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2008年9月29日 (月)

【補助線】「どう作るか」を考えるプロジェクトから、「何を作るか」を考えるプロジェクトに

ちょっと間が開いたが、再び、チームの話題。

◆どう作るか、何を作るか

今までプロジェクトは「どう作るか」を中心に考えられてきた。これは、プロジェクトマネジメントが云々というよりも、多くの日本企業は何を作るかという部分は捨てて、どう作るかにすべてをかけてきた。

ただし、この戦略は大量生産の元で有効な戦略であり、多様性が増す中で、いろいろな商品を市場に出し、一本被りを狙うことを常套手段とする市場では機能しない戦略であり、現在は明らかにそのような時代にある。

この図式は、コンシューマ向けの商品をやっているメーカでもっとも顕著であるが、どう作るかという文化にどっぷりと染まっているのはSI企業ではないだろうか?

◆SI企業に何を作るかは必要ない?!

SI企業の多くは、何を作るかは顧客の問題であり、どう作るかで顧客に貢献しようとしているように見える。ただ、顧客自身が何を作るかを考えることができないので、それをおぎなうサービスを提供している。

さて、ここで問題。SI企業は顧客に対してどのような商品、あるいはサービスを提供しているのか?

(1)システムを提供する
(2)システム開発(もしくはインテグレーション)サービスを提供する
(3)そのほか

多くの企業は(1)か、(2)だと考えている。そして、この範囲で考えるのであれば、どう作るかという議論である。ところが、(3)のひとつのパターンとして

プロジェクトマネジメントサービスとシステム開発をセットで提供する

中国企業があり、中国国内で成功を収めている。

◆CDT

このようなサービスを提供する中で、「何をするか」を考えるプロジェクトを作って、顧客と一体になり、考えていく。

この企業が使っているマネジメント手法は、CDT(Customer Driven Team)という手法である。図のようなイメージを持ってもらえばよい。

Cdt

さて、では、どう作るかを考えるプロジェクトと、何を作るかを考えるプロジェクトは、マネジメント上、何が違うのか?

図:CDTのイメージ

◆何を作るかを考えるためのチームマネジメントが必要

チームマネジメントである。

一般的な認識として、日本ではチームマネジメントがあまり重視されていない。中には必要ないという人さえいる。PMIではプロフェッショナル倫理規定の中に、「チームや利害関係者との協調関係」という一項目が入っているが、日本では必要ないということなのだろうか?

認識の違いが、上に述べた点にある。おそらく、「どう作るか」を考えるプロジェクトを実行するプロジェクトチームは日本人はうまく運営できる。これは国民性かもしれないし、企業がそのような風土を作ろうとしてきた成果かもしれない。

しかし、PMIのいうチームには、どう作るかに加えて「何を作るか」を考えるチームも含まれている。この点においては、上に述べたように日本人は、チームマネジメントができるかどうか以前に、あまり真剣に取り組んだことすらない。

このようなチームをうまくマネジメントできるようになることが、今後の課題だといえよう。そのひとつの形態として、CDTがあることは間違いない。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。