2006年3月19日 (日)

7つの習慣を具体的に実践する

490663841401lzzzzzzz_1 スティーブン・コヴィー(フランクリンコヴィージャパン訳)「ビジネスに活かす12のストーリー―「7つの習慣」実践ストーリー<1> 「7つの習慣」実践ストーリー-希望とインスピレーションあふれる- (1)」、キングベア出版(2006)

お奨め度:★★★

コヴィーの7つの習慣を12のストーリーで説明している本。7つの習慣は、

主体性を発揮する
目的を持って始める
重要事項を優先する
Win-Winを考える
理解してから理解される
相乗効果を発揮する
刃を研ぐ

というリストを見る分には、「お~、そうだ」と思う。

しかし、本を真剣に読んでみても、なかなか難しいものがある。書いてある内容が難しく、ぴんとこないという人が多いのだ。

490663801509lzzzzzzz_1
スティーブン・コヴィー、ジェームス・スキナー(川西茂訳)「7つの習慣―成功には原則があった!」、キングベアー出版(1996)

昨年、このツール集が出た。フランクリンコヴィージャパンでは、7つの習慣を実行するためのツールを開発して、販売しているが、これを書籍として一般公開したものだ。

4906638384_1 スティーブン・コヴィー「7つの習慣 演習ノート―ビジネス、プライベート、家庭で、効果的な人生を送るための 成功への原則がよくわかる!」、キングベア出版(2006)

これをいろいろな人に紹介してみたが、やはり、ファシリテータがいないとツールを使いこなすのは難しいようである。

そこで、今回の本ということになろう。

12のストーリーで説明しようとしているが、いずれもショートショートであるので、これで具体的なイメージを持つのは難しいだろう。

ただし、同じ境遇にあれば、ぴんとくる可能性は多い。タイトルからも分かるようにこれからもシリーズ化をしていくようなので、そのうち、自分の抱えている問題に一致するものがでてくるかもしれない。気楽に待つとよいだろう。

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トヨタ版7つの習慣

447930017109lzzzzzzz_1 若松義人「最強トヨタの7つの習慣―なぜ「すごい工夫」が「普通」にできるのか」、大和書房(2006)

お奨め度:★★★★1/2

トヨタの組織マネジメントのコンピテンスを7つの習慣になぞらえて書いている。著者はカルマンの若松社長だが、彼はトヨタについて数多くの分かりやすい著書があるが、この本が一番、気に入った(すべての著書を読んでいるわけではないが10冊は読んでいる)。

さて、トヨタの7つの習慣とは以下の7つである。

第1の習慣 「ケタちがい」の発想から入る
第2の習慣 「わが社」を主語にしない
第3の習慣 「なぜ」を五回繰り返す
第4の習慣 成功体験をリセットする
第5の習慣 成功より成長を目ざす
第6の習慣 忙しさを恥じる
第7の習慣 「みんなの力」を心から信じる

いずれもトヨタウェイとして有名なものである。コヴィーの7つの習慣は明らかに理論的な体系があるが、トヨタの7つの習慣は7つ大切なものを書き出してみたという感じであり、多くのエピソードの支えられている。

その分、凄みがあると思う。

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2006年3月17日 (金)

創造的なアイディアを生み出す方法

453231268x01lzzzzzzz マイケル・レイ(鬼澤忍訳)「ハイエスト・ゴール―スタンフォード大学で教える創造性トレーニング」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

最近でこそ、キャリアという言葉が盛んに使われるようになってきたが、どれだけ実感を持って議論されているかというのは怪しい。この本は、自分の人生にとって、キャリアがどのように位置づけられるかを気づかせてくれる本だ。

よいリーダーを育てるには、キャリアの議論は避けて通れない。当たり前の話であるが、リーダーには、自分のキャリアを賭けて意思決定をせざるを得ない局面は必ずある。プロジェクトマネジメントのようなテクニカルな色合いが強いマネジメントリーダーでもこの話は避けて通ることはできないだろう。

