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2010年2月 2日 (火)

【補助線】プロジェクトのインテグリティ

◆リーダーの人間力

最近、人のインテグリティについて体系かつ、分析的に述べれた名著、ヘンリー・クラウドの「Integrity」の翻訳が出た。ビジネス書の杜にも紹介記事を書いたが、プロジェクトに関わるすべての人にとって、とても大切なことが書いてある本なので、ぜひ、一読をお奨めする。

リーダーの人間力
http://mat.lekumo.biz/books/2010/02/integrity.html

さて、この記事で書こうとすることは、人のインテグリティの話ではない。人に人間性というインテグリティが必要であるように、プロジェクトにもインテグリティが必要である。プロジェクトをインテグリティという目で見ていると、インテグリティのないプロジェクトは「大きな失敗」をすることも多いし、失敗しないまでも大きな成果は得られにくい。


ヘンリー・クラウドの本の解説を借りながら、プロジェクトのインテグリティについて考えてみたい。


◆インテグリティとは何か

まず、インテグリティとは何だろうか?オックスフォード英語辞典には、

1.正直。強い道徳性をもっていること。高潔さ。
2.分断されていない全体性。(例)領土の保全と国家の主権を確保する
3.構造が損なわれず、統合された、健全な状態。(例)小説の統一性
4.電子データの内部の一貫性、損なわれていないこと

とある。クラウドは、インテグリティという言葉の根底にあるのは

全体が分断されずに統合されており、棄損されずに完全で、うまく機能している

ことであるという。この説明は極めて示唆的である。クラウドはビジネスパーソンのインテグリティに対して、

・仕事の業績
・人間関係

の2点の統合という命題を示している。たとえば、業績はよいが、社内的には強引に仕事を進めることで同僚との人間関係がよくないという社員にはインテグリティがあるとはいえないというような説明をしている。


◆プロジェクトで求められるインテグリティの例

プロジェクトのインテグリティとして求められるのも同じものだと思われる。

プロジェクトであるので、結果を出さなくてはならない。ある意味で、手段は選ばなくてもよい。5年くらい前に、コンサルティングをしているプロジェクトから、組織としての調整なしに、キーマンを引き抜かれてたいへん苦労したことがある。手段を選ばなくてもよいのは、慣例や従来の業務の進め方についてあり、明らかに他のプロジェクトへの悪影響が出てくるような手段をとってもよいということにはならない。

つまり、クラウド流の言い方をすれば、

・プロジェクトの業績
・組織の業績

が統合される必要があるということだ。

もう少し、別の視点から考えると、プロジェクトはなんとか目標(ノルマ)を達成したが、そこに参加した人たちは、よれよれというプロジェクトがある。これはインテグリティがあるとは言えない。そのように考えると

・プロジェクトの業績
・個人の満足度

も統合されるべきだろう。

もう少し、プロジェクトマネジメント的な部分でいえば、スコープ・コスト・納期のインテグリティという問題がある。スコープ・コスト・納期はシステムとして全体性が明確にされていなくてはならない。失敗するプロジェクトはスコープ・コスト・納期のインテグリティのないプロジェクトである。

あるいは、ドキュメントのインテグリティという問題もある。個別にはきちんとしたマネジメントドキュメントが作られているのだが、全体が統合されていない。したがって、ほとんどドキュメントとして機能しないというパターンだ。


◆インテグリティとは内発的なガバナンスに対するものである

これらはほんの一例に過ぎない。プロジェクトにはインテグリティの求められる局面や、構造がたくさんある。この議論はこれからも続けて行きたいと思うが、一旦、整理しておきたいことがある。それは、プロジェクトにおいて、人の「人間性」に対応するものはあるのか、ないのか?あるとすれば何か?という問題である。

プロジェクトで人間性に該当するのは、ガバナンスである。非常に乱暴にいえば、ガバナンスとはインテグリティであるといってもよいだろう。もう少し、正確にいえば、ガバナンスに対して、内的な調整をしていくのがインテグリティである。


◆インテグリティと監査

この意味において、インテグリティは、本来、内発的なものである。しかし、現実にプロジェクトでインテグリティを持つ上で欠かせないのが、外部的なフィードバックとしての、プロジェクト監査である。

プロジェクト監査とは、いうならばプロジェクトのインテグリティを実現するための活動である。これについても考えてみたい。

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好川哲人

技術士&MBA 技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。