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2020年5月12日 (火)

【コンセプチュアル講座探訪】VUCA時代の思考法~「コンセプチュアル思考のポイントと活用」講座(ZOOM版)

バックナンバーはこちら https://mat.lekumo.biz/ppf/conceptual_course/
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◆VUCAというパラダイム
 
VUCAに関する記事をいくつか書いてきましたが、なぜ、そんなにVUCAに拘るのかという意見を聞くことがよくあります。いつの時代にも不確実性や不安定さはあり、それに対してはリスクマネジメントで対応できているじゃないかという意見が多いようです。
 
いろいろな人と議論をしているうちに、キーワードとして意識するようになったのが、パラダイムです。パラダイムという言葉は
 
「(科学上の問題などについて)ある時代のものの見方・考え方を支配する認識の枠組み」
 
という意味です。枠組みが変わることをパラダイムシフトといいます。パラダイムシフトというと「天動説から地動説へ」とか、「ニュートン力学からアインシュタイン相対論へ」といったシフトを思い浮べる方が多いと思いますが、歴史上、パラダイムシフトは多数あります。
 
VUCA時代が一つのパラダイムで、VUCA化というのはパラダイムシフトと考えると非常にすっきりします。何に関するパラダイムかというと、社会や経済など非常に広範なパラダイムだと考えることができます。これまでのパラダイムは、世界は
 
・予測できる
・最適化できる
 
といったパラダイムでした。これに対して、VUCA時代というのは
 
・予測てきない
・最適は存在しない
 
という性質のパラダイムです。
 

 
 
◆パラダイムシフトでビジネスの世界で起っていること
 
ビジネスの世界に目を向けますと、このパラダイムがもたらす大きな影響は、
 
「経験が役に立たなくなる」
 
というものです。
 
VUCAを新しいパラダイムだと考えると、リスクマネジメントでは対応できないような大きな不安定性や不確実性に対応していくことが必要になってきます。言い換えると、予測できず、最適化ができないような変化に対応していくことが求められます。
 
このような状況の中で、今、ビジネスの世界でも注目されるようになってきたのが、OODA(Observe(観察)、Orient(状況判断、方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)の頭文字をとった進め方)やアジャイルのような仕事の進め方であり、その中で思考方法として使われるのが、直感や主観です。さらに言えば、最適なも予測もできない中で、組織やプロジェクトとして一貫性を失わないために、ビジョンやパーパスが重要だと考えられるようになってきました。
 
これらについてもう少し詳しく見ていきましょう。
 

◆予測ができない状況で直感を使う
 
まず、従来のパラダイムでは仕事の進行はプロセスとして決定できました。これは、その仕事をどのように進めれば最も合理的かを判断でき、多少の環境変化や人的要素はリスクとして扱うことができるという前提です。
 
しかし、上に述べましたように、VUCA時代には変化はリスクとして扱うことができるものではありませんし、予測ができない中でどうすれば最も合理的かという判断すらできなくなります。
 
そこで、予測をして、最適なプロセスを探すことをあきらめ、その代わりに直感的に正しいと思った方向に進め、細かくフィードバックをしながら、また、正しいと思える方向に進み方を変更していくという考え方が基本になってきました。過去の実績が当てにならないときや、そもそも有用なデータを取得できないときに、情報収集に時間をかけた結果、決断をどんどん先送りして失敗するのを防ぐためです。
 
 
◆直感を適切に使うために
 
もちろん、行き当たりばったりで直感的に判断して進めていくだけではうまく行きませんので、直感を使って次の一手を決めていくところやフィードバックをするタイミングなどに一定の規則性(メタルール)を持たせるようになっています。この方式の違いや分野の違いで、アジャイルマネジメントやOODAなどが生まれてきています。
 
ちなに、最近のハーバードビジネスレビューに興味深い記事が掲載されていました。ハーバード・ビジネス・スクール経営学のローラ・ホアン准教授が執筆した記事で、
 
「重大な意思決定をデータよりも直感に頼るべき時 勘を当てにする前に2つの点を見極める」
 
という記事です。この記事では、直感を有効に活用するためのメタな条件を2つを上げています。今後、こういう議論は増えてくると思われます。
 
 
◆最適解が存在しない状況で主観を使う
 
もう一つの傾向は、主観の活用です。
 
ある意味で、予測ができず、最適解が存在しない世界では個人か、組織は別にして、主観によって意思決定するしかありません。21世紀になったくらいからよく「正解がない」という言い方をされるようになってきましたが、今、VUCAとして直面している状況はこれまでとは本質的に違います。
 
これまでの正解がないというのは、「最適解はあるのだけど、どうすれば見つかるのか分からない」というニュアンスでした。従って、「時間をかけて丁寧に考えていくと正解は見つかるだろう」とか、あるいは、「いくつか考えられる仮説を実行してみれば正解は得られるだろう」という世界でした。
 
これに対して、VUCAでは、その時々では正しいと考えられるものはあるが、普遍性はなく、すぐに変わってしまい答えではなくなるという状況です。いわば、本当に正解と呼べるものがない世界です。
 
経営レベルの問題はもともとVUCA的な性格が強いものでしたが、今は、これが現場にまで広がってきていると考えるとわかりやすいでしょう。例えば、商品開発をする際に市場調査をしますが、あまり適切な結果が得られなくなっているという話をよく耳にします。これは消費者の購入意欲がVUCAになってきたためだといえます。
 
