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2007年1月

2007年1月29日 (月)

【補助線】なにかいいもの

AクラスのプロマネとBクラスのプロマネの違いは、おそらく、スキルではない。Bクラスの上半分に関していえば、コンピテンシーもでないように思う。

何か?

  「何かいいもの

なのだ。

3~4年前から、機会があればこの話をしている。実際に、エグゼクティブの人たちとプロマネ談義をすると、説明できないものがあると考える人は多い。また、PMstyleではかなり精度の高いアセスメントプログラムを持っているが、アセスメントでスキルやコンピテンシーが高いと判定された人の中でも、説明できない違いがあるものだ。

これをわたくしたちは「何かいいもの」と呼ぶことにしている。正体が何か分からないけどいいもの。何かいいもののキーワードはある。「期待に応える」ことだ。プロジェクトマネジメント的に、つまり、スコープだとかで定義された成果を生み出すだけでは、おそらくBクラスのプロマネにしかなれない。Aクラスは、多くの人の期待に応えている人だろう。

ただし、あくまでも結果としてであり、期待に応えること自体を目標にしているプロマネはやはりBクラスなのだと思う。

こういう話を理不尽だと思う人は多いだろう。しかし、人材というのはそういうものだと思う。だから、人は最後は人に期待をするのだ。

2007年1月26日 (金)

PMサプリ61:義務を利点に、やりたいことを義務に

マネジャーは義務を利点(メリット)に変え、やりたいことを義務に変えることによって、自分の時間を自由にコントロールできるように求められている(ヘンリー・ミンツバーグ)

【効用】
・PM体質改善
  計画力アップ、実行力向上、自己統制力アップ
・PM力向上
  プロ意識の向上、リスク対応力向上
・トラブル緩和
 モチベーション向上

【成分表示】

◆ミンツバーグについて
◆有能なマネジャーは義務を自分自身の利点に変えている
◆義務を利点に変え、組織に貢献する
◆自分が重要だと思うことを義務に変える
◆ポイントは好循環を引き起こすこと

サプリを服用したい方はこちら

2007年1月24日 (水)

ミンツバーグとゴシャール

今週号のPM養成マガジンプロフェッショナル「PMサプリ」でミンツバーグの

マネジャーは義務を利点に変え、やりたいことを義務に変えることによって、自分の時間を自由にコントロールできるように求められている(ヘンリー・ミンツバーグ)

という意見を取り上げる予定である。この言葉は含蓄が深い言葉だ。

ミンツバーグは日本ではあまり有名ではないが世界的にはマイケル・ポーターと並ぶ戦略論の大家である。そのミンツバーグがこのような発言をしている背景には、若かりしときに実行したマネジャーのフィールド調査がある。従って、的を得た言葉だ。

実は世界的に見たときに、ポーターやミンツバーグに並ぶ戦略論の大家がもう一人いる。スマントラ・ゴシャールである。ゴシャールについては、好川塾で、その著書である

 意志力革命 https://mat.lekumo.biz/books/2005/04/post_8266.html

を取り上げたりしているので、僕のブログやメルマガ記事の読者の方は記憶にある方もいらっしゃるだろう。

ミンツバーグの考えはこうだ。マネジャーにはいろいろな義務があり、義務に追われることが多い。義務に追われると、一見、忙しそうに働いているのだが、成果がでない、つまりは、組織への貢献ができない。

実はこのような状況をスマントラ・ゴシャールは「アクティブ・ノンアクション」といっている。2人の世界的な戦略論の大家が同じようにこの問題を提起しているのは非常に興味深い。

もっと、解決法は違う。ゴシャールは「意志力」、つまり、やり遂げるという強い意志によってこの状況から脱却することを説いている。興味がある方は「意志力革命」を読んでみてほしい。

ミンツバーグはこの問題に対して、多くの有能はマネジャーが、義務をメリットに変えるという発見をしている。

例えば、プロジェクトマネジャーは多くのステークホルダにたくさんの資料を作って報告しなくてはならない。これを義務だと考えずに、自身のプロジェクトを理解してもらう機会、支援を引き出す機会とし、万全のプレゼンを行うといった思考をしているというのだ。

この話に興味がある人はこちらからご購読を!

2007年1月23日 (火)

【補助線】プロジェクトの足を引っ張る問題メンバーに対処する

447836091x_01__aa240_sclzzzzzzz_v4627424_1 DIAMONDハーバードビジネスレビュー編集部編・訳「ケース・スタディ 「問題社員」の管理術」、ダイヤモンド社(2007)

プロジェクトマネジメントの大目標はダイバーシティへの対処である。今のマネジメントのやり方は、価値観だとか、あるいは習慣の均質性を前提にすると極めて合理的で、完成度の高いものだと思う。

こんなことを考えてみてほしい。プロジェクトメンバーのすべてが、今、オフショアで仕事をしている国の人だったとして、同じマネジメントでコントロールできるか。これがダイバーシティである。

あるいは、今、20代の人材を同じマネジメントでコントロールできるか?

