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2007年5月 7日 (月)

【補助線】CPMOとプロジェクトマネジメントのオーナーシップ

◆はじめに

ゴールデンウィークで少し間があいたが、前回のコラムでは、PMOのマネジメントについて、最低限でも

(1)PMO活動の成果の定義と測定
(2)PMOの戦略と役割の見直し
(3)PMOの機能の評価と見直し
(4)PMOスタッフのローテーションと育成

の4つは実施する必要があることを述べ、(1)のPMO活動の成果の定義と測定について説明した。今回から(2)について説明する。その前に、前回の記事について「PMOはひとつしかおかないのか?弊社では、プロジェクトの中にもあるし、事業部にもある。会社としてのPMOもある」という質問を戴いたので、これに回答しておきたい。

◆PMOの種類

PMOといっているものにはいろいろなものがある。例えば、米国では以下のような分類が一般的である。

(1)CPMO(Corporate Project/Program Management Office)
 あとで説明する
(2)PMO(Project Management Office)
CPMOによって確立されたプロジェクトのマネジメントの標準の適用による効果を見ながら、事業部、BU、リージョンなどの範囲で、戦術的なマスタープランに対する責任を持つ
(3)PSO(Project Support Office)
CPMOによって確立されたプロジェクトマネジメントの標準の監視をし、オペレーショナルなマスタープランに対する責任を持つ
(4)PO(Project Office)
ミッションクリティカルなプロジェクト、大規模&複雑なプロジェクトの直接的な支援を行う責任を持つ

これらは、ひとつの組織の中に共存する。

◆CPMOの役割

Owner この中で、注目すべきなのは、CPMOである。日本でもエンタープライズPMOとか、コーポレートPMOといった位置づけのPMOがある企業は少なくないが、CPMOというのは

全社のビジネス機能の一つに位置づけられる。財務、マーケティング、営業、エンジニアリング、製造などと同様に、プロジェクトマネジメントに対するオーナーシップを持ち、プロジェクトのマネジメントのベストプラクティスを全社に展開することを目的とする組織

をいう。つまり、プロジェクトマネジメントというのは組織機能の一つである。メルマガの記事に何回か書いたように、最近、「正しいプロジェクトを正しく行う」ということに関心が高まってきている。しかし、実は、これだけでは不十分である。

「正しいプロジェクトを行う」ことと、「正しく行う」ことは組織の中では自動的には結びつかないことが多い。例えば、正しいプロジェクトを正しく行うためには、組織がプロジェクトをやる意味が十分にプロジェクトに伝わり、反映される必要がある。プロジェクトマネジメントにはプロジェクト憲章というツールがあるが、これだけでそのプロジェクトを実施する組織としての意味が十分に伝わるものではない。この部分は人間系(組織)の課題になる。

◆「正しいプロジェクトを正しく行う」ためにはCPMOが必要

つまり、「正しいプロジェクトを正しく行う」ためには、「正しいプロジェクトを行う」ことと、「正しく行う」ことをコンバインする必要があるのだ。これはシニアマネジャーの役割であるが、シニアマネジャーが個別にやるには横通しの問題からおのずと限界がある。

そこで、プロジェクトマネジメントのオーナーシップという話が出てくる。プロジェクトマネジメントのポリシーを明確に定め、そのポリシーに従って、シニアマネジャーがうまくプロジェクト選定とプロジェクトマネジメント実行を結びつけてやるのだ。このようなオーナーシップを持つためには、PMOを戦略組織とし、「CPO(Cheif Project Management Officer)」とでもいう役職を設置する必要がある。

最後にひとつ、日本の企業のCPMOの特徴に触れておく。日本の企業では、CPMOがプロジェクトマネジメントに対するオーナーシップをもてないケースが多い。ぜひ、考えてみて欲しい。仮に、あなたのPMOが全社標準を作っているとすれば、以下の3点をチェックしてみて欲しい。

【簡易診断】

(1)全社のプロジェクトマネジメントポリシーを作っている
(2)標準の運用で、プロジェクトスケジュールを無視して、計画書の書き直しを命じることができる
(3)プロジェクトマネジャー以外の部門のプロジェクトマネジメントに対する責任を明確にしている

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。