ここが起点になって、変動が激しくなると、BtoBのビジネスにおいても従来とは異なり、変動が激しくなります。注文したものが納品されるまでに必要な仕様が変わってしまうのは珍しくなくなります。その典型的な例はITでしょう。必要なITは顧客のビジネスによって変動しますので、消費者の動向がVUCA化すれば、発注したものを仕様変更してほしいということになるのは当然です。
 
 
◆組織の主観が大切
 
もちろん、主観においても誰かの独断で決めればよいというわけではありません。企業経営における意思決定は昔は独断で行われることが多かったですが、この30年くらいをみると、役員会のような経営チームで決定されるようになってきました。これは、変動が早くなったこともありますが、事業環境が複雑化し、社長だけでは決定するのが難しくなったためです。

 
これから類推されるように、VUCAの時代の意思決定は組織の主観で決めることが前提になります。正解はないわけですが、組織としての客観的な妥当性が求められます。これが現場まであらゆるレベルで必要になるのです。
 
ちなみに、組織としての主観のように、2人以上に人の間で合意されている主観性を間主観性(共同主観性)といいます。これは客観的であるよりは弱く、主観的であるよりは強い客観性を意味する言葉です。
 
 
◆VUCAで経験を役立てる方法
 
さて、上に述べましたように、このようなVUCAのパラダイムがビジネスにもたらすのは経験が役に立たなくなるということです。ビジネスが人によって行われるということ自体はどの時代も変わりませんので、経験が役に立たなくなることは非常に大きな問題です。
 
その意味で、この問題に如何に対処するかは非常に重要なポイントです。この問題を考えるに当たっては、そもそも経験とは何かという議論が必要になります。
 
これまで、経験という言葉が意味しているのは、
 
「行動したことがあること」
 
でした。行動の中には、
 
「どう考えてどう実行し、どういう結果が得られたか」
 
が含まれます。VUCA時代に同じ状況に直面しないのであれば、このような経験は使えません。そういう意味で、経験は役に立たなくなるわけですが、経験にはもっと深い意味があります。簡単にいえば、似ている行動をしたことがあることです。ここで似たようなと言っている意味はさまざまです。例えば、目標が同じ、顧客が同じ、行動のパターンが同じ、プロジェクトの構造が同じなどです。
 
新しい仕事の直面したときには、過去に行ったことのある仕事をこのような視点からみて、類似したものはないかを考えれば経験も役に立ちます。これをもう少し一般的にいえば、
 
「実際の行動を抽象化し、未来の活動に役立てていく」
 
ということになります。
 
 
◆セミナーの目的と構成
 
このようなVUCA時代に必要な思考を学ぶセミナーとして
 
「コンセプチュアル思考のポイントと活用~VUCA時代の思考法」(ZOOM版)
 
があります。
 
このセミナーは2日に分けて、
第1日:コンセプチュアル思考に慣れる
第2日:コンセプチュアル思考を活用する
というテーマで行います。
 
まず、1日目は、コンセプチュアルスキルにおけるコンセプチュアル思考の位置づけを明確にした上で、コンセプチュアル思考のモデルを解説します。これは、
 
・大局と分析の行き来
・抽象と具象の行き来
・主観と客観の行き来
・直観と論理の行き来
・長期と短期の行き来
 
の5つの軸を行き来しながら、思考するというモデルです。この中に、VUCA時代に特に重要になると考えられる、直感、主観、抽象などの軸が含まれています。
 
そして、このモデルを使ったワークを行い、発表して共有し、振返りの中から、コンセプチュアル思考の原理を把握して頂きます。
 
その上で、2日目は、コンセプチュアル思考が実際にどう使われているかを事例を示しながら解説し、活用のイメージを持って頂きます。
 
そして、ケースを使って
 
・変化への対応
・不確実性への対応
 
という2つの視点から、VUCAな状況への活用方法を考えます。
 
VUCA時代に通用する思考法として、コンセプチュアル思考を身につけたい人に適したセミナーです。
 
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆コンセプチュアル思考のポイントと活用~VUCA時代の思考法◆(7PDU's)
  日時・場所:【ZOOM】2020年 05月 25日(月) 13:30-17:00
                05月 26日(火) 13:30-17:00
  ZOOMによるオンライン開催です。
  講師:好川哲人(有限会社エムアンドティ取締役)MBA
  詳細・お申込 https://pmstyle.biz/smn/conceptual_thinking.htm
  主催 プロジェクトマネジメントオフィス
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 【カリキュラム】                     
【第1日】コンセプチュアル思考に慣れる
1.コンセプチュアル思考のイメージ(アイスブレーク、講義)
2.コンセプチュアル思考を実践してみる(個人ワーク)
3.コンセプチュアル思考の原理を学ぶ(ワークの振返り、講義)
【第2日】コンセプチュアル思考を活用する
4.コンセプチュアル思考の実際(講義)
5.コンセプチュアル思考で変化に対応する
  (個人ワーク、グループディスカッション)
6.コンセプチュアル思考で不確実性に対応する
  (個人ワーク、グループディスカッション)
7.コンセプチュアル思考を応用した活動(まとめ)
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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。