【補助線】チームを前提にしたプロジェクトマネジメント
◆なぜ、商社が成り立つのか
PHPから発行されている雑誌「Voice」から、雇用問題をテーマに記事を選んで一冊の本が発行された。
「クビ切り不要!」
という本だ。
この中に、伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏と東京理科大学教授の伊丹敬之先生の対談記事が採録されている。「人を大切にする経営」という記事。伊丹先生は一橋大学の時代から、人本経営を説かれている方である。
この記事がたいへん、おもしろい。この中に、総合商社に関する伊丹先生のこんな発言がある。
商社という組織の経営がなぜ成り立つかというと、まさにチーム力があるからです。アメリカ型の「あなたの役割はこれ」と、仕事を分解していくようなやり方では、とてもできません。それこそ、人のつながりを大事にして、安定的にやっていくからこそ、組織全体が発展する。これは商社に限らず、製造業も銀行も皆一緒でしょう。
(同書、22p)
これに対して、丹羽氏が答える。
じつは伊藤忠商事で昔、日本の商社と同じものをアメリカにつくってほしいと頼まれ、人を派遣したことがあります。ところが絶対に成功しない。彼らは個人主義ですから、隣の人と同じチームでやれといってもどうもうまくいかない(同書、22p)
なるほどと思った。
総合商社は、日本が世界に誇るビジネスモデルである。このやりとりを読んで、ずっと昔から、もやもやしていた2つの疑問が氷解したような気がした。
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