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2014年3月12日 (水)

【イノベーション戦略ノート:025】イノベーションのシナリオ

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◆iPhoneの歴史

SinarioアップルのiPhoneも6年目を迎え、そろそろ、神通力も薄れてきたようだ。今年には次の世代のデバイスが出るという噂もあるようだ。

iPhoneのラインナップは2007年に発売され、以下のように1年に1モデルずつ、新しいモデルが投入されてきた(2013年だけは従来のラインナップに加えて廉価版の5cが投入された)。
iPhone: 2007年6月29日[1]
iPhone 3G: 2008年7月11日[2]
iPhone 3GS:2009年6月19日[3]
iPhone 4:2010年6月24日
iPhone 4S:2011年10月14日
iPhone 5:2012年9月21日
iPhone 5s:2013年9月20日
iPhone 5c:2013年9月20日



◆iPhoneの進化

iPhoneはアップルのデジタルオーディオプレーヤーであるiPod、携帯電話、インターネットや電子メールの送受信等が行える携帯情報端末の機能を併せ持ったデバイスとして登場した。これを以って、ジョブズは電話を再発明したと宣言した。

技術的にもマルチタッチのタッチパネルが導入され、従来とは大きく変わったユーザー体験を提供した。

3Gはその名のとおり、3G通信に対応し、また、GPSが搭載され、デジタルコンパスなどの地図系のアプリケーションが充実してきた。また、音声コントロール(ハンズフリーボイスコントロール)などができるようになった。

3GSでは、処理速度が2倍になり、またバッテリー寿命が大幅に向上した。そして、その性能を活かしたマルチメディア系のアプリケーションが充実してきた。

4では「Retinaディスプレイ」と名付けられた高精細の液晶を採用され、マルチメディアのアプリケーションが活かされる環境になった。またデザイン的にも強化ガラスが使われ、デザインが一段と洗練されてきた。

4Sでは、利用者の音声で応答や処理を行う自然言語処理システムであるSiriを搭載した。4SのSはSiriの頭文字だそうだ。また、4sではグラフィック性能が大幅に上がり、マルチメディアのアプリケーションが一段と充実してきた。

5ではLTEがサポートされ、通信速度が大きく向上した。

そして、5Sでは大きな変化はなかったが、はじめて、5cという廉価版と2本建てのラインナップになった。

この間、処理速度は3倍強、ストレージは4倍になっている。


◆ゴールから逆算する

僕はiPhoneユーザではないので、使い勝手などのリアルな感触は分からないが、少なくともデータで見る限り、5年間、このような進化をしている。少しまとめてみると

・メディアプレイヤー、電話、メール、ネットアクセス、PIMの統合

か らスタートし、通信技術の進化にうまく歩調を合わせて、ネットワーク環境でも同じことができるようにうまく処理性能、通信性能、グラフィック性能をうまく 成長させて行っている。一つ一つをみれば、イノベーションだと思えるのはオリジナルのiPhoneの組み合わせ、GPSの搭載、Siriくらだと思う。

ジョブズが亡くなったときに、ジョブズは次の次(これが5Sになった)までのプランを作ってこの世を去ったと言われたが、廉価版で新興国に展開し、このシリーズをエグジットするところまでのシナリオを最初の段階で描いていたのではないかと思う。


◆大きく考えて、目先に集中する

少し脱線するが、ハリーポッターシリーズの著者J・K・ローリングはハリーポッターの着想を得たときに、全体を大きく考え、ホグワーツ魔法魔術学校での7年間について細部まで構想を組み立ててから、全7冊のうちの1冊目を書き始めたそうだ。

おそらく、ジョブズも同じことをやっていたのだと思う。つまり5年後に誰もが欲しがるデバイスはどういうものか。おそらく4Sというマルチメディアをリアルに扱え、自然言語にも対応できるコミュニケーションデバイスではないかと思うが、ゴールとして設定したのだと思う。

だから、iPodに、携帯電話、インターネットや電子メールの送受信等が行える携帯情報端末という発想が生まれたのではないと思う。

そして、そのタイミングですべきことだけに集中し、徹底的に作りこんだ。それをやらない限り、目指す未来が見えてこないからだ。

このイノベーションは思い付きのアイデアの積み重ね(継続的改善)ではできない。ゴールのイメージを持たずに積み重ねをしていくと、おそらくガラパゴスになる。


◆イノベーションにはシナリオが不可欠である

イノベーションというと一発勝負のようなイメージが大きいが、iPhoneを見ればよく分かるように大きなことをやろうとすると、実は使える技術が登場してくるタイミングが違うのだ。つまり、最終的な姿から逆算して、いつ何をやるかというシナリオが必要である。

もちろん、5年後に製品化しましょうという話などあり得ないので、そこまで都度都度、インパクトのある製品を出していかなくてはならない。そして、製品に対するファンを増やしていき、イノベーションが本当に目指していた製品を全てのファンに届ける。

つまり、大きな絵を描いて、魅力のある目標を考えながら、ゴールまで進んでいく。

これがイノベーションの現実的な姿だと思う。その意味で、iPhoneというのは学ぶべきイノベーションである。

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好川哲人

技術士&MBA 技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。