【コンセプチュアル講座コラム】職人はコンセプチュアルである
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◆職人への認識が変わった
ある仕事で、設計の達人、加工の達人の話を聞いたことがあります。いわゆる「職人」と言われている人たちですが、この仕事で、職人に対する認識が変わったのは未だによく覚えています。
認識の変化を説明する前に、まず、言葉の定義をしておきます。日本語としては職人は「手作業で物を作りだしている人」のことですが、この記事で職人は
「自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り、独自性のある価値を生み出す人」
を意味しています。キーワードは「熟練した技術」、「独自性のある価値を生み出す」の2つにあります。
◆卓越した技術者の実態
さて、どう認識が変わったかといいますと、もともと、目の前の仕事を完璧にこなすことが職人だと思っていました。例えば、その仕事では「その人にしかできない精度で加工できる」とか、「すべての部品を共通に設計できる」といった人と出会いました。彼らの技術は職人芸だと言われていました。
ところが、実際に話を聞いてみると、そのような作業だけに長けた人ではないことに分かりました。実際、加工の職人は、その時使っていた加工機械とは別の機械で全く異なる分野の加工の経験があり、やはり、他の人にはできない加工ができると認められていました。
また、設計の職人も別の製品設計で具体的な例は見つかりませんでしたが、設計者として一目置かれているようでした。つまり、今、やっている作業で卓越した成果をあげているだけではなく、そもそも、スキルが高いのです。
問題は、どうやってその高いスキルを築きあげていったかです。本人たちは慣れだと言っていましたが、詳しく訊いていくと慣れだけではないことが明らかになってきました。実際、周囲の人の評価を聞いてみると、最初からどこか違ったと言います。
◆卓越した技術者の特徴
では、何が違うのだろうかという話になります。さまざまな視点からヒヤリングしてみると、大きくは4つのポイントがありました。
(1)基本的な技能がしっかりとしている
(2)前の仕事と同じようなレベルの成果を生み出す意識があり、その方法を考えている
(3)自分の仕事の成果が、製品や、ひいては事業全体にとってどのように役立つかを考え、作業に取り組んでいる
(4)自分の仕事の成果が顧客にどのような意味があるかを考え、作業に取り組んでいる
これは非常に興味深い結果でした。というのは、多くの人が技術者が(1)の特性を持っています。その中で、卓越した技術者は、それだけではなく、(2)~(4)があったからです。
余談になりますが、この仕事以来、技術者をこのような目で見ていますが、結局、技術が高い人があまり事業に貢献できていない人は、マネジャーや組織の使い方に問題があるというよりは、(2)~(4)を持てるかどうかにかかっているように思えます。(2)~(4)があれば、与えられた仕事や役割において役立つ方法を見出せるものです。
実は(2)~(4)というのは技術者や設計者に対しては組織はあまり教えません。組織が教えるのは、あくまでも(1)で、(2)は自分で学ぶ、先輩から盗むというのが昔からの職人の流儀です。エンゲージメントの高さの基本行動だと言ってもよいでしょう。
◆卓越した技術者はコンセプチュアルスキルが高い
このように卓越した技術者と一般的な技術者の間には、技術そのものの差より、自分の仕事に関する大局的な位置づけがあります。例えば、加工の職人の話を聞いたときに、マネジャーが「一般の技術者は設計図面通りに加工することに努力をし、自分の技術を磨いていくが、器用さだけでは超えられない壁に当たる」といっていました。
これに対して、卓越した技術者は全体の「読み」があって、経営者は何をして欲しいと思っているのか、顧客はその部品の組み込まれた製品をどう使うのだろうかといったことを考えて、それに適したものを作ろうとするそうです。
実際に、インタビューの中で、経営者が望んでいるものは何か、設計者が望んでいるものは何か、顧客がその製品をどう使うと考えているのかといったことを聞いてみると、明確な違いがありました。一言でいえば、一般的な技術者は考えていないのです。
というよりも、考えられないのです。これらは目に見えるものではないですし、先輩が教えてくれなければ、洞察するしかないわけですが、洞察ができないのです。
逆にいえば、卓越した技術者はこの洞察力に富んでいます。
そして、もう一つ重要なポイントは、目の前の作業においてのみ、卓越した技能を発揮しているわけではないという点です。Aという卓越した部品を加工できる人は、Bもできるのです。これは、目の前の作業やモノを単にやり方やスペックだけで捉えているわけではないということです。いわゆる応用力が高いということです。
◆コンセプチュアルスキルは強化できる
これらのスキルは技術とは異なるスキルです。これこそが、洞察力や応用力といったコンセプチュアルスキルなのです。つまり、卓越した技術者、つまり、職人はコンセプチュアルスキルが高いのです。
コンセプチュアルスキルは高められるのかという問題があります。上のインタビューで壁があるという見解の中で「稀に器用さだけで壁を乗り越えてしまう人がいるけど」というという言葉があったのを今でも覚えています。これはいわゆる「天才」なのだと思いますし、この領域には普通の人のスキルをいくらトレーニングしても、いくら場数を踏んでも立ち入れならないと思います。
