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2014年6月14日 (土)

【ブックレビュー】君に友だちはいらない

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瀧本 哲史「君に友だちはいらない」、講談社(2013)

マッキンゼー仕込みのチームマネジメントの実践経験を通じて、チームマネジメントのあり方を書いた本。良いチームはたいてい


・小人数である
・メンバーが互いに補完的なスキルを有する
・共通の目的とその達成に責任を持つ
・問題解決のためのアプローチの方法を共有している
・メンバーの相互責任がある

という性質を持っているとし、その実現方法を述べた一冊。



日本のチームマネジメントについてかいた本を読んでいると、レトリックを感じることが多い。ほとんどの本はビジョンを共有し、一人一人が自立し、ビ ジョンの実現に向かって貢献するといったことが書いてあるわけだが、チームビルディングの具体的な方法をほとんど書いていない。せいぜい、多様性のあるメ ンバーでみたいなことが書いてあるくらいだが、どうもゲマインシャフト(人間が活動していく上で自然に発生する地縁、血縁などの集団)なのだ。

と いうことで、あまり人に進める気にならない。ビジネス書の杜でもチームマネジメントの本はそんなに紹介していない。いまだに、チームマネジメントの良書を 教えてくださいと言われると、古典とも思えるマッキンゼーのジョン・カッツェンバックのこの本を紹介している。この本でイメージしているチームはゲゼル シャフトとしてのチームである。ゲゼルシャフトはある目的を持った人々がその目的を達成するために集まった集団」のことだ。

「高業績チーム」の知恵―企業を革新する自己実現型組織

やっ と紹介しようと思う本が出てきた。今を時めく瀧本哲史先生のこの本だ。瀧本先生のキャリアは大学、民間企業と多様で、その中でマッキンゼーにいた時期があ る。カッツェンバック仕込みというわけだ。この本でも、良いチームの定義としてカッツェンバックの定義を紹介している。

本来プロジェクトとはそういうものだが、現実にはゲマインシャフトになっていることが多い。驚くべきことに、企業を超えたプロジェクトでもゲマインシャフトになっていることが少なくない。

ゲゼルシャフトのチームを作るには、人脈、特に弱いつながりをもつことがポイントになる。この本は、つながりの持ち方と、つながりを使ったゲゼルシャフト的チームの作り方を多くの経験や例を挙げながら説明している。

実はチームの作り方さえ間違えなければ、あとはそんなに大したことではない。教科書通りにやればうまく行く。

これからの仕事はチームビルディングが勝負になる。瀧本先生がいうには、

あなたに友達はいらない。あなたに今必要なのは、ともに試練を乗り越え、一つの目的に向かって突き進んでいく「仲間」だ。ただし、ワンピースの世界ではなく、弱い組み合わせでダイナミックに変わっていくチーム。みんながさまざまなロールを果たすチームだ。

となる。

これが表紙に使われている7人の侍の意味である。7人の侍自体がゲゼルシャフト的なチームであるが、実は黒沢映画の作り方の特徴こそ、チームにあるということで、1章を割いて黒沢映画の話をしている。この部分、相当、読みごたえがある。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。