【イノベーション戦略ノート:102】チェンジドライバーを見つける
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◆チェンジドライバー
時代が変わり、イノベーションを必要とする仮説、常識、前提は崩れはじめる時期が必ずある。こういう状況を引き起こす要因をチェンジドライバーと呼ぶ。今回の戦略ノートはチェンジドライバーについて考えてみたい。
チェンジドライバーという言葉を知ったのは、金巻龍一さんの書かれた「外資系コンサルタントの企画力」(東洋経済新報社、2015)で、この本で金巻さんは「ゲームのルールを変える事象」がチェンジドライバーで、典型的な例には技術革新や規制緩和などがあると述べられている。
「外資系コンサルタントの企画力: 「考えるスイッチ」であなたの思い込みを覆す」
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この議論はイノベーションのテーマを探すときに非常に重要である。
◆戦略と前提
一般的に戦略は現在の前提の中で考えられ、現在の前提に対して有効な問題解決になる。そして、その戦略の中で戦略実行をするために有効な打ち手を製品やサービスなどの形で提供していく。イノベーションもその範疇で考えられていることが多い。
そうすると、イノベーションのテーマは現在の前提の中で探されることになる。現在の前提に対して、どのような変革が求められているかを考え、探していく。一方で、戦略によって前提が変わってくる。
たとえば、労働のイノベーションとも言ってもよいのが残業を無くすことだ。ところが取り組んでみてもうまく行かない。なぜかと考えてみると、「残業はすべきである」という前提が変わっていないからだ。ところが、現実には戦略として「生産性の向上」を掲げて取り組んでいると、この前提が変わっているのだ。
つまり、「残業をすべきだ」という古い前提でいくら革新的な施策を打っても、変革はできない。必要なのは、「残業はすべきではない」という新しい前提に基づく施策である。
ところがこの変化をうまく扱うのは難しい。なぜなら戦略によってどのように前提や常識が変わるかが計画されていないからである。この計画をするのがシナリオプラニングである。
◆シナリオをチェンジドライバーにフォーカスする
戦略策定において前提をどのように変えていくのかという未来シナリオを作るシナリオプラニングを行う。そうすることによって打ち手のイノベーションが戦略を実行することを目的としたものになっていく。シナリオが戦略とイノベーションの統合の役割を果たすようにできる。
イノベーションだけではなく、前提を変えるという方向で打ち手の戦略実行のテーマを考えることは、すべての打ち手がイノベーションになる可能性もある。いずれにしても、イノベーションによる戦略実行が加速するのは間違いない。
このようにシナリオを使うということは、シナリオをチェンジドライバーとして使うことに他ならない。
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