2013年2月18日 (月)

【イノベーションを生み出すマネジメント】第10話 非常識な状況を設定する

Innovative

◆原価が1割下がらんのやったら、3割下げることを考えたらどうや

松下幸之助翁がブラウン管の原価を一割下げる方法はないものかと技術者たちが集まって議論していたところに通りがかり、

「みなさんね、原価が1割下がらんのやったら、3割下げることを考えたらどうや」

というアドバイスをしたというエピソードがある。3割下げようと思えば、今の設計や材料、工程に至るまで根本から見直す必要があるからだ。

絶頂期の松下(現パナソニック)は、マネ下とか、二番手商法とか、創造性のなさについて揶揄をされることが多い会社だった。製品技術的にはそうかもしれないが、このエピソードを読むかぎり生産や販売においては、どんどんイノベーションを繰り返していたことは間違いない。たとえば、ナショナルショップは間違いなく販売イノベーションだ。その秘訣はこのエピソードにあるように思う。

松下幸之助に関する本を読んでみると、この手のエピソードには事欠かない。このように、困ったときに極限の状況を考えてみるというのは水平思考の手法の一つである。

続きを読む »

2013年2月17日 (日)

【10周年】クロージングイベントの様子(1月26日東京、2月2日大阪)

このたび、1年間にわたる10周年記念イベントをすべて終えることができました。

主なイベントは、連続セミナー、持論作成アクティビティ、インターパーソナルスキル連載の3つでした。連続セミナーには6回で延べ250名の方にご参加いただきました。また、持論アクティビティには52名の方が参加いただき、27名の方が持論を完成させていただき、持論集(非売品)を作りました。併せて、様子を日経BP社の日経ビジネスオンラインで発表することができました。日経ビジネスオンラインの発表は、作成して戴いた持論を発表するフェーズに入り、しばらく続くことになります。

これも伴い、PM養成マガジン10周年記念イベントのクロージングを1月26日(土曜)に東京で、2月2日(土曜)に大阪で行いました。

クロージングはPM養成マガジンの創刊2~3年目にかけて、PM養成マガジンセミナーというリアルな場での議論と、読者交流を兼て行っていたイベントのスタイルを復活させて、行いました。

東京、大阪とも、流れは

1.編集長・好川哲人のプロマネのセンスに関するスピーチ
2.持論の発表会(東京3名、大阪5名)
3.全体討論

+懇親会

という流れで行いました。

続きを読む »

2013年2月12日 (火)

【イノベーションを生み出すマネジメント】第9話 引き算によるイノベーション

Innovative

◆加えることがイノベーション?

イノベーションは新しい製品や機能を提供するが、それは多くの場合、「加える」ことだと考える。自分たちが提供しているものに何かを加えれば顧客にとってより魅力の大きいものになると考えるが、思い込みにすぎない。

それは同時に、製品やシステムを複雑にし、価格を引き上げる。たとえば、携帯電話に代表される情報家電という分野を考えてみるとよく分かる。部品の原価は下がっているが、新しい機能を加えることにより価値を加え、製品価格を維持している。携帯電話が普及してからフラグシップモデルはほとんど価格が変わっていない。そして、ついにはガラパゴスケイタイ(ガラケー)と呼ばれる商品になっていった。

ガラケーになると、一部のマニアを除くと、顧客は新しい機能についてこれなくなる。携帯電話でいえば、故障し、買い換えた方が安い(と勧められた)ので新機種に買い換えてみたものの、その機種の売りの新しい機能は使わず、以前の機種で使っていた機能しか使わないといったことが起こるわけだ。

このように、加えるイノベーションによって、ユーザがついてこれないという現象は多くの分野のイノベーションで共通にみられる。

続きを読む »

2013年2月11日 (月)

【イノベーションを生み出すマネジメント】第8話 本当の敵を探す

Innovative◆破壊的イノベーション

クリステンセン博士の発見した概念に破壊的イノベーションという概念がある。少し長くなるが、破壊的イノベーションについて説明しておこう。

この概念の発見のもとになったのは、ハードディスクのイノベーションだった。ハードディスクのイノベーションは、メインフレームで使われるハードディスク(14インチ)の記憶容量を上げることにあった。

そのような競争が行われている中で、新しいタイプのコンピュータが現れてきた。ミニコンピュータである。ミニコンピューターのハードディスクはより小型のもの(8インチ)が求められた。

