【イノベーション戦略ノート:075】ハッカソンによるオープンイノベーション
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最近、ハッカソンとか、アイデアソンという言葉をよく目にするようになった。言葉の定義はあいまいであるが、提示された課題に対して、参加者が持つスキルを使って決められた時間内で解決する参加型のイベントを○○ソンという。
ハッカソンという言葉はもともとソフト業界で使われていたもので、ハック(hack)とマラソン(marathon)を合わせた混成語だと言われる。考えたのは、OpenBSDの開発者やサン・マイクロシステムズのマーケティングチームだといわれる。ソフトウエアであれば、アイデアから成果をその場で作り上げることができるので、アイデアだけではなく、モノ(ソフトウエア)を生み出すのがハッカソンということだ。
やがてハッカソンはソフト業界以外でも使われるようになってきた。特に、3Dプリンタが手軽に活用できるようになってからは、ハードウエアもその場で作ることが可能になり、それがハッカソンのイメージになっている。つまり、ハードウエアまでを成果物とするのがハッカソンで、アイデアのプレゼンにとどめるのがアイデアソンである。
◆ハッカソンの普及
ソフトウエア業界でハッカソンが行われるようになったときには、オープンソフトウエアの開発が目的であり、どちらかというとエンジニアのイベントだった。
しかし、ハッカソンが一般化するにつれ、多様な人たちが集まり、新しい価値を生み出すことが重視されるようになってきた。ハッカソンには一般的に
・エンジニア
・デザイナー
・プロデューサー
・マーケッター
・マネジャー
などが集まる。さらに、最近では、企業の枠を超えて人が集まり、オープンイノベーションの場として機能するようになってきた。
この動きは、これからますます、盛んになっていくと思われる。IoTのようにすべてがつながる世界になっていくからだ。
◆ハッカソンの参加目的
ハッカソンに参加する目的には個人レベルでは
・スキルの活用
・新しいアイデアを生み出す
・新しいスキルを学ぶ
・新しいサービスを学ぶ
・人脈を作る
といった目的がある。参加者を出す組織としては、
・イノベーションの機会を得る
・新規事業のアイデアを得る
といった目的があることが多い。
◆ハッカソンの開催目的
一方で開催者にも目的がある。ハッカソンは特定の企業がオープンな場を創る場合と、比較的ニュートラルな場として作られることがある。
それぞれの場合で、微妙に違うが、大雑把にいえば
・イノベーションを生み出す
・新しいアイデアを生み出す
・イノベーションの源泉となるコミュニティを生み出す
といったことが目的になる。
【参考文献】
大内 孝子編著「ハッカソンの作り方」、ビー・エヌ・エヌ新社(2015)
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