できればそれでよい。できないとすれば、プロジェクトマネジメントをやっている価値がない。

大きな課題は2つある。ひとつは言うまでもなく、プロセスである。この部分はなんとかなるだろう。しかし、もうひとつが難しいのではないかと思うことがある。それが、ピープルマネジメントである。その中の最大のトピックスは「問題社員(Your Problem People)」への対処。このスキルをきちんと身につけない限り、本来の意味でのプロジェクトマネジメントはできないだろう。

以上に共感できる人はこの本を読んでほしい。ケーススタディで、ひとつのケースに対して、何人かが意見を述べているので、スキルアップにはとても役立つ。

Forest_1  「ビジネス書の杜」の書評はこちら

2007年1月21日 (日)

【補助線】Aクラスのプロマネ。

Aクラスのプロマネ。

大手のSI企業だとどこの企業でも、プロジェクトマネジャー認定制度がある。企業によって差はあるが、おおむね、3~4段階で、段階は実績のあるプロジェクト規模というのが普通だ。

さて、人材マネジメントの世界に目を移すと、Aクラス社員、Bクラス社員、Cクラス社員という区分がある。これもプロジェクトマネジャー認定制度を同じ発想で、能力に着目した区分である。

ところが日本ではこの考え方は合わないのではないかと思うことがよくある。日本の人間観の中には、Bクラスがいるから、Aクラスがいるという人間観は根強くある。つまり、「能力の違いは役割の違いに過ぎない」という人間観がある。さすがに、最近では、CクラスがいるからBやAがいるというのは消えてきたが、僕が就職した頃は、それもアリだったように思う。

ここで言っているCクラスとは「いくら指導しても業績が改善されない」社員のことをいうので、それはもうこのような議論では論外だとしても、AクラスとBクラスは、役割だと考えることが間違いだと言えない部分がある。

一般企業でいえば、Aクラスの集まりだと思われているコンサルティングファームでも、やはり、Bクラスはできる。Cクラスもできるそうだ。そう考えると、組織の中ではBクラスにはBクラスの役割があると考えるのが自然である。

日本の組織の考え方で、強い組織を作るにはBクラス(二番手)が優秀な組織を作るとよいという考え方がある。この一番手、二番手は能力のことを言っているのではないのは明らかだ。能力のことを言っているのであれば、みんながAクラスを目指せばよいからだ。能力以外の何かで優秀なBクラスを必要としているのだ。

という風に考えると、そもそも、バリバリの能力を持った人材がAクラスという定義そのものが怪しくなる。

ここでふと思うのが官僚という人種のことである。明治にできた制度だが、官僚というのは、国を成長させることに目覚めた人たちである。結果として、よく勉強し、優秀な人材が集まるようになった。が、決して優秀なのは官僚だけではない。民間にも優秀な人材はいる。違いは、民間の優秀な人材が自分(自社)の発展だけを考えるのに対して、官僚は国家のことを考えていることだ(皮肉にも、その官僚が自社のことだけを考えるようになって、民間人と同じようになりつつあるようだが、、、)。

これは立場の違いである。

AクラスとBクラスの人材の違いもこれではないかと思う。話は、少しスケールダウンするが、Aクラスの人材は自分の成長の発展を考える。Bクラスの人材はAクラスの人材の描いたビジョンを実行するために自分の成長を考える。能力だけでいえば、Aクラスの人材に勝るとも劣らない人もいる。組織からみて、Aとか、Bとかいうのはそういうことではないかと思う。

さて、そこで、Aクラスのプロマネ。とはどういう人材か?少なくとも、10億のプロジェクトができるのがAクラスで、1億のプロジェクトができるがBではないだろう。もし、本気でそう思っている組織があるとしたら、その組織には明日はないと思う。単なる個人の集まりのような組織に過ぎない。

では、何か?あとは、あなたが考えて、コメントしてほしいと思うが、ヒントは2つあると思う。ひとつは、プロジェクトマネジメント自体を成長させることに目覚めた人だ。もうひとつは、プロジェクトマネジメントを企業の競争優位源泉にしていくことに目覚めた人だ。

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来年度のPMstyleオープンセミナー

年明けから、来年度のオープンセミナーの構想を練っています。

このメルマガにちなんだ「ひとつ上」シリーズを計画中です。

こんなセミナーっていうところで、何か希望とかありましたら、教えてください!

2007年1月19日 (金)

PMサプリ60:問題は必ず存在する

ノーから入るのではなく、イエスから入れ。(住友生命保険 横山進一社長)

【効用】
・PM体質改善
  計画力アップ、リスク管理力アップ、問題解決能力向上
・PM力向上
  リスク対応力向上、プロ意識の向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上

【成分表示】

◆問題は必ず存在する
◆問題がないのが普通?
◆問題があるのが普通だと考えるのを妨げる風土
◆当事者意識を持つ

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2007年1月16日 (火)

問題解決プロセスを中心にチームを作る

4820744070_01__aa240_sclzzzzzzz_v4841729_1 問題解決実践研究会「組織の現場力を高める問題解決メソッド」、日本能率協会マネジメントセンター(2006)

プロジェクトは問題の連続だとすれば、その問題解決のプロセスをプロジェクトの推進力に使わない手はない。

進捗管理、リスクマネジメントなど、多くのマネジメントを、問題解決の仕組みを作ることによって参加型で構築していくことが可能になる。

そのような目的に問題解決を使おうとしたときに、有効な方法論を説明した一冊である。

チームビルディングに悩むプロジェクトマネジャーは必読の一冊だ!