この議論に興味がある人は

決定的瞬間」の思考法―キャリアとリーダーシップを磨くために

を読んで見てほしい。

そこで、リーダーとして活躍しようとしたときにポイントになるのが、その人の人生の目標である。この本は著者のマイケル・レイがスタンフォード大学で「ビジネスにおける個人の創造性開発」コースを実施していく中から生まれてきたものである。マイケル・レイの経験では、そのコースで学んだ後に、創造的な仕事で成果を挙げている人たちに共通しているのが、人生に「最高のゴール(ハイエストゴール)」を設定していることだという。

ストーリーは明快である。最高のゴールを設定し、それを目指す人生を送ろう。そのために何ができるか?真の成功を目指す、不安を突破口にする、他人をかかわりあう、あらゆる瞬間にシナジーを感じる、生産的なリーダーになるといったことを実践していこうという話である。

しかし、この本はよくある「成功」の啓蒙書ではない。MBAコースで使われているれっきとしたテキストである。そのためか、書き方は多少堅いが、逆にそれが多くの含蓄をもたらしているように思う。

ぜひ、じっくりと読んでみてほしい。ちなみに、昨年の「意志力革命」以来、+好川塾+でやりたいと思う本である。塾でかけることも検討中であるので、乞うご期待。

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2006年3月14日 (火)

コスト削減が社員を元気にする

447837510009lzzzzzzz 村井哲之「社員のやる気に火をつける! コスト削減の教科書」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★

コストに関する取り組みをたくさんあげて、それが如何に社員に影響を与えているかを解説している。

興味深いのは、何かとネガティブなことが多いコスト削減をポジティブに捉えていること。この本では、

・過去1年間のデータを基に、コスト構造の「全体像」を描き出す
・常に、「契約の中身そのもの」にさかのぼり、そこからの改善を考える
・どんな経費項目であっても、削減の取り組みの順番を守る
・コスト削減のために新たな投資はしない
・コスト削減のための、外部の最先端ナレッジを徹底的に活用する

の5つを実行することにより、社員が動機付けられ、会社が元気になると述べている。コストカットというとなんとなく押し付けられるようなイメージがあるが、経験所、実際に、現場が主導して行う活動の中で、みんなが喜々として取り組むのがコスト削減である。

それをうまく組織マネジメントに使おうというのはまさに、コロンブスの卵的な発想であり、特にプロジェクト組織のマネジメントには有効だと思う。

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2006年3月10日 (金)

毒をもって毒を制す

449252159301lzzzzzzzジェームズ・フープス(有賀裕子訳)「経営理論 偽りの系譜―マネジメント思想の巨人たちの功罪」、東洋経済新報社(2006)

お奨め度:★★★

マネジメント論というのは必要悪だと思っている人は多いと思う。しかし、なぜ、必要悪かと問われると答えに窮するのではないだろうか?

僕はこのスタンスはよいと思う。最終的にどういう答えが得られるかではなく、ポジティブな側面だけでなく、ネガティブな側面を見ていかないと、マネジメント論というのはうまく活用できないのではないかと思っているからだ。

企業経営の中で組織にそれだけの余裕があるかどうかは別にして、必要悪という視点から、マネジメントの仕組みを徹底的に議論することによって、初めて何が必要かがわかるように思う。

その意味で、このようなマネジメント書はあってもいいと思う。

ただし、完成度という点ではどうかという気もする。特に、何を基準に、テイラー、ギルブレス夫妻、ガント、メフォレト、イヨー、バーナード、デミング、ドラッカーの9人を選んだのかは疑問である。が、書籍のモチーフに適した9人だとも思える。

まあ、一度、読んでみてください。という一冊ですね。ちょっと高いけど。

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2006年3月 7日 (火)

