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2006年10月26日 (木)

【補助線】ダイバーシティについて考える

プロジェクトマネジメントはダイバーシティ(多様性)が前提になっている。

そもそも、ダイバーシティとは何か?日本語に訳すと多様性という。日本でビジネスの場面でダイバーシティという言葉が良く使われるのは女性の活用に関してである。雇用、職務の割り当て、マネジャーへの登用など、いろいろな場面で、女性の活用の必要が認識されており、それを実現することをダイバーシティという。

女性の活用は、ジェンダーダイバーシティという問題である。ダイバーシティには、性別に関するものだけではない。国籍、宗教、年齢、会社といった比較的明確なものから、専門性、価値観、仕事の仕方といった比較的曖昧なものまでいろいろある。

いつの時代にもある、「最近の若いものは、、、」というのもダイバーシティの一つだといえる。

ダイバーシティのない中でマネジメントを行うのは非常にたやすい。お互いにお互いを理解できている。従って、放っておいてもそれなりの成果がでる。

さすがにいまでは表立った意見としては少なくなってきたが、プロジェクトマネジメント導入の非効率性を指摘する意見は、このダイバーシティが存在しないことから生じている。お互いにそれなりに分かっており、「あうん」の呼吸で協力しあう。このような世界ではプロジェクトマネジメントなど必要ない。プロジェクトマネジャーに女性が少ないのも、おそらく、このことと無関係ではあるまい。

マネジメントオーバーヘッドというのは投資対効果で測るものなので、手間がかかる(投資が大きい)割には、効果が小さいという意見が出てくるのはある意味で必然である。

ところが、何らかの理由でダイバーシティが生じると、そうは行かない。よい例が、システム開発の分野で行われているオフショア開発だ。ここで日本人は最初何をしようとしたか?「同質化」である。つまり、ダイバーシティを殺すことによって、ダイバーシティのないマネジメントをしようとした。ある種の植民地的思想である。

ところがその限界に気がついてきた。それはそうだ。取引というのは相互作用を前提にしたものなので、一方のカルチャーに統一しようという図式は成り立つはずがない。そこで、ダイバーシティを重視する政策を取るようになってきた。彼らのやり方を重視するようになってきた。

ところが、過剰反応して任せっぱなしにするようになった。当然、うまく行かない。また、ガバナンスを渡してはダメだという議論になる。この繰り返しを延々としているように思う。欧米のダイバーシティマネジメントを上手に行う企業がうまく適応しているのとは対象的である。

この問題は意外と根が深いのではないかと思う。この背景には、日本人自身がダイバーシティを認める自らのベースラインを持たないことがあるような気がして仕方ない。

これは別の機会に。

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コメント

「ジェンダーダイバーシティ」の話、最近気にかけてます。

コミュニケーションにおいて男性、女性それぞれ得意なところ不得意なところがあると思ってます。それがプロジェクトマネジメントにおいても影響を与えているのかなと。

最近、業務改善プロジェクトの女性スタッフ2名を見ていてそう思いました。ま、妙齢の女性2人がつるんでしまったからかもしれません。ミスコミュニケーションをリカバリーする方法ひとつとっても男同士とは違うよなと思えてくる今日このごろ。

↓こんな感じでうまくまとまらないでしょうかね?(いろいろな属性で精緻化しないといかんのでしょうけど)

女女女女:(観測不能)
男女女女:うまくいかない 
男男女女:なんともいえない
男男男女:うまくいきそう
男男男男:へんな団結力あり

確かに、チームコミュニケーションは決められたチームという制約条件の下でしか考えたことがなかったですが、ダイバーシティを効かせるというのはアリですね。

そういえば、チームのスキルセットの中に、コミュニケーションスキルというのを入れる人は結構いると思いますし、これを少し、拡大して考えれば、ダイバーシティを活用するような話になるかもしれませんね。

そう考えるとdepecheさんが

男男男女:うまくいきそう

と考えられるのは分かるような気がします。

で、

男女女女:うまくいかない

というのもなんとなく分かる。

日本はこれまで男性社会だったので、ジェンダーダイバーシティの問題って男が引き起こす問題だと考えられる傾向がありますが、僕自身はどちらかというと女性が引き起こす方が多いのではないかと思っています。だから、

男女女女:うまくいかない

ってなるんですよね。

「僕自身はどちらかというと女性が引き起こす方が多いのではないかと思っています」
もし女性読者がいたら、これちょいとやばくないですか?このBLOGの読者層的には大丈夫だったりするものでしょうか?(笑)

同僚とも話しをしたのは、女性は目先の損得勘定がトータルの損得勘定よりも先にたつので、常に「勝ち」「負け」を意識するのだと。そしてトータルでうんぬんと説教くさいことをして納得するのは男性だけで、逆にそんなことをすると女性は「何いってんの・・そんなことを言っているからあんたは・・」となると(夫婦の会話を思い出すといいようです(ここで、妙に納得)

女性は基本的にラジカルな生き物だから、組織内で構成比を増やすと反発力が強すぎて不協和になると。男社会から見るとスパイスぐらいがちょうどいいというのが(ある意味男から見た)意見。

ま、女性中心の組織とかも最近は増えているので、その中でのマネジメント手法も興味はありますけど、なかなかそういう機会はないです・・・(笑)
一見平穏にみえて競争心をあおるというのは基本路線にあるような気はしますけど。

ここで、好川さんが書かれていた「夜王」の話を思い出しました。ホストは群れで攻めるけど、ホステスは基本的に単独攻撃。
(ま、これはクライアントの意向・嗜好性も強いので組織論とは違うかもしれませんが・・・)

そうはいっても、ホストのようなチームプレイというのはホステスではないですよね。組織論って案外男にしか通用しないものかも・・なんて思ったりして。

「男の組織論」の攻略法をしっている女性の強さは最強なのかも・・なんていまさらながらかんがえたり。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。