ところが、メインフレームのハードディスクを開発しているメーカは、ミニコンピュータのハードディスクに興味を示さなかった。理由は2つある。一つは記憶容量という点でははるかに劣っているからだ。つまり、技術的に劣っているわけだ。もう一つは、これが重要なのだが、顧客(市場)のニーズがあるからだ。8インチが出てきても顧客は目をくれず、14インチの容量を大きくしてくれることを望んでいたのだ。

そうしているうちに、コンピューターの市場はミニコンピューターが中心になり、ハードディスクの出荷量もミニコンピュータ用のものが多くなってきて、技術進化も進み、ついには14インチのハードディスクを同等になってきた。そうなると、メインフレームも5インチのものを使うようになり、14インチのものは不要となった。そして、14インチをやってきたメーカは全滅した。

同じ現象が、8インチからパソコン用の5インチ、5インチから3.25インチと主流が移ったときにも起こっている。つまり、市場の声を聞く、市場の競争相手を見るだけでは競争相手のイノベーションに負けてしまうことがある。

破壊的イノベーションはコンピュータだけではなく、多くの業界で起こっている。

続きを読む »

2013年2月 1日 (金)

≪サプリ348≫素人のように考え、玄人として実行する

素人のように考え、玄人として実行する
                    (金出武雄、カーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授)

Supple

【成分】
◆プロフェッショナルはできるかどうかを判断する?!
◆本当のプロフェッショナルは、素人発想、玄人実行
◆玄人思考ではイノベーションが起こらない
◆実現可能性ではなく、価値を考えた例

このサプリの購入はこちらから!1か月分、500円です。

続きを読む »

2013年1月31日 (木)

「イノベーティブ・リーダー」のためのメールマガジン

Innovatio1有限会社エム・アンド・ティの好川哲人です。

2月から「戦略実行プロフェッショナル」メールマガジンは誌面を変更し、「イノベーション・イニシアチブ」として配信をしていきます。コンセプトは

イノベーティブ・リーダーのためのメールマガジン

です。

このコンセプトには、読者の方に、世の中を変革するリーダー、イノベーションを引き起こすリーダー、革新的なスタイルのリーダーを目指してほしいと言う想いがあります。

続きを読む »

2013年1月29日 (火)

<持論アクティビティ>27名の持論の概要紹介(その3:最終回)

Jiron持論の概要紹介の第3回として、9名の持論の概要を紹介する。今回で最終回になる。番号は前2回(18名)からの通し番号になっている。(イタリックは持論からの抜粋部分

<持論アクティビティ>27名の持論の概要紹介(その1)

<持論アクティビティ>27名の持論の概要紹介(その2)

持論の読み方については、第1回の記事を参考にしてほしい。

続きを読む »

2013年1月22日 (火)

<持論アクティビティ>27名の持論の概要紹介(その2)

 

Jiron持論の概要紹介の第2回として、9名の持論の概要を紹介する。番号は前回(9名)からの通し番号になっている。(イタリックは持論からの抜粋部分)

持論の読み方については、第1回の記事を参考にしてほしい。

<持論アクティビティ>27名の持論の概要紹介(その1)

https://mat.lekumo.biz/ppf/2013/01/jiron1.html

続きを読む »

2013年1月18日 (金)

≪サプリ347≫顧客の要求に応えるため、インスピレーションを磨け

顧客に感動を、驚きを連続して発信したければ、お客との対話は適当にして、お客の戯言から発想する、自らのインスピレーションに磨きをかけることに徹底して熱中した方がよい
(古我知史、ベンチャーキャピタリスト)

Supple

【成分】
◆顧客と話せば分かるという思考停止
◆最低限のレベル
◆顧客が感謝する
◆ワンランク上の対応はインスピレーションによりもたらされる
◆顧客の期待に応える

続きを読む »

2013年1月17日 (木)

お知らせ 「イノベーション・イニシアチブ」刊行のお知らせ

 

Innovatio1メールマガジン「戦略実行プロフェッショナル」の誌面刷新をします。戦略実行を中心にしたメールマガジンであることに変わりはありませんが、イノベーションとプロジェクト、そしてプログラムマネジメントに焦点を当てたいと思っています。

これに伴い、メルマガタイトルも「イノベーション・イニシアチブ」に変更します。イニシアチブというのは、「取組み」という意味です。

PM養成マガジンはプロジェクトマネジメントに焦点を当てているので、「プロジェクト」そのものにはあまり言及していません。こちらのメルマガでは、「プロジェクト論」のようなものもやりたいと思っています。

また、PMOについては「プログラムマネジメントオフィス」に的を絞った議論をしたいと思っています。

まずは名前の変更から、そして徐々に内容を変え、4月には完全に変わった姿をお見せするようにしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

PMstyle 2024年11月~2025年3月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。