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2014年4月15日 (火)

【ブックレビュー】世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方

440845494x久世 浩司「世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方」、実業之日本社(2014)

レジリエンストレーニングの歴史は古いが、そこに新たに、認知行動療法、ポジティブ心理学、PTG(心的外傷後の成長)の研究・手法を統合し、欧州で生み出された第2世代のトレーニング法について紹介した一冊。

トレーニングの紹介の前にレジリエンスそのものについても解説されており、個人レベルのレジリエンスの入門書としても適した内容になっている。


本書ではレジリエンスが必要な理由として

・現代社会の心の問題に対応する
・グローバル化に伴う変化に対応しなくてはならない
・どう働けばよいか迷っている

の3つを挙げている。レジリエンスはこれらの問題に対して、

・たくましさを身につけ、長く健康で働き続け、キャリアの黄金期を迎える
・グローバル化の中で、失敗や試練にまけないたくましさとしてのレジリエンス
・つらい体験から価値ある何かを学び、そのたびに成長する

といった解決策を与えてくれるとしている。

レジリエンスは失敗が避けられない環境への対処方法だといえるが、そもそも、失敗には3つの種類があるとされる。

(1)予防できる失敗
(2)避けられない失敗
(3)知的な失敗

である。レジリエンスの高い人は、予防できる失敗は回避し、避けられない失敗に対しては不必要な自責の念を持たない。そして、知的な失敗を積極的に受け入れ、強く、賢くなるための機会として利用する。

ここでいう知的な失敗とは、アイデアや設計がうまくことを証明するために実験や革新的な知識の可能性を探るための実験における失敗である。これらは賞賛の対象となる。

このような3つの失敗に対して、レジリエンスの高い人の振る舞いは

・失敗を3つのどれかに分類する
・不必要に自責の念を持たない
・失敗の種類に応じで適切な対処をとり、積極的に学習する

といったものである。本書のトレーニングはこのような振る舞いをできるようになるためのトレーニングである。

トレーニングは以下の7つの技術からなっている。

第一の技術―ネガティブ感情の悪循環から脱出する!
第二の技術―役に立たない「思いこみ」をてなずける
第三の技術―「やればできる!」という自信を科学的に身につける
第四の技術―自分の「強み」を活かす
第五の技術―こころの支えとなる「サポーター」をつくる
第六の技術―「感謝」のポジティブ感情を高める
第七の技術―痛い体験から意味を学ぶ

本書ではこれらの技術を1章ずつ割いて解説している。トレーニングの内容は、さまざまな分野の知見から構成されているので、多様であり、この本を読んで我流でやってみるという類のものではない。

その意味で、こういうトレーニングがあることを知り、本格的なトレーニングを受けることのガイドブックという位置づけの本である。

この本では明確に書かれていないが、イノベーションに取り組む人にはレジリエンスが不可欠である。イノベーターを目指す人にもぜひおすすめしたい本である。

イノベーターのレジリエンスについてはこちらの記事を参考にしてほしい。

【イノベーション戦略ノート:021】イノベーターのレジリエンス

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。