【コンセプチュアル講座コラム】具体/現場にこだわるのでVUCAになる
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◆VUCAの本質
この1年くらいVUCAについていろいろなことを書いていますが、書いていないことがあります。それが、この記事のタイトルです。僕はVUCAの本質はこれだと考えています。
なぜ日本にアマゾンやグーグルのような急速に成長する企業が生まれないのかと聞かれたら、「現場主義だから」と答えることにしています。もちろん、創業のときに非常に大きなビジネスをしてもうまくいきません。地道な事業が必要です。しかし、同時に筋のよいビジョンは不可欠です。
ところが、創業者と話をすると、ビジョンが
・具体的な目標になっている
・経済的な成功になっている
・単なる夢物語である
のいずれかという企業が多いのです。このようなビジョンを掲げていては、成長は偶然に期待するしかありません。
◆アマゾンの例
例えば、アマゾンを例にとれば、なぜ大きくなったのかよく分かります。ら20数年前に書籍の通信販売かスタートしたアマゾンですが、今では何を提供している企業か分からないような企業になっています。
よく知られているように、アマゾンには創業当時から2つのビジョンがありました。
「地球上で最も豊富な品揃え」
「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」
の2つです。仮にアマゾンが「書籍販売でトップになる」といったビジョンを掲げていたとすれば、ここまで大きくなっていないでしょう。アマゾンの2019年(2019年1月~12月)のグローバルの総売り上げは、前年度比20.5%増の2805億2200万ドル(約30兆円)で、事業別の内訳は
・製品売上 → 50.4%
・実店舗売上 → 6.1%
・第三者販売サービス売上など → 19.2%
・定期購入売上(「Amazon プライム」の会員費など)→ 6.8%
・AWS(Amazon Web Service)→ 12.5%
・その他(広告サービスやクレジットカード契約などの売上高)→ 5.0%
となっています。単純にいえば、「書籍販売でトップになる」というビジョンだとすれば今の半分くらいの規模にしかなっていないでしょう。
このようにアマゾンが事業展開できたのは、ビジョンの抽象度と筋の良さにあります。この2つのビジョンを組み合わせれば、今、やっているすべての事業はビジョンの実現のためにやっていることになります。
◆ビジョンの筋の良さを生み出す方法
では、どうすればこのような筋のよいビジョンを策定できるのでしょうか。
答えは意外と簡単で、トップが事業の本質を明確にし、組織として本質を具体化して事業にしていっているかです。インターネットが普及してからはネットワークでさまざまなものが接続され、システムを考えることによって事業の広がりが生まれるという考え方をする人もいますが、アマゾンを見ているとネットワーク化はビジョン策定の手段に過ぎないことがよく分かると思います。
むしろ、ネットワークの活用に拘る人は、現場に視点がある人だと思われます。余談になりますが、日本のITが遅れているのは現場の効率化に拘り、付加価値を現場だけで生み出そうとしたためですが、まさにこういう発想で考えれば、ネットワークにポイントがあると考えがちです。
これまでは現場に拘り、成果を上げてきました。極論すれば、キャッチアップしている時期には、現場に拘れば成果(価値)が生まれます。しかし、トップグループになれば現場に拘っていても大きな成果は生まれません。現場に拘るということは、暗黙のうちに品質の高い製品をつくれば価値が生まれるというビジョンを前提を置いています。この前提が崩れれば、大きな成果は生まれないのです。現実に80年代以降はどんどん日本のポジションは下がっていますが、その原因はバブルの崩壊ではなく、現場に拘っていたかにあると思われます。
アマゾンのように、事業はビジョンを実現するためにさまざまな事業をするという発想が必要なのです。
◆現場、現物に拘らない
増してや今はVUCAと言われる時代です。予期できぬ変動を、現場、現物に拘って、改善でだけで生き延びるというのは不可能です。極論ですが、VUCAというのは現場に拘るので起こる現象だともいえす。
もう少し、視座を上げて、抽象的に考えながら、結論を具体的に実践していくという流れを作ればVUCAな時代にも安定した成果を上げることができます。
そのためには、ビジョンやパーパスののような抽象的なレベルで自社のすべきことを考え抜き、現場の活動にそれを反映させていけばよいのです。アマゾンがよい例です。現場へのこだわりを捨て、抽象と具体を行き来する文化を創り、他社が苦しむVUCAの時代に成長を果たしましょう。
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3.コンセプチュアル思考の原理を学ぶ(ワークの振返り、講義)
【第2日】コンセプチュアル思考を活用する
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