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◆プロジェクトのインパクトを大きくする
いよいよ、7番目のポイントで、
(7)プロジェクトのインパクトを大きくする
について議論する。
これがプロジェクトマネジメントがコンセプチュアルでなくてはならない最大の理由でもある。
ヘンリー・ミンツバーグ(池村 千秋訳)「エッセンシャル版 ミンツバーグ マネジャー論」、日経BP社(2014)
ミンツバーグを最初に知ったのは、神戸大学のMBAコースで金井壽宏先生のゼミで、「マネジャーの仕事」という本を、すばらしいエスノグラフィーだと紹介されたことだった(確か、この本を読んで、エスノグラフィーを書くという課題が出された)。
ヘンリー ミンツバーグ(奥村 哲史訳、須貝 栄訳)「マネジャーの仕事」、白桃書房(1993)
このエスノグラフィーは非常にインパクトがあった。マネジャーというと、じっくりと落ち着いて熟考し、重要な決断をする仕事のようなイメージがあったが、ミンツバーグのエスノグラフィーによると全く違い、30分もまとまった時間がない仕事だと分かった。
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第48回でイノベーティブなリーダーは何をするのかという問題を、マネジメントとリーダーシップという視点から書いてみた。簡単にいえば、マネジャーは問題解決をするが、イノベーティブなリーダーは課題解決をするという違いがある。
今回はこの問題をもう少し深堀してみたい。
この話を議論するには、まず、イノベーションは「誰が」、「どのように」進めていくのかという問題を考えていかなくてはならない。
ビジャイ・ゴビンダラジャン、クリス・トリンブル(花塚 恵訳)「世界トップ3の経営思想家による はじめる戦略~ビジネスで「新しいこと」をするために知っておくべきことのすべて~」、大和書房(2014)
「リバース・イノベーション」で知られるのビジャイ・ゴビンダラジャン、 クリス・トリンブルのコンビが書いた「Beyond the Idea: How to Execute Innovation in Any Organization」という本がある。
日本では
として翻訳されている。
この本、イノベーションの実行に焦点を当てた類書のない素晴らしい本で、事例もふんだんに取り上げられているのだが、紹介した人からは事例を読んでもぴんと来ないという意見が多い。イノベーションの本は、一般のビジネス書のように事例を自分たちの仕事でイメージするのは難しいからだろう。
日本でイノベーションがなかなか進展しない理由の一つは、新しいことをしなくてはならないイノベーションではほかの分野のように模倣が難しく、事例が役に立たないからだ。これがイノベーションという仕事の特性だと思われるが、このハードルの解消策を本として考えると、同じ目線でその本の中に入っていろいろと考えるような作り方が必要なのだと思う。疑似エスノグラフィーと言ってもいいだろう。
そのような作り方の一つの方法はストーリーとケーススタディであるが、「イノベーションを実行する」のストーリー版の本が出た。
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◆イノベーションには「立ち止まる」ことが必要
先日、ケヴィン・キャッシュマンの「優れたリーダーは、なぜ「立ち止まる」のか」(英治出版、2014)という本を読んでいて、その通りだなと思ったことがある。それは
心と体に睡眠が必要であるように、リーダーシップとイノベーションには「立ち止まる」ことが必要である。
具体的に「立ち止まる」ことが何を意味しているのかは本を読んでもらうとして、少し、これに関連して常日頃感じていることを書いて見たい。
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ニーズをウォンツは違うという話は30年前からある話だが、ここにきてまた、話題になることが多くなった。それは、デザインや行動観察に関心が高まってきたためだ。
昔からある話は、ニーズは顧客やユーザに尋ねるものではない。開発者が考えるものだ。という話。考える方法の一つに市場調査があった。市場調査をして、その結果からニーズを分析する。
ところが、特定の状況を除いて市場調査には極めて高い想像力が必要である。特定の状況と書いたのは、後追いをする状況である。後追いをする分には、先行の商品の機能やせいぜい改善的プラスアルファを調査範囲にしておけばよい。
ところがトップを走りだすとそうはいかない。ゼロから新しいものを考えることになる。すると、市場の調査の範囲も想像(創造?)しなくてはならなくなる。日本の多くの企業はまず、ここで躓いたように思う。
そこで、始めたのが顧客の声を聞くという話。市場ではなく、個々の顧客をインタビューなどで聞くようになった。
ここで問題になるのが何を聞くかである。ニーズを聞いても答えは返ってこない。たとえば、顧客にどんなクルマが欲しいですかと答えは返ってこない。当然のことだ。
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◆コミュニケーションの質が上がればプロジェクトの成功率は上がる
今回は6番目のテーマである
(6)コミュニケーションを向上させる
について考えてみたい。コミュニケーションはいうまでもなくプロジェクトマネジメントの生命線であり、コミュニケーションが機能しなくなればプロジェクトは間違いなく崩壊する。
逆にプロジェクトマネジャーの仕事の80%以上はコミュニケーションだといわれているように、コミュニケーションの質が上がればプロジェクトの成功の確率は高まる。コミュニケーションの質を上げるために、コンセプチュアルスキルを役立てることが今回のテーマである。
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◆トヨタの問題解決
前回イノベーティブリーダーとは何かという話題の中で、ソリューションとイノベーションは違うという趣旨のことを述べたところ、ちょっとした反論(?)があった。それは、どこに境界があるのかという疑問だった。
その方がメールで述べていたのは、「トヨタの問題解決」という本の中に書かれていたことを引用されていたので、この本に書かれていることを紹介しつつ、僕の見解を述べたい。
トヨタの問題解決に何が書いてあるかというと、トヨタでは問題解決は2通りあると考えられており、
・現実に起こっている問題に対する発生型問題解決
・目標設定を上げたときに起こる問題に対する設定型問題解決
の2つがある。これらの対応責任は現場にあるのだが、これ以外に主に工場長などの幹部が責任を持つ問題に「ビジョン指向型問題解決」というのがあるそうだ。
好川哲人
技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。
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