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2006年12月11日 (月)

【補助線】権限は奪うもの

あるクライアントの話。

先週、若いプロダクトマネジャーが何のために商品開発をやっているかわからない。何か妙案はないかという相談を受けた。ウソだと思われるかもしれないが、意外なくらいこの手の話は多い。

要するに話の本質は「自分の想い」がないという話。せっかく、権限委譲をしても、無責任に投げ出すわけではないが、寝食を忘れてコミットするという話でもない。当事者に聞いてみると、やらされ感があって楽しくないという。権限委譲というのは難しいなあと思った。

権限委譲といえば思い出すのが、オーナー企業の後継者問題。中小企業の経営コンサルティングをしているとこの問題にはよく遭遇する。後継者には2タイプある。待つタイプと、奪うタイプ。後継者は血縁が多い関係もあり、日本的には待つ方が好ましいように感じる人が多い。

しかし、この20年くらいを見ていると、経営環境がどんどん変わって行くので、待っていると、自分が引き受けたときには、自分の思いを実行するだけの体力がなくなっていることが多い。やっぱり、奪うことがお互いの幸せにつながるようである。

権限委譲というのも本質的にそんなものだろうと思う。逆の立場になってみればすぐに気づくが、部下が自分のスタイルで必要なものが何かというのに気がつくほど、上司は部下を見ていないし、見ようとしても見れない。従って、上司から委譲された権限で、自分が思い通りにできるはずがないのだ。すべてを任せてしまうと「丸投げ」といわれ、アドバイスすれば「口出し」と言われる。挙句の果てには、任せ方が悪いと言われる始末。

権限は委譲されるものではなく、奪うものである。プロジェクトマネジャーとして活動に必要なものがあれば要求すべきである。権限委譲とは、その要求に対して、「フェア」にこたえることだろうと思う。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。