周囲の人の支援を引き出すリーダーシップ

492511269401lzzzzzzz_1 サミュエル・ バカラック(坂東智子訳)「統率力。」、トランスワールドジャパン(2006)

お奨め度:★★★★

タイトルを見て手にとったが、手に取る前にイメージした「統率力」とはイメージが合わなかった。この本のキーワードが「政治的手腕」だったからだ。

読んでいくうちになるほどと思った。統率力というと、指導力と同じような響きがあり、人を上から引っ張っていくようなリーダーシップ論のイメージが強い。つまり、組織内の支持がポイントになっている。

しかし、この本は、組織外の支持、つまり、支援を引き出すことが同様に重要なポイントだと指摘しており、それゆえの政治的手腕の重要性を説いている。

確かに、戦国武将であれば、先頭に立ち、組織をまとめる能力が重視されるだろうが、ビジネス、特に最近のようなネットワーク経済下でのビジネスを考えると、自分の率いるチームを統率していく力としてより重要なことは外の支援をいかに引き出すことだというのは、なるほどと思うものがある。

これからのビジネスリーダー、プロジェクトリーダーにぜひ読んで頂きたい一冊である。

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2006年3月 6日 (月)

サーバントリーダーシップに注目!

479663934909lzzzzzzz 高橋佳哉、村上力「サーバント リーダーシップ論」、宝島社(2004)

お奨め度:★★★

日本で初めてサーバントリーダーシップ論を本格的に論じた本。

リーダーシップはただでも、「おばけ概念」であり、いろいろな解釈が成立し、正体不明である。ましてや、そこにサーバントという概念が入ると、複雑を極める。この本の内容は好川の考えるサーバントリーダーシップとは異なる部分があるが、この本としては、きちんと論として整合が取れた書き方がされている。

サーバントリーダーシップの書籍としては、この他では、

456963774409lzzzzzzz ジェームズ・ハンター(石田量訳)「サーバント・リーダーシップ」、PHP研究所(2004)

こちらは小説仕立て。仕事と私生活で挫折した一人の男が、修道院で伝説的なリーダーに出会うところから話は始まる。この男が、リーダーに感化され、部下に生きがいを持たせ、やる気を引き出すリーダーになっていく話。

どうも、宗教的イメージが付きまとってしまう。サーバントリーダーシップが日本でイマイチ理解されないのはこの点にあるのだろう。

同じく小説形式で、

482011691609lzzzzzzz ケン・ブランチャード、フィル・ホッジス、ビル・ハイベルス(小林薫訳)「新・リーダーシップ教本―信頼と真心のマネジメント」、生産性出版(2000)

という本もある。こちらは、上の本よりも、もっと宗教色がある。ただし、もし、その部分をうまく処理氏ながら読めるのであれば、この本が圧倒的にお奨め!1分間マネージャーのケン・ブランチャードの作だというのも、楽しめる。

もうひとつだけ紹介しておこう。

489361341309lzzzzzzz アレグザンダー・ベラルディ(広岡結子訳)「「いい人」だけがビジネスで成功する―得るためにはまず与える サーバント・リーダーシップという考え方」、はまの出版(2002)

という本がある。この本はさまざまなサーバントリーダーについて書かれている本である。必ずしも理論的な背景は明確ではないが、タイトルにあるとおり、得るために、まず与えるという行動の実践者の成功について紹介している。面白い本である。

ただし、若干、道徳くさい。

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2006年3月 1日 (水)

Energy, Energize, Edge, Execution

447836087109lzzzzzzz_1 ジェフリー・クレイムズ(沢崎冬日訳)「ジャック・ウェルチ リーダーシップ4つの条件」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

