【イノベーション戦略ノート:076】イノベーションには創造的な計画が必要
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第73回でイノベーションにおける計画の議論をしたが、今回は少し視点を変えて、計画というものを考えてみたい。その視点とは、計画の創造性という視点である。
創造的問題解決というのは比較的よく使われる言葉だ。意味合い的には、これまでになかった方法で問題解決を行うという意味で、以下の2つの場合に必要になる。
・既存の問題の制約が変化し、新しい解決方法が必要になる
・新しい問題に対して、既存の解決方法が通用しない場合
いずれもイノベーションが求められることになる。
これに対して、計画が創造的であるとは、その計画が社会や個人にとって新しい価値を生み出すことである。
◆計画とは将来への意思である
計画に関して極めつけの名言
計画とは将来への意思である
をいったのは卓越したエンジニアであり、その後、昭和を代表する経営者になった土光敏夫氏である。彼の言葉はこう続く。
将来への意思は、現在から飛躍し、無理があり、現実不可能に見えるものでなくてはならない。現在の延長上にあり、合理的であり、現実可能な計画はむしろ「予定」と呼ぶべきだろう。将来への意思としての計画は、困難を受け入れ、困難に挑み、困難に打ち勝つモチーフを自らのうちに持たなければならない。
我々は多くの場合、将来の意思としての計画を創っていない。作っているのは予定である。創造的計画とはまさにこの将来の意思としての計画である。
◆イノベーションが起こらない問題の本質は
イノベーションを起こすには、創造的な問題解決だけでは十分ではない。計画自体が創造的でなくてはならない。つまり、新しい価値を生み出そうとする計画でなくてはならないのだ。
言い換えると、現在から飛躍し、無理があり、現実不可能に見えるものでなくてはならないわけだ。
実体がどうなっているかと考えてみると、逆になっている。つまり、実現可能である計画をするようになってしまっている。そこでは、計画にも問題解決にも創造性はない。したがってイノベーションは起こらない。これがイノベーションが起こらないという問題の本質だといってもいい。
◆イノベーションには計画の創造性が必要
イノベーションを起こすには、問題解決以上に、計画の創造性が重要である。そして、それを受け入れ、挑戦することが重要なのだ。企業はイノベーションのためにある、企業が生き延びる唯一の方法はイノベーションであるなどと、いくら、精神論を振りかざしていてもイノベーションは起こらない。
イノベーションを起こす唯一の方法は創造的な計画をすることである。そして、それはプロジェクトイニチアチブのもっとも重要な部分である。
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