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2016年9月16日 (金)

【イノベーション戦略ノート:097】HOWではイノベーションは起こせない

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How

◆あるロボット

最初に一つ考えてほしいことがある。最近ロボットがブームだが、

「パソコンからプリントの指示をするとプリンターがデスクまでやってきて印刷してくれる自走式のロボット」

をどう評価するだろうか。メリットは便利であると同時に、書類が他の人の目に触れないことだ。

実はこの製品は実際に日本で作られ、それなりに興味を持たれた。理由はセキュリティの問題より便利だからだそうだ。これはイノベーションなのだろうか?

今回の戦略ノートはこの問題について考えてみたい。



◆機能とは何か

日本の製品は過度な機能開発から抜け出せないとよく言われる。そして、そのような開発をイノベーションと呼んでいる。上のロボットもその一つだろう。これが結論だ。

問題はなぜ、そのような状況に陥っているかにある。

その前に、そもそも機能とは何かという問題もある。機能とはユーザーが使ってみて、便利だと感じる特徴のことである。しかし、上のロボットも含めて、現実に新製品で機能と言われているもののほとんどは、言葉は悪いが

・便利だけどなくてもよい特徴
・技術的に実現可能なのでつけた特徴
・見栄えを良くするためにつけた機能

であるが、これは機能とは言えない。言い換えると、ユーザーに価値を提供していない特徴は機能とはいえない。著者はこれを機能もどきと呼んでいる。


◆HOWを突きつめる科学

では、なぜ、ユーザーに価値を提供しない機能もどきが製品につけられるのだろうか。その理由は、HOWを考えるからだ。上のロボットの例は、便利にするにはという観点と、セキュリティを高くするにはという観点から相当突き詰めてHOWを考えていると思われる。

もちろん、科学はHOWを問いかけるものであるので、悪いわけではないが、価値が生まれるとは限らない。このロボットが提供する利便性やセキュリティがなくてもよいものだったということだ。これはHOWの本質的な問題でもある。


◆WHYを突き詰めるイノベーション

価値を生み出すにはどうすればよいかというと、WHYを連ねていくことだ。上のロボットでなぜその機能が本質的に必要かを徹底的に考えみても、答えは出てこないだろう。決定的に必要な人も見つからないし、必要な理由も見つからない。

同じロボットでも、ソフトバンクの提供しているペッパーであれば、WHYによって本質的な目的にたどりつく可能性がある。例えば、今は難しいかもしれないが、将来的にニコミュニケーションにより、ストレス解消やメンタルの安定のために使えるかもしれない。すると、人間にとってなくてはならないものになるだろう。

つまり、機能を開発するということは、WHYを突き付めていくことによってはじめて可能になる。前回述べたイノベーションはコンセプトから始めるべきだという背景には、コンセプトはWHYから生まれるものだということがある。

◆マーケティングとイノベーション

しかし、ここで大きな問題になるのはマーケティング的な発想である。つまり、なくても困らないものを売ってこそ、ビジネスだという考え方である。

マーケティングがイノベーションにどのような影響を与えているかは興味深い。日本にイノベーションが置きにくい理由の一つは、マーケティングの考え方にあるのではないかと思う。これについては、また、別の機会に意見を述べたい。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。