【イノベーション戦略ノート:093】要するに何なのか
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製品のデザインをすると、機能Aが欲しい、Bも必要だ、Cも欲しい、、、という風にどんどん、アイデアが生まれてきて、コストの制約があるので、優先度を決めようという話になることが多い。
このような決め方は本当に正しいのだろうか。これが今回のテーマである。
◆演繹と帰納
論理的にものごとを考えるには、良く知られているように2パターンある。演繹法と帰納法である。演繹法は、前提があり、そこに事実を加えて推論をかさねていく。たとえば、
野菜は栄養がある。にんじんは野菜だ。だから、にんじんは栄養がある。
といった推論を行う。
これに対して、帰納法は前提を立てるのが難しい場合の推論で、多くの事実から類似点をまとめ上げることで、結論を引き出す。たとえば、
リンゴは甘かった。なしは甘かった。ブドウは甘かった。だから果実は甘い。
といった推論を行う。
◆帰納的な推論の落とし穴
ここで、帰納的な推論には落とし穴がある。それは、A+B+C+・・というように単に足しただけの結論を出すことだ。たとえば、フューチャーフォンの改善のための評価で、
・電池の充電時間が長い
・電池の持ちが悪い
・ボディのサイズが大きい
・・・
といった事実があったとすると、これらを列挙しただけの結論を出す。
イノベーションで求められるのは新しいアイデアを出すことであるので、いくら事実を並べてもイノベーションは生まれない。必要なのは、このような事実全体が意味をすることは何か、言い換えると要するに何なのかという話なのだ。
◆本質に統合する
このように考えるには、第90話で述べた顧客ニーズの本質が問題になってくる。本質を見つけて本質に統合する必要があるのだ。
【イノベーション戦略ノート:090】顧客の本質的なニーズを洞察する
https://mat.lekumo.biz/ppf/2016/06/090-3b62.html
上の例で考えてみると、要するに「電話としては使い勝手に不満がある」ということだと考えた。
そして、その問題解決として、電池の改良やボディサイズの改良ではなく、電話以上に価値のあるものになるという方向性でできたのがスマートフォンだ。
このように、本質的な問題を個々に出てきた問題ではなく、要するに電話としては不満があるということだと考え、そこに問題を統合し、統合した問題を解決する方向にイノベーションを狙う。こういう発想で、個別の問題に対応するのではなく、問題全体を考え、その問題を解決することによってイノベーションを起こすことによりイノベーションを生み出す可能性が高くなる。
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