PMコンピテンシーを高める本 Feed

2006年8月 4日 (金)

PROJECT MANAGERS NOT PMPs

まず、一冊の本を紹介しよう

482224516001_1 MBAが会社を滅ぼす
https://mat.lekumo.biz/books/2006/07/__3d22.html

オビにこうある。

業績不振の米国企業のエグゼクティブのMBA取得比率 90%
業績好調の米国企業のエグゼクティブのMBA取得比率 55%

この本の原題は、 MANAGERS NOT MBAs だ。

この数字を出した出版社の意図はよく分かる。まさに本書のタイトル。しかし、米国企業では半数以上のエグゼクティブがMBAの保有者であるという風にも読める。

それはさておき、この本、マイケル・ポーターと並ぶマネジメント論のグル ヘンリー・ミンツバーグが書いただけあって、マネジャーを育成することの難しさを的確に指摘し、それに対する彼独自の大胆な提案をしている。いろいろと共感することはあるが、一つあげると、マネジャーの教育はマネジャー経験があり、問題意識を持つものを対象にしないと意味がないと述べている。プロジェクトマネジャーもそうだ。

日本の教育はここを間違えているのではないだろうか?まず、問題意識がない。「まず、プロジェクトを失敗してはならない」という問題意識すらも怪しい。これは、プロジェクトマネジメントのガバナンスを明確にせず、集団牽引体制を取っているのが原因。

組織的にプロジェクトマネジメントをするという発想は悪くないと思うが、組織でプロジェクトマネジメントを行うことと、ガバナンスを曖昧にしておくというのは別の次元の話。いくら集団マネジメントをしていても、プロジェクトに関わるメンバーの一人ひとりに自分の責任と義務を聞いて具体的な答えが出てこないようであれば、話にならない。

だから、プロジェクトマネジャーは自分自身に問題意識を持たない。組織の方に目が行くので、仕組みや制度の問題指摘や改善に終始する。

そんなはずはない。どう少なめに見ても、プロジェクトマネジメントの失敗原因の80%はプロジェクトマネジャーの個人の資質にある。組織的な取り組みをした場合には、求められるリーダーシップの質が変わってくるので、この数字は90%とかに上がってくるだろう。

だからこそ、経験を通して、自分の足らないところを見つけ、育成プログラムの助けを借りながら開発していくことが必要。

このサイクルを作ることが、PMIの掲げるプロフェッショナルプロジェクトマネジャーのエシックスであるし、ドラッカーをはじめ、多くのプロフェッショナル論で真っ先に語られていることである。

このサイクルができなければ、

  「 PROJECT MANAGERS NOT PMPs 

といわれるようになってもおかしくない。現に、事例としては少ないが、PMBOKの適用の不適切さが原因でプロジェクトそのものを失敗させて事例を2~3知っている。

日本企業の課題は、組織的なプロジェクトマネジメントと個人のプロフェッショナリズムの滋養を如何に両立させていくかだ。

これがミンツバーグのこの本、全体の問題指摘でもある。

2006年7月25日 (火)

久々によく売れた本

先週の金曜日の「PMコンピテンシーを高める1冊の本」で紹介したこの本が昨日までに12冊売れた。

D・クイン・ミルズ(アークコミュニケーションズ監修、スコフィールド・素子訳)
        「ハーバード流マネジメント「入門」
  https://mat.lekumo.biz/books/2006/07/post_da81.html

最近、紹介した本で、1回で10冊以上売れた本は珍しい。こういう内容に興味を持っている人が多いことが分かったのは、収穫。

本音のところ、マネジメントセンスのないPMが多すぎる。そんなPMにプロジェクトマネジメント手法を教えるというのはナンセンス。「猫に小判」ならまだいいが、「〇〇〇〇に刃物」になりかねない。

メルマガ記事、読んでいない人もいると思うので、もう一度、掲載しておく。

 ~マネジメントの原理を学ぼう~

プロジェクトマネジメントには独自の世界がある。しかし、プロジェクトマネジメントの本質は間違いなく「マネジメント」である。

PMBOKを勉強してもプロジェクトマネジメントのコアであるマネジメントのことは分からないし、また、多くのPMセミナーでも同様だ。

しかし、マネジメントはPMにとって中核になるものである。なんとかして身に付けたい。が、マネジメント本でテクニックを学んでみても始まらない。経営学の本は本質に迫れるのだが、難しい。

この本を読もう。原題は「Principles of Management」である。マネジメントの原理が誰にでも読めるよう易しく書かれている。まさに、プロジェクトマネジャーが自分のコアになるマネジメントスキルを身につけるにもってこいの一冊だ!

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。