ジャック・ウェルチのリーダーシップ論について詳細に解説するととにに、そのようなリーダーシップのチェックや、習得方法について議論している。

ウェルチのリーダーシップ論は4Eといわれており

Energy

Energize

Edge

Execute

の4つである。この本ではこれを4つの条件を読んでいるが、これらを含みつつ、ウェルチの考えるリーダーのコンピテンシーを明確にしている。たとえが

・強力なリーダーは誠実な人格者である

・強力なリーダーはビジネスの能力と洞察力を持っている

・強力なリーダーはグローバルに考える

・強力なリーダーは顧客中心主義である

・変化を歓迎し、官僚主義を軽蔑する

・優れたリーダーはコミュニケーション能力が高く、相手に共感できる

・真のリーダーは効果的なチームを構築する

・最も優れたリーダーは組織の目標の実現に集中する

・最も優れたリーダーは大きなエネルギーを持ち、他人の行動を刺激する

・協力なリーダーは「伝染性の情熱」を持っている

・偉大なリーダーは実現し、結果を出す

・最も優れたリーダーは自分のやることを愛している

予断だが、楽天の三木谷社長のリーダーシップ論は、自分が元気であり、社員を元気にすることだそうだ。つまり、Energy&Energize である。

2006年2月26日 (日)

MOTならこれ

482224500401lzzzzzzz 技術経営コンソーシアム監修、三菱総合研究所編集「標準MOTガイド」、日経BP社(2006)

お奨め度:★★★★

この数年間に本がたくさん出版されている分野がプロジェクトマネジメントと、MOTである。MOTの本はたぶん、3~40冊あると思うが、この本は非常に出来のよい本。

目次を見てもらえば分かるが、基本的な事項からトピックス的なところまで300ページ強の中にうまく収められているので、いろいろな目的で読めるし、また、内容的にも読みやすい本だ。たぶん、経営学部などで、MOTの科目に使うような狙いで作られている本だと思うが、一冊読めば、さしあたり、最低限必要な知識は身に付くだろう。

残念なことは、プロジェクトマネジメントというテーマがあまり、扱われていないことだ。組織マネジメントとしてプロジェクトにどのように取り組んでいくかについては、延岡先生の書かれた部分があるが、それ以外はあまりない。

この点は、日本と欧米の大きな差なのではないかと思う。

だが、逆に、プロジェクトマネジャーが必要とするMOTの知識はこれ一冊で十分ではないかと思う。

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2006年2月24日 (金)

第1感を大切に

433496188609lzzzzzzz マルコム・グラッドウェル(沢田博、阿部尚美訳)「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」、光文社(2006)

ジョナサン・スクーラーという心理学者は「言語による書き換え」という研究をしている。例えば、レストランに入って、接客してくれたウェイトレスを、警察で面通ししてくれといわれれば、ほとんどの人はできるだろう。しかし、レストランに入る前に、ウェイトレスの特徴を紙に書き留めて欲しいと言われていると、顔立ちとか、服とか、特徴に注目する。結果として、今度は警察で面通ししても識別できないことが多いという実験がある。このような現象を「言語による書き換え」とよび、精力的に研究している学者である。

彼の研究によると、論理的な思考が問題解決に大きな影響を与えることがあるそうだ。こんななぞなぞを考えてみて欲しい。

ある男性と彼の息子がひどい交通事故に巻き込まれ、男性は死んだ。息子は病院の緊急治療室に運ばれた。緊急治療室に入ってきた医者がその子を見て叫んだ。「うちの子だ」。さて、この医者は誰か?

有名ななぞなぞであるので、ご存知の方はご存知だと思う。医者=男という思い込みを捨てたらすぐに分かる。このような問題は論理性を問う問題ではないが、ここに紙と鉛筆を持ってきていろいろ考え出すと解けなくなる。これが「言語による書き換え」の弊害だ。

このように理屈だけでは解決できない問題が多いということを指摘した本である。このような例は、我々の仕事の中でも数多くある。特に、最近、MBAとか、PMとかで論理的思考が重視されるようになってきて、目立つようになってきた。

心理学的にいえば、「適応性無意識」というそうなのだが、そのような事例をたくさん書いてあるので、それを読むだけでも楽しい本だ。

2006年2月19日 (日)

