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2020年1月30日 (木)

【コンセプチュアル講座探訪】クリティカルなプロジェクトをマネジメントする~「クリティカルシンキングを活用したプロジェクトマネジメントの実践」

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceptual_course/
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Critical1

◆クリティカルとは
 
最近、クリティカルなプロジェクトという表現をよく耳にするようになりました。プロジェクトマネジメントは、クリティカルなプロジェクトを成功させるための手法だという認識を持つ人が多いと思います。
「クリティカル」には、2つの意味があります。一つは、「危機的」、「致命的」という意味です。もう一つは「批判的」という意味で、こちらは必ずしも否定的な意味合いではありません。批判的とは
 
「「これは本当に正しいのか」と疑問を持ち、考察・検討を加えることで、最適な答えを見つけ出す」こと」
 
もう少し簡単に言えば「検討を加えて評価すること」ことです。
 

◆クリティカルなプロジェクト
 
クリティカルなプロジェクトの例を考えてみましょう。
 
前者の意味では、スケジュール遅延や予算超過が大きくなり、いわゆる「炎上」したプロジェクトが典型的な例です。後者の例としては、要求が厳しく、普通に計画を作って取り組んでもまず、成功しないプロジェクトがそうです。
 
この2種類のクリティカルなプロジェクトのマネジメントの仕方は違ってきます。
 
前者に対しては、プロジェクトマネジメントはプロジェクトリカバリーのマネジメントが役割になります。後者に対しては、プロジェクトのリスクをできるだけ分析し、前倒しに対応することによってプロジェクトを成功に導くことがプロジェクトマネジメントの役割になります。
 

◆クリティカルなパス
 
クリティカルという言葉に関連して、もう一つ、考えておきたいのはクリティカルパスというプロジェクトマネジメントの基本手法です。よく知られていますように、こちらはプロジェクトを最短時間で完了するための工程を指します。クリティカルパス上にあるタスクが遅延するとプロジェクト全体のスケジュールが遅れます。
 
クリティカルパスという言葉は不思議な言葉で、日本語がありません。上の日本語を使って直訳すると「危機的な道」、あるいは「批判的な道」ということになります。意味合いからすると、プロジェクトに危機をもたらす工程を明確にする概念ですので、クリティカルパスを使ったマネジメント役割としては、「批判的」という方が近いと思われます。
 
プロジェクトにおけるクリティカルという概念を整理すると以上のようになりますが、問題はここからです。
 

◆クリティカルなプロジェクトのマネジメント
 
クリティカルなプロジェクトに対して、マネジメントはどうあるべきかという問題です。クリティカルなプロジェクトには、クリティカルに考えるべきポイント、つまり、
 
「「これは本当に正しいのか」と疑問を持ち、考察・検討を加えて見つけ出す、最適な答え」
 
があります。
 
では、これとは何でしょうか。考えられる候補がいくつかあります。一つはプロジェクトそのものです。ここにはいくつかの要素がありますが、もっとも重要なのはプロジェクトの目的でしょう。二つ目はプロジェクト目標です。そして、三つ目はプロジェクト計画です。
 

◆目標に対する批判
 
プロジェクト目的はプロジェクトの立ち上げる際に決定します。これについては後に回すことにし、プロジェクト目標から考えてみましょう。つまり、
 
「「プロジェクト目標は本当に正しいのか」と疑問を持ち、考察・検討を加えることで、最適な答えを見つけ出す」
 
ということになります。
 
プロジェクトの種類にもよりますが、業務をプロジェクトとして実施する場合には、スケジュール、予算、要求などの目標は組織や顧客から示されることが多くなります。そこで、プロジェクトマネジメントとしてはこれらに対して批判的な視点を持ち、最適な目標を見つけ出すことが役割になります。
 

◆計画に対する批判
 
次に、計画だと考えるとどうなるでしょう。つまり、
 
「「プロジェクト計画は本当に正しいのか」と疑問を持ち、考察・検討を加えることで、最適な答えを見つけ出す」
 
ということです。
 
これはプロジェクトチームの中の話になりますが、プロジェクト計画は類似プロジェクトの実績から見積もりを行い、作成します。ここで、本当にその見積もりでいいのかどうかを批判的な視点で見る必要があります。
 
ここで重要なことは、リスクです。特に新規性が高いプロジェクトの場合、見積もりにマージンを入れ、計画をすることがよくありますが、これは間違いです。正しくは、ネットの見積もりを出し、リスク計画で備えておくべきです。
 
このようなやり方をしようとすれば、計画を批判的に見て、最適な値を設定した上で、その計画をさらに批判的な視点でみて、リスクを算出していく必要があります。
 
もちろん、これらのマネジメントは初期計画の時点だけではなく、プロジェクト期間を通じて、継続的に行う必要がありますが、いずれにしても計画を批判的に策定することがプロジェクトマネジメントの役割だといえます。
 

