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2015年11月30日 (月)

【イノベーターのためのコンセプチュアル思考術(5)】コンセプチュアル思考とイノベーション(1)~直観から始まるイノベーション

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◆非常識な本質

コンセプチュアルスキルのセミナーでずっと使っている例がある。メルマガでも紹介したことがあるので、覚えていらっしゃる方もあると思うが、元日産のエンジニアで、今は台湾の自動車メーカー・ハイテックジャパンのCOOをやられている水野和敏さんのカーレースをめぐる話だ。

簡単に説明すれば、水野さんがレースの監督を命じられたときに、それまではレースは最高馬力、最高速度で勝負するものだと考えられていたが、水野さんはレーシングコースには最高馬力、最高速度で走れる直線は20%弱であることに気がついた。つまり、80%強を早く走ることがレースを勝ことい直結すると考えた。

コロンブスの卵のような話であるが、本質を見つけることがイノベーションに結びついている典型的な例である。水野さんはこれを非常識な本質と呼んでいる。では、なぜ、水野さんはこのことに気がついたのだろうか。


◆2つの直観

コロンブスの卵だといったが、実はこの話の興味深い点は、本当に正しいのかという点である。コロンブスの卵はつぶしてしまえばほぼ確実に立てることができるが、このケースはそうとはいえない。論理的に考えてみると、80%と20%の速度差によっては、20%で80%をカバーするという可能性もある。

そもそも、80%のコースを速く走るためには何をすればよいのかもはっきりしない部分がある。

そんな中で、80%を速く走れば勝てるというのは直観だと思われる。ちょっと脱線するが、「ちょっかん」には「直感」という感じを当てる場合と「直観」という感じを当てる場合がある。前者は単なる思い付き、後者は経験に基づく思い付きである(著者は造語で思い当たりと言っている)。

水野さんの場合、それまでのエンジニアとしての経験に基づく直観だったと思われる。


◆勝つイメージは

直観したら、とりあえずそれを仮説として仮説検証をしてみる方法もあるが、車を作るというのは仮説検証として行うのは難しい。そこでもう少し論理化する必要がある。

ここで、重要な役割を果たしているのは、大局的な思考である。結局レースに勝つというのはどういうことかと考えてみた場合、平均速度を上げることに他ならない。平均速度を上げるには車の特性をそのようにするほかに、ピット時間などの、走っていない時間を短縮するなどの方法も考えられる。また、レーサーのスキルにも依存しそうだ。

このように大局/分析の軸で思考をする。


◆勝つイメージにより直観を論理化する

すると、カーブを速く走れば平均速度が上がり、レースに勝つことができるというロジックが生まれてくる。これが、直観/論理の軸の思考である。

重要なことは、直観により新しい考えを導入していることである。と同時に、それは適当な思い付きではなく、経験に裏打ちされたものだということだ。もちろん、経験があることではなく、あくまでも経験から生まれたものである。思考でいえば、経験からの洞察に相当するものだ。

これが、経験に基づく直観でイノベーションを起こす一つの流れである。

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  【カリキュラム】                     
  1.コンセプトとは何か~コンセプチュアルスキルの観点から
  2.本質とコンセプト
  3.よいコンセプトの作り方
  4.コンセプトをビジネスモデルとして具体化する
  5.コンセプト立案ワークショップ(内容はお問い合わせください)
  6.ストーリーでコンセプトを伝える
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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。