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2017年6月26日 (月)

【コンセプチュアル思考によるイノベーション】第3回 大局と分析の行き来でエクセレントな現場を創る

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Toyota

◆トヨタ生産方式とは

今回は、日本のイノベーションの中で国際的な影響を与えたという点では、ベスト3に入るのではないかと考えられるトヨタ生産方式について分析してみたいと思います。

トヨタ生産方式は、「豊田式汽力織機」の「自働化」と、トヨタ自動車の「ジャスト・イン・タイム」を柱とするマネジメント方式です。生産管理の考え方というより、経営思想だといってもよいでしょう。

「自働化」は1950年代に考案されたもので、ニンベンのついた自働化とも呼ばれます。機械自身に異常の有無を把握する機能を組み込むことにより、機械異常が発生した場合には機械及びラインを停止し、後工程への不良品の供給を回避する考え方です。

「ジャスト・イン・タイム」は、1960年代に考案されました。生産工程の各段階に、必要なものを、必要な時に、必要な量だけ運ぶことにより、造りすぎのムダをはじめとするさまざまなムダを排除し、リードタイムの短縮化とともに生産効率の改善を実現しようとする考え方です。

トヨタ生産方式は、これらを動かす「人」を育成することにより初めて実現するものであり、これまでの常識にとらわれない意識改革が重要と考えられています。


◆トヨタ生産方式が語る生産活動の本質

このような発想をするには、生産作業だけではなく、生産活動の本質は何かを熟考する必要があります。自働化もジャスト・イン・タイムも現場の実態に注目し、発案された手法のように見えますが、それだけではありません。

いずれも、生産現場で起こっている問題が、工場全体、あるいは経営に対してどういう問題なのかを考えた上で、それを解決することによって現場の問題を解決していることが分かります。

ジャスト・イン・タイムであれば、造りすぎのムダ以外に

・手待ちのムダ
・運搬のムダ
・在庫のムダ
・動作のムダ
・不良・手直しするムダ
・加工のムダ

といったムダを排除しています。

このようなことが出来るのは、生産現場で起こっている問題を、生産活動、あるいは経営活動の問題という大局的な視点を考慮しているからです。これは、コンセプチュアル思考で考えている大局的/分析的の軸を使った思考法に他なりません。


◆WHYで本質を見極める

日本では現場で仕事をしている人たちは、自分の見える範囲にしか興味を持たず、それ故に大局的な視点からの発想が苦手です。

このような傾向の中で異彩を放っている企業の一つがトヨタですが、トヨタも現場主義の企業だと認識されています。しかし、本当の現場主義は、大局的な視点と現場の分析的な視点を持ち、行き来しながら、現場の方策を決めることだということが、トヨタを見ているとよくわかります。このために実践しているのが、WHYによる(問題の)本質の掘り下げです。

このような方法は特にオペレーションのイノベーションには非常に有効な思考法だと考えられます。


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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。