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2019年10月15日 (火)

【コンセプチュアル講座コラム】見えないものを見える化せずに共有する

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Communication

◆ラグビーワールドカップ グループリーグのルール
 
ラグビーワールドカップで、日本は見事にグループリーグトップで、決勝トーナメント(ベスト8)に進みました。グループリーグの仕組みはなかなかよくできており、ティア2のチームが勝つと非常に複雑なことになるような仕組みになっています。
 
グループリーグのレギュレーションは以下のようなものです。
 
・ポイント(勝ち点)制で、総ポイント数の多いチームを上位とする
・勝利チームに4ポイント付与
・引き分けは両チームに2ポイント付与
・負けは0ポイント
・勝敗に関わらず1試合4トライ以上で1ポイント(ボーナスポイント)付与
・負けても7点差以内なら1ポイント(ボーナスポイント)付与
・2チーム(もしくはそれ以上)の総勝ち点が同点となった場合、以下の基準を適用して順位を決める。
(1)直接対決で勝った方が上位
(2)プール戦での得失点差で上回ったチームが上位
(3)プール戦での得失トライ数差で上回ったチームが上位
(4)プール戦での総得点数が多いチームが上位
(5)プール戦でのトライ数が多いチームが上位
(ベースボールマガジン社サイトより)
 
これに加えて、今回現実になったように、何らかの理由でゲームが実施できない際には引き分けとするというレギュレーションもあります。
 
 
 

◆起こった状況
 
さて、今回は日本が入っていたプールAは各チームが3試合が終了した時点で、
 
1位:日本(14)
2位:アイルランド(11)
3位:スコットランド(10)
4位:サモア
5位:ロシア
 
という順序でした。
 
日本の最終戦の相手はスコットランドでしたが、日程の関係でアイルランドは先にボーナスポイントを獲得する勝利を上げ、勝ち点16で決勝トーナメントに進出を決めました。日本はベスト8の最後の1席を争うことになったわけですが、テレビを見ていると、その説明に苦労していました。
 
この時に考えられたケースは
 
(1)1位通過
・日本が勝つか引き分ける
・日本が7点差以内で敗れるが、4トライ以上取り、スコットランドを4トライ以内に抑える
・日本が7点差以内で敗れるが、4トライ以上取り、スコットランドに4トライ以上取られる
・日本が7点差以内で敗れるが、スコットランドに4トライ以上取られる
(2)2位通過
・日本が8点差以上で敗れるが、4トライ以上を取り、スコットランドにも4トライ以上、取られる
(4)予選敗退
・日本が7点差以内で敗れるが、スコットランドに4トライ以上取られる
・日本が8点以上の差で敗れる
 
ですが、ほとんどのマスコミは「レギュレーションは覚えなくてもいい、このケースだけを覚えておいてください」とやっていました。
 

◆見える化すると本当に分かりやすいのか
 
このような放送や解説をみて、感じたことは「分かりにくい」です。これだけパターン(ケース)があると、具体的に言われても分かりにくいのです。日本の決勝リーグ進出の条件はもう少し抽象的なもの、つまりレギュレーションだけで十分なのではないかと思います。具体的なケースを示すというのは印象をよくするためで、具体的な効果があるとは思えません。
 
少し、一般的にいえば、状況やシステムが複雑になってくると、見える化して具体的に提示されても示された方はよく意味が分かりません。具体化して見える化するのではなく、概念的に提示すれば十分なのです。
 
ラグビーの例でいえば上のような状況ですので、試合の流れによって時々刻々取るべき戦略は異なります。見ている側はそれを理解しなくてはなりません。具体的なケースを見せられていても、戦略を理解できるとは思えません。
 
その典型的な行動がアイルランドと日本戦の終わり方でした。19対12で負けていたアイルランドはトライを取れば同点といい場面の状況最後のワンプレーでマイボールスクラムを与えられます。そして、そこから攻撃すると思いきや、外に蹴りだした試合を終了させました。テレビで見ていたら、解説の人も最初、理由が分からないかったようです。
 
これは、7点差以内で負けるとボーナスポイントが1貰えるので、
・相手に攻め入って点を取る(リスク大)
・相手に攻め入ってインターセプトされ、逆に点を捉える(リスク小)
・そのまま終わる(確実)
という3つのパターンが考えられる状況でした。そこでとった判断はそのまま終わることだったのです。
 
これを理解するのは、なぜ、そのようなプレイをするのかが観客として共有できなくてはなりません。言い換えると、選手たちのプレイを概念的に理解するということです。もちろん、テレビであればそのために解説者がいるわけですが、、、
 

◆概念的に共有し、行動で調整する
 
おそらく、このような理解は具体的なケースで示されたものを共有していても対応できません。共有すべきものは、状況とルールです。それが共有できていれば、それぞれが考えることによって、同じ目標に向かって動くことができます。上のアイルランドの例でいえば、おそらく、この状況では、7点差以内でボーナスポイント1を取りにいくという概念的な戦略があり、その具体的な行動として蹴りだしたと思われます。
 
これはビジネスでも同じです。家宝のように具体化し、見える化をする組織やプロジェクトが多いですが、状況や数字を覚えることが目的ではありません。目的は状況を理解し、意識を統一し、行動を協調させることです。
 
この問題を解消する方法は、概念的な状況を把握することです。上の例でいえば、ルールです。ルールは徹底的に共有する。ただし、その時々でルールを適用すると何が起こるかという判断は個々に任せる。このようなマネジメントが必要です。
 

◆コンセプチュアルなコミュニケーションでコンセプチュアルなチームを創る
 
もう少し、一般的にいえば、概念的な情報を共有して、具体的な行動は個々の判断に任せることによってコラボレーションする。これこそが、コンセプチュアルなチームです。
 
ポイントになるのはコミュニケーションです。コミュニケーションに具体性を求めていると、分かりやすくはありますが、ビジネスやプロジェクトの流れのスピードについていけません。概念的なコミュニケーションで意識を共有し、解釈(行動)の違いがあれば具体的な行動を起こす中で相互に調整していくようなコミュニケーションが必要です。
 
コンセプチュアルなチームであるには、まずはプロジェクトリーダーはもちろんですが、メンバーのコンセプチュアルスキルが重要です。メンバーのコンセプチュアルスキルを高めて、コンセプチュアルなコミュニケーションを行う、コンセプチュアルなチームを目指しませんか?
 

◆関連セミナー
 
コンセプチュアルなチームとコンセプチュアルなコミュニケーションのセミナーがあります。
 
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1.コンセプチュアルなチームを作る
2.コンセプチュアルなチームは本質にこだわる
3.コンセプチュアル思考で創造的なチームを作る
4.コンセプチュアルなコミュニケーション
5.コンセプチュアルなチームワークエクスサイズ
 ・【テーマ】ドローンを使った新サービスの考案
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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。