これに対して、コンセプチュアルスキルはトレーニングや馴れで向上すると思われます。特に、今のように混沌とした時代には洞察力はもちろんですが、応用力が重要になります。明日は今日とは異なることに取り組まなくてはならないからです。
この職人の議論は技術者という範囲でしてきましたが、職人の定義を見て頂ければわかると思いますが、技術者に限定したものではありません。技術という言葉をスキルに置き換えると、専門家でも、マネジャーやリーダーといった役割に置き換えても同じことが言えます。そういうコンセプチュアルな議論です。
どのような立場にある人も、コンセプチュアルスキルを高めて、職人になりましょう!
◆コンセプチュアルスキルを高める3つの講座
コンセプチュアルスキルの基本トレーニングには、以下の3つの講座が有効です。
一つは、コンセプチュアルスキルとは何かを理解し、コンセプチュアルスキルが高くなればどのようなことができるようになるかを体験する講座です。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアルスキル入門~本質を見極め、行動するスキル◆(7PDU's)
日時・場所:【ZOOM】日時:2021年 02月 16日(木) 13:30-17:00、
02月 17日(金) 13:30-17:00
※ZOOMによるオンライン開催です。2日間に分割して開催します
※少人数、双方向にて、演習、グループディスカッションを行います
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス、PMP、PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_skill.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
1.コンセプチュアルスキルとは
2.本質を見極める
3.洞察力を高める
4.応用力を高める
5.コンセプチュアルスキルでこれからの行動が変わる~ケーススタディ
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二番目は、コンセプチュアルスキルを本格的に活用するための思考法「コンセプチュアル思考」について学ぶ講座です。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆コンセプチュアル思考のポイントと活用
~VUCA時代の思考法◆(7PDU's)
日時・場所:【ZOOM】2021年 02月 25日(木) 13:30-17:00
02月 26日(金) 13:30-17:00
ZOOMによるオンライン開催です。
講師:好川哲人(有限会社エムアンドティ取締役)MBA
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_thinking.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス、共催:PMAJ
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【カリキュラム】
【第1日】コンセプチュアル思考に慣れる
1.コンセプチュアル思考のイメージ(アイスブレーク、講義)
2.コンセプチュアル思考を実践してみる(個人ワーク)
3.コンセプチュアル思考の原理を学ぶ(ワークの振返り、講義)
【第2日】コンセプチュアル思考を活用する
4.コンセプチュアル思考の実際(講義)
5.コンセプチュアル思考で変化に対応する
(個人ワーク、グループディスカッション)
6.コンセプチュアル思考で不確実性に対応する
(個人ワーク、グループディスカッション)
7.コンセプチュアル思考を応用した活動(まとめ)
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三番目は、新しいことを生み出すときに必要なコンセプチュアルスキル「クリティカルシンキング」の講座です。
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆クリティカルシンキング入門◆(7PDU's)
日時:2021年 03月 01日(月) 13:30-17:00、
03月 02日(火) 13:30-17:00
※ZOOMによるオンライン開催です。2日間に分割して開催します
※少人数、双方向にて、演習、グループディスカッションを行います
講師:鈴木道代(プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/critical.htm
主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
1.クリティカルに考えるとは
2.ロジカルシンキングとその落とし穴
3.何を疑うのか(合理性)
4.何を疑うのか(内省)
5.クリティカルシンキングの4ステップ
6.具体的状況におけるクリティカルシンキング演習
7.クリティカルシンキング総合演習
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