◆目的に対する批判
 
さて、ここで最初にスルーした目的の話を考えてみたいと思います。目的の設定の仕方で現実的に多いのは、上に述べましたように組織や顧客が目標を与え、目的はプロジェクトが作るというものです。
 
このようなやり方をしている背景には、目標は一度決めれば変わらないので、目的は経営実績に貢献するとか、どのプロジェクトでも当てはまるようなものでよいと考えていることがあります。
 
しかし、VUCAの時代には、プロジェクトを実施している最中に目標を変えざるを得ないようなプロジェクトが圧倒的に多くなってきます。例えば、製品開発で競合がもっと進んだ新製品を投入することが分かったので対応したいとか、顧客ニーズが変わってきたので変更したいとかいったことが頻繁に起こるようになってきました。
 
これに対応しようと思えば、目標をどう決めるかが問題になりますが、その源泉になるのが目的です。何のためにそのプロジェクトをやるのかをしっかりと決めておかないと、目標の変更は場当たり式になります。
 
そこで、目的に設定においては、徹底的にクリティカルに考え、最適な目的を考える必要があります。つまり、
 
「「目的は本当に正しいのか」と疑問を持ち、考察・検討を加えることで、最適な答えを見つけ出す」
 
をプロジェクトマネジメントとして実践する必要があります。これによってプロジェクト成果が変わってくるのです。このあたりの議論は、PMスタイル考の158話に詳しく説明していますので、ぜひ読んでみてください!
 
【PMスタイル考】第158話:プロジェクトの成果と成果物
 https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2019/10/post-f682.html
 

◆セミナーの目的と構成
 
このようなクリティカルなプロジェクトマネジメントを学ぶセミナーとして
 
クリティカルシンキングを活用したプロジェクトマネジメントの実践
 
があります。
 
このセミナーでは、クリティカルなプロジェクトとはどのようなものか、また、クリティカルなプロジェクトをどのようにマネジメントすればよいかを概論した上で、3つのポイントについて掘り下げます。
 
一つはプロジェクト要求の分析です。プロジェクトへの要求に対しては、ステークホルダーの言い分に振り回されがちです。そこで、要求の分析にクリティカルシンキングを活用することによって、ステークホルダーの要求の本質を見極め、プロジェクトをスムーズに進めていくことを目指します。
 
二番目はリスクマネジメントです。リスクにおいて現象だけを追いかけていると、その意味するところが分からず、予期しなかったリスクの発生に戸惑うことがしばしばあります。このようなリスクに対して、リスク分析にクリティカルシンキングを活用することによって、本質的なリスクを洗い出し、リスクを抑えてプロジェクトを進めていくことを目指します。
 
三番目はステークホルダーマネジメントです。これはテーマ1の要求分析とも関係してきますが、プロジェクトにおいて重要なステークホルダーを見誤ると致命傷になりますが、現実にはある問題の意思決定者を見誤ることは少なくありません。このような問題を解決するために、ステークホルダー分析にクリティカルシンキングを活用し、適切なステークホルダーに適切な対応をしていけるようになることを目指します。
 
プロジェクトマネジメントの質をワンランク向上させたいと考えている人、3つのテーマで困っている人にお薦めのセミナーです。
 
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆クリティカルシンキングを活用した
               プロジェクトマネジメントの実践 ◆(7PDU's)
  日時・場所:【東京】2020年 02月 28日(金)10:00-18:00(9:40受付開始)
            ちよだプラットフォームスクウェア(東京都千代田区)
  講師:好川哲人(有限会社エムアンドティ)
     鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/critical_practice.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス、PMAJ共催
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  【カリキュラム】                     
1.クリティカルシンキング概要
  【演習】仕事の本質を考え、関係者として、評価する
2.クリティカルシンキング応用(1)~要求分析
  【演習】本質要求を探す
3.クリティカルシンキング応用(2)~リスクマネジメント
  【演習】リスク特定、対応計画
4.クリティカルシンキング応用(3)~ステークホルダーマネジメント
  【演習】ステークホルダー特定、ステークホルダー計画
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◆関連セミナーのご紹介
 
クリティカルシンキング自体を学びたい人にはこちらのセミナーをお薦めします。

「クリティカルシンキング入門」(2月19日)

 ※本セミナーは東京でも開催しています。本年度は東京分は終了しました。
 
また、クリティカルシンキング以外にもコンセプチュアルスキルをもっとプロジェクトマネジメントに使おうというテーマのセミナーを以下の3つを実施しています。
 
「PDCAとOODAの統合によるコンセプチュアルプロジェクトマネジメント」
(大阪:2月6日、東京:3月3日)
https://pmstyle.biz/smn/conceptual_ooda.htm
 
「コンセプチュアルなプロジェクトマネジメントのポイント」
(東京:3月10日)
https://pmstyle.biz/smn/conceptual_pm.htm
 
「A4プロジェクトマネジメント~OODAで自律的に動く」
(大阪:2月7日)
https://pmstyle.biz/smn/pm_simple.htm
 

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。