プロジェクト品質マネジメント

4820117645 ティモシー・J. クロッペンボルグ、ジョーゼフ・A. ペトリック(三浦重郎訳)「プロジェクト品質マネジメント―全体最適を実現する4つの柱」、生産性出版(2003)

お奨め度:★★★1/2

PMBOKに準拠したプロジェクトマネジメントにおいて、プロジェクト品質を向上させるための視点、その視点からの品質管理を実行するためのツール、手法をまとめた本。プロジェクトが計画通りに行かなくて悩んでいるプロジェクトマネジャー必読書!

読むには、PMBOKの知識が必要なのだが、逆に、PMPの受験勉強をしてPMBOKを覚えた人が読んでみるとPMBOKの理解を深めるのに非常に有効である。プロジェクト品質、つまり、いかにプロジェクトを計画通りに行うかという視点から見ると、PMBOKの新しい側面が見えてくるだろう。

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2006年2月18日 (土)

プロジェクトレビュー

479811031009lzzzzzzz 菊島靖弘「実務で役立つ プロジェクト・レビュー」、翔泳社(2006)

お奨め度:★★★1/2

ソフトウエア品質管理を体系的にまとめた本。著者の実績に基づいて書かれているので、迫力があるし、また、ツールの紹介が豊富にあり、実用的でもある。

ただし、プロジェクトマネジメント(開発マネジメント)の全体像がよくわからないため、品質管理については流れが分かるが、品質管理も含めたプロジェクトマネジメントについては断片的知識となる可能性があるので、読む際にはその点を意識しながら読みたい。

その意味で上級者向きであるが、PMOのスタッフにはぜひ、読んで欲しい一冊。

最後に、PMマガジンからの単行本は2冊目だと思うが、一冊目のWBSもよかったし、今後も期待したい。

実務で役立つWBS入門

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これからの働き手のマネジメントをどうするか

482224488109lzzzzzzz
大久保幸夫、リクルートワークス研究所「正社員時代の終焉-多様な働き手のマネジメント手法を求めて」、日経BP社(2006)

お奨め度:★★★1/2

リクルートワークス研究所らしい切り口の研究の結果をまとめた本。多くの人がもやもやと感じていることを、体系的に整理しているので、現場のマネジャーが読んでも、人事マネジャーが読んでも、多くの気づきのある1冊だ。

基本的な問題意識は、社員、契約社員、パート、派遣、業務委託など、働く目的も、働き方も異なるこの“混成集団”を、どう管理していけばいいのか?という点にある。これに大して、組織側の視点から、正社員に任せるべき仕事はなにか、非正社員に任せる仕事はなにかという議論がベースになっている。

面白いのだが、ある種の非現実感が伴うのも確かだ。変化が起こるという意味で、現在の組織を基準にした場合に何が起こり、どう対処していけばよいのかという議論になることは間違いないのだが、新しい組織の姿というのがもうひとつ説得力に欠けるように感じた。

一つの提案ではあるが、もう少し、社員も含めた個々人の組織へのコミットメントの変化が起こってきて、例えば、プロジェクトのような新しい組織形態が発生していくのではないかと思える。

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ビジネス人間学

453231265501lzzzzzzz ハーヴィ・マッケイ(栗原百代)「ビジネス人間学―「超」のつく成功者になる94の法則」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★

サブタイトルの方をみて、最近、多い成功本かと思って手にとってみたら、深い。ビジネスにおける人間関係の構築や維持に非常に役に立つTips集である。全世界で400万部売れているというのも納得の一冊だ。

キャッチテーマは帯にあるように

 人生の大草原をサメに食われずに泳ぎ切れ!