Forest_1  「ビジネス書の杜」の書評はこちら

2007年1月15日 (月)

【補助線】責任の感じ方、とり方

僕の愛読しているメルマガのひとつである経営コンサルタントの吉田繁治さんの「ビジネス知識源」で、だいぶ昔であるが、責任について面白いことを書かれていた記憶がある。

「ビジネス知識源」
http://blog.mag2.com/m/log/0000048497/

バックナンバーを探しても見つからなかったので、うろ覚えのままで紹介しておく。

「日本人は責任というのをネガティブに捉えすぎる。責任を取ると言った時は、「個人が不利益を蒙ること(例えば、会社を辞める)」を意味する。つまり、責任という言葉を持ち出すときにはそこまでの覚悟を問われることになる。このように責任というのを捉えると、誰も容易には責任は取れないので、みんなが責任を回避することに精力を費やす。また、逆に責任の追求をあいまいなままで済ますという図式ができあがった」

といったような話だった。

プロジェクトにおいても、責任回避や、責任追求をあいまいにしているプロジェクトは少なくない。トラブルプロジェクトにコンサルティングに入ると必ずといってよいくらい、責任転嫁の構図がある。さすがに名指しで誰が悪いといった露骨なものはめったにないが、プロジェクト自身に問題があるというスタンスのプロジェクトはあまりないが、要員が見つからない、顧客側に問題があるとか、組織のサポートが悪いとかいう話はしょっちゅう耳にする。

特に困るのは、自分の失敗を認めておきながら、プロジェクトは悪くないというプロジェクトマネジャーだ。「スケジュール遅延を速やかに上司に報告しなかったのは自分の責任だ。しかし、スケジュールが遅れているのはプロジェクトの問題というよりも、人の確保ができないことが問題で、メンバーは今の陣容でよくやっていることは認めてほしい」といったことを平気でいう。一見、潔いようにも見えるが、究極の責任転嫁である。

また、このような状況を嫌い、責任をあいまいなままでプロジェクトを進めている企業も少なくない。プロジェクトメンバーが互いに助け合ってプロジェクトを進めていく。責任を明確にしてもプロジェクトの中の人間関係がギクシャクするだけで、プロジェクトにとってメリットはないという言い方をする人も珍しくない。

このような状況の背景には、「責任」というのをネガティブに捉える文化がある。ネガティブに捉えていては捉えていてはプロジェクトマネジメントは成り立たない。

いずれの場合も、プロジェクトにおける責任というのを必要以上に重く考えているからだと思う。RAMを考えてもらえば分かるが、プロジェクトで言っている責任というのは、できなければそんな転地がひっくり変えるような話ではない。少なくとも、個人が不利益をこうむるべき筋合いのものではない。もちろん、責任を持ってやってもらうことは重要なのだが、仮に、任されたことをできなかったときには、「最後までやり遂げることによって責任を取る」という程度のものだ。

こういう話で思い浮かぶのは、日本の国務大臣の責任のとり方である。5年前に小泉が首相になるまでは、何か問題があれば「やめて責任を取る」というパターンだった。つまり、個人が不利益を蒙ることによってみんな納得してねというパターンだ。しかし、5年間で完全に変わった。「業務を全うすることにより責任を取る」ということを堂々と言うようになってきた。これである(安部首相になって先祖がえりしているのが気になるが、、、)
難しいプロジェクトのマネジメント、あるいは、リスクのマネジメントを適正化するためには「責任」に対する意識改革が急がれる。

この記事を書いていてふと思い出したことがある。岡部幸雄という偉大な競馬のジョッキーがいる。競馬では、G1レースの1番人気の馬に乗って騎乗ミスでもしようものなら、100億円もの賭け金が泡に帰す。我々には想像もできないようなプレッシャーだと思うし、日本人的責任感覚でいえば、G1で1回騎乗ミスをすれば騎手を辞めなくては収まらないだろう。ところが彼は、「たかが競馬、されど競馬、Take it easy」といっていた。騎乗ミスしたら、その後のレースできちんと責任を果たすことにより騎手としての責任を果たす。

こういう責任の感じ方、とり方が必要なのではないだろうか?これがプロフェッショナルでもある。

2007年1月12日 (金)

PMサプリ59:2つの問題を同時に解決せよ

二律背反の中にビジネスチャンスがある。2つの問題を同時に解決せよ(ミズノ社長・水野明人)

【効用】
・PM体質改善
  顧客感度アップ、創造力アップ、問題解決能力向上
・PM力向上
  プロ意識の向上
・トラブル緩和
  モチベーション向上、弱気克服

【成分表示】

◆二律背反の中にビジネスチャンスがある
◆納期とスコープの二律背反
◆ゼロベースで問題解決をする~商品開発プロジェクトでの例
◆ゼロベースで問題解決をする~商品開発プロジェクトでの例

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。