)は、マネ下とか、二番手商法とか、創造性のなさについて揶揄をされることが多い会社だった。製品技術的にはそうかもしれないが、このエピソードを読むかぎり生産や販売においては、どんどんイノベーションを繰り返していたことは間違いない。たとえば、ナショナルショップは間違いなく販売イノベーションだ。その秘訣はこのエピソードにあるように思う。
松下幸之助に関する本を読んでみると、この手のエピソードには事欠かない。このように、困ったときに極限の状況を考えてみるというのは水平思考の手法の一つである。
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