である。ビジネスにおける人間(相手)をサメだと比喩しているのはやはりすごい知見である。どんなビジネスにおいても、人間は一つ間違えれば危険極まりない存在になる。それをうまく乗り切っていくのは、確かに成功者の条件である。

第1章は「今夜の試合のチケット、一万5000枚ください」と風変わりなタイトルになっているが、この本の言いたいことはここに集約されているというか、このような状況を乗り切るためのTipsが書かれている。

この本はすばらしいと思うが、反面、この分野というのはカーネギーという古典に尽きるという442210051309lzzzzzzz 気がしないでもない。

デール・カーネギー「人を動かす 新装版」、創元社(1999)

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キャリアとリーダーシップ開発の具体的方法

456964863001lzzzzzzz 野口吉昭編、HRインスティテュート著「リーダーシップのノウハウ・ドゥハウ」、PHP研究所(2006)

お奨め度:★★★1/2

野口さんとHRインスティチュートのノウハウ・ドゥハウのシリーズは結構すきなのだが、この本は正直びっくりした。リーダーシップでこういう本が書けるのかという感じの一冊。

アマゾンでリーダーシップで和書を検索すると1670件出てきた。この中の1冊なのだが、類書がないのではないかと思う。

リーダーシップ本というと、

(1)理論的な解説を中心にした本

(2)エクセレントなリーダーを取り上げ、リーダーシップの解説をした

(3)特定のタイプのリーダーシップを取り上げ、リーダーの行動レベルに落とし込み、リーダーのとるべき行動を解説した本(いわゆるリーダーシップ本)

の3つの大別される。点数として圧倒的に多いのは、(3)と(2)であるが、どうしても、つまみ食い的になる感があるのは否めない。(1)は難しい。ちなみに(1)だと、金井先生が日経文庫に書かれた

リーダーシップ入門

がよい。

さて、この本だが、この3つのいずれにも当てはまらない。

金井先生が言われているように、リーダーシップの話はキャリアとの関連性が強い。これはもともとは、金井先生のお師匠さんである、MITのエド・シャインが言い出したことだが、例えば、金井先生が訳された本で、

決定的瞬間の思考法

などを読んでみると、そのよくイメージがわかる。

最近、リーダーシップをヒューマンスキルだと捉える傾向が強くなってきているが、リーダーシップはヒューマンスキルだけでは収まらないことは、例えば、GEの偉大なリーダーであるジャックウェルチの本を一冊読んで見ただけですぐに分かる。

447836087109lzzzzzzz ジェフリー・クレイムズ「ジャック・ウェルチ リーダーシップ4つの条件

野口さんの本は、キャリアとリーダーシップに対して、ノウハウ・ドゥハウらしい、具体的な方法論・ツールを提案している。どこまで方法論として成熟しているかは微妙であるが、結構、画期的な試みではないかと思う。

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2006年2月15日 (水)

リーダーの悪習慣

489346944409lzzzzzzz 山中英嗣「なぜか思考停止するリーダー―MBAホルダーに見るリーダーの落とし穴」、総合法令出版(2006)

お奨め度:★★★1/2

リーダーの陥りやすい落とし穴を

・場当たり

・想像力ゼロ

・お山の大将

・うすっぺら人間型

・暴走機関車型

の5つに分類し、それぞれに対して以下のような気づきを示している。

・言っていることと逆のことをやっていないかをチェック(場当たり)

・定義の違いを理解できていないのではないかチェック(想像力ゼロ)

・器が小さく、謙虚不在になっていないかチェック(お山の大将)

・仕事はできるが信頼ゼロになっていないかチェック(薄っぺら人間)

・相手のニーズを認識不能に陥っていないかチェック(暴走機関車)

なかなか、よくまとまっている。リーダーシップというのは具体的なイメージがつかめないと思っている人はこのような本を読んで、いわゆる悪習慣を知って、それを反面教師にしながら、自分の行動規範を作っていくのもよいだろう。

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2006年2月12日 (日)

