« 【ブックレビュー】イノベーションは日々の仕事のなかに――価値ある変化のしかけ方 | メイン | 【プロジェクトマネジメントをコンセプチュアルにしよう!】第10回(最終回) プロジェクトマネジャーとしてのコンセプチュアルスキルを高めるには »

2014年10月21日 (火)

【イノベーション戦略ノート:055】イノベーションにおけるマネジャーの役割

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9922971/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Manager_2◆日常的光景

ある日、突然「何かイノベーションを起こしてくれ」と上司から言われた。実は前の経営会議で上司も役員から言われたことをそのままスルーしたのだ。

こういう状況で、うちの会社ではなかなかイノベーションが起こらないと嘆く管理職や、そんなことを言われても何をやっていいかわからないと思っている部下という光景をよく目にするようになってきた。やはり、イノベーションブームだろう。

さて、この光景の問題点はどこにあるのだろうか?上位者は部下や現場に問題があると考えるのが常なので、管理職は「部下の創造性に問題がある」と考える。部下は部下で、イノベーションはトップのコミットがなくては起こらないと熱く主張する。どちらの言い分が正しいのだろうか?


◆自由にやらせればイノベーションが起こるという思い込み

どちからの方を持つつもりはないが、公平な立場で一つ疑問に思うのは、「うちでも何かイノベーションをやってくれ」といって、本当にイノベーションが起こるのか?ということだ。この背景には、自由にやらせる方がいい成果が得られるという思い込みがあるが、イノベーションより日常業務だという価値観がある。

社長が「うちもそろそろ新しい機軸が欲しいね」というのは分かる。社長があまり細かくいうと、まったく自由度がなくなり、現場が余計な苦労をする。

問題はこれが、担当役員、事業部長から、マネジャーへの伝言ゲームになり、管理職は誰に担当させようということしか考えないことだ。

そして、決まれば、担当者に「君は明日から業務時間の半分は新しいことを考えることに使ってくれ。今やっている業務の調整はこちらでするから、希望を出してくれ」という通達が行く。

こうしてイノベーションは個人が行う仕事になり、失敗すればその人に創造性がないのだという話になる。まあ、これでも従事時間を認めてくれれば、ましな方だろう。

これではほとんどの場合は何も起こらない。そもそも、こんな状況で新しいことを考え、めどがついても事業化されることは奇跡に近いだろう。百歩譲って、一発当たることはあっても、継続的にイノベーションが生まれることはない。


◆イノベーションという課題をどう与えるべきか

どこに問題があるかというと課題の与え方である。

イノベーションが起こること自体は偶発性があるかもしれないが、イノベーションを起こしたい動機には戦略上の必然性がある。ここでいう戦略とは事業戦略で、事業上の必然性があるといってもいい。詳しくは、第16話を読んでほしい。

【イノベーション戦略ノート:016】戦略とイノベーションは同義である

つまり、イノベーションの課題は戦略上の必然性を踏まえて、方向性とともに与えられなくてはイノベーションは起こせない。

たとえば、「大人から子供まで1人1台のパソコン普及による新市場の開発」という戦略を掲げていたとしよう。この戦略に基づき、イノベーションを起こしたければ、たとえば、「常時持ち歩けるパソコンの開発」という方向性を添えて、新しいコンセプトを考えてくれという課題を出す。すると常に持ち歩いているものとパソコンの融合というアイデアから、携帯電話とパソコンを融合するというアイデアにたどり着くのはそんなに難しくない。こうしてスマートフォンが生まれるわけだ。


◆イノベーションにおいて重要なのはマネジャーの役割

実はこの中で一番、創造性が必要なのは、「大人から子供まで1人1台のパソコン普及による新市場の開発」という戦略を「常時持ち歩けるパソコンの開発」と展開する部分である。ここで、「一部屋に一台のパソコンを」とやってしまうと、そこで終わってしまうわけだ。

イノベーションが生まれないのは、この部分がうまく設定できないことが原因であることが多い。これを自由にやらせたいという理由でイノベーションを実行する人(イノベーター)に期待するのは酷であるし、非現実的でもある。イノベーターの立場からすると、何かいいアイデアを考えたときに、どう展開できるのかわからなければ一生懸命考えようとは思わないだろう。展開のよりどころは、戦略実行以外にはない。

つまり、イノベーションは戦略として取り組まれ、戦略イニシアチブとなる。そしてそのキーマンになるのは、イノベーターではなく、上位管理者であるマネジャーである。このことを忘れてはならない。


◆マネジャーの役割について知りたい方へ

このメルマガでは以前

「イノベーションを生み出すマネジメント」(全21話)
https://mat.lekumo.biz/ppf/cat9747297/

という連載をしていたので、興味がある方はお読みください。

また、この連載に基づくセミナーも行っていますので、ご参加ください。

━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆イノベーションを生み出すマネジメント ◆7PDU's
  日時:2014年 10月 29日(水)  10:00-18:00(9:40受付開始) 
  場所:銀座ビジネスセンター(アクセス) (東京都中央区)
  講師:好川哲人(エムアンドティ・コンサルティング)
  詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/pm_innov.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
  【カリキュラム】
1.イノベーションのプロセス
2.イノベーションのニーズを見極める
3.アイデアを見つけ出す
4.アイデアを実現する
5.イノベーションの成果を展開する 
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

コメント

コメントを投稿

PMstyle 2024年5月~8月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。