ビジネス・プロフェッショナル

Businessprofesshonal 大久保幸夫「ビジネス・プロフェッショナル―「プロ」として生きるための10話」、ビジネス社(2006)

お奨め度:★★★★

リクルートワークス研究所の大久保所長の新著。ワークス研究所ではここ何年か、プロフェッショナルを共通研究テーマにしている。個別のテーマの成果は都度「Works」で発表されているが、その集大成のような本。

新しい概念として、「ビジネス・プロフェッショナル」という概念を提案している。プロフェッショナルという言葉の最も狭い定義は、職業独占をしている資格を持つ人だと思う。例えば、建築士のような資格である。

これに対して、一番広い定義は、「その道のプロ」といった言い方がされるような人を指す言葉で、何か、課題を自己責任において、相手が満足できるようなレベルで達成できる人のことだろう。ビジネス・プロフェッショナルという概念はどちらかというとこれに近い。例えば、プロのサラリーマンという言い方があるが、そのような感じだ。

さて、この本だが、冒頭に述べたようなワークス研究所の研究の集大成のような位置づけになっているので、プロフェッショナルを目指す個人に向けた話と、プロフェッショナルな組織を作る人事系の人に向けた話がごちゃ混ぜになっているような感じがある。

個別には、どちらの側面からも非常によくまとまっており、説得力があるので、どちらの分野の人にもぜひ読んで欲しいのだが、その点をきちんと整理して読んでいく必要がある。

特にお奨めしたいのが、個人の方には第3話~第8話。これは、大久保所長が2年暗い前に書かれた

482224409109lzzzzzzz仕事のための12の基礎力~「キャリア」と「能力」の育て方~」、日経BP社(2004)

を視点を変えて、補強したような内容になっている。分かりやすさという点では、こちらの本を併せて読まれた方がよいかもしれない。

人事系の人へお奨めしたいのは、第1話と第9話である。

プロフェッショナリズムというのは本来組織が雇用者に対して求めるものではない。利用すべきものであり、そのための仕組みがプロフェッショナル制度である。その当たりをもう一度、考えながら読んでみて欲しい。

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2006年2月 5日 (日)

ケースで鍛えるリーダーシップ

447836088x09lzzzzzzz 保田健治「ケースで鍛える 人間力リーダーシップ」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★

リーダーシップを中心に、他人に影響を与えるヒューマンスキルを29のケースで学べるようになっている、ありそうでなかった本。

扱われているケースは

ケース1「リーダーは俺だ! 俺についてこい!」
ケース2「教えるより、自分でやったほうが早いよ」
ケース3「『いつでも相談に来い』と言ったって・・・」
ケース4「メンバーが未熟で、何も任せることができない!」
ケース6「チームリーダーとして一所懸命やっているのに……」
ケース7「現状維持だけを続けても将来はない」
ケース8「本当に、言ったとおりにやらないんだからな!」
ケース9「悪い報告こそ、早く報告してほしいのに……」
ケース10「あいつ、携帯電話にも出ないよ!」
ケース11「マニュアルどおりでも問題は解決しない」
ケース12「リーダーの指示に年上のメンバーが従わない」
ケース13「すべてに消極的な年上のメンバーをどう扱う?」
ケース14「チーム活動に非協力的なメンバーを、いかに協力させる?」
ケース15「どうすればメンバーのコミットメントを引き出せるのか?」
ケース16「そうして改革が必要なのか」
ケース17「業績が悪いのはビジネス環境の変化のせい?」
ケース18「やるべきことはやっている。でも・・・」
ケース19「部門間の不協和音はなぜ起こるか」
ケース20「だれがチェックを怠ったのか?」
ケース21「メンバーにノウハウを開示するのは損ですか?」
ケース22「急がば回れは、組織のパワーを高める」
ケース23「形だけのチームミーティングに意味はあるか」
ケース24「一方通行のミーティングでは人はついてこない」
ケース25「そんなことをしても、僕の成績にならないし……」
ケース26「リーダーに求められているのは実行なのに」
ケース27「顧客重視の姿勢と現実対応は相容れないのか」
ケース28「どの部門も自部門の最適しか考えないのだろうか?」
ケース29「現場の反発で立ち消えになった会社の方針」
ケース30「部門間の連携がうまく行かない最大の理由」

の30である。ひとつでも、あなたのかかえている問題に該当するものがあれば、読んでみる価値はあるだろう。これらのケースはアンケートに基づいて作られているようで、そこから、チームビルディングに対する理論構築を行っている。もう少し、具体性がほしいような気がするが、まあ、その辺りはケースでカバーしてくれということだろう。

多くのケースはきわめてよくできている。

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モチベーションマネジメントの決定版

490123480309lzzzzzzz デビッド・シロタ(スカイライトコンサルティング訳)「熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素」、英治出版(2006)

お奨め度:★★★★

モチベーションの源泉を体系的に分析した本。非常に面白いし、参考になる。何よりもすばらしいのは、膨大な調査を元に書かれていること。本書は、世界各国、総計250万人もにおよぶビジネスパーソンへの取材に基づいて書かれている。

取材の対象には、IT企業のエンジニア、大手製造業の社員、大好きだった職を失ったビジネスマン、パートタイム労働者、経営管理に日々頭を悩ます管理職、ボタン工場の職人など、本当にさまざまな職業の人、さまざまな立場の人が含まれている。

このためか、えっと思うような指摘も多い。マネジャーの方の頭をやわらかくするにももってこいの一冊だと思う。

この本の結論はタイトルにあるように、企業の競争力の源泉になるモチベーションの要素が、公平感・達成感・連帯感の3つであるという、聞けば当たり前の結論である。しかし、その結論(理論)に含まれる要素は非常に説得力があり、モチベーションマネジメントの決定版と言ってよい1冊だ。

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2006年1月30日 (月)

リーダーがいつも考えていること

453231263901lzzzzzzz マーカス・バッキンガム(加賀山卓朗訳)「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★

著者のマーカス・バッキンガムは80万部以上のベストセラーになった

マーカス・バッキンガム、カート・コフマン(宮本喜一訳)「まず、ルールを破れ―すぐれたマネジャーはここが違う」、日本経済新聞社(2000)

の著者である。

453214867709lzzzzzzz_1 この本では、著者が世論調査で有名なアメリカの調査機関ギャラップで17年間に行った、8万人のマネジャーと100万人の従業員に行ったインタビュー調査をもとに、すぐれたマネジャーは何をし、何をしないのかを解明している。

   調査は、まず「すぐれたマネジャー」かどうかを見極めるため、各職場の従業員に一連の質問を投げかける。質問は調査の過程で抽出した12の項目からなり、従業員が最高のパフォーマンスを発揮し、高い生産性を上げているかを問っている。

しかし、12項目にはマネジャーが一見、矛盾する責任をまっとうしなければならないものが含まれている。すべてに高得点を出すのは、常識では不可能になるという非常にユニークなものである。マーカス・バッキンガムはこれから、すぐれたマネジャーは常識では考えられないアプローチをとっていることを結論している。

この本は、この調査を踏まえて、独特のマネジャー論を展開している。タイトルにあるたったひとつ考えていることとは

バランスをとろうとするな、アンバランスをめざせ!

ということで、これは、前作の主張にも通じている。

この本を通じて主張されていることは、すぐれたマネジャーは

・部下一人ひとりの個性に注目する

・部下たちに共通の不安に注目する

・何をしないかに注目する

という3つである。

ちなみに、「まず、ルールを破れ」と同じ調査でもう一冊の本を書いている。それは、

453214947909lzzzzzzz マーカス・バッキンガム、ドナルド・クリフトン(田口俊樹訳)「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす」、日本経済新聞社(2001)

で、併せて読んでみることをお奨めする。

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