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2014年5月 7日 (水)

【ブックレビュー】100のボツから1のアイデアを生み出す天才の思考術

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ジェイムズ・バナーマン(山本 雅子訳)「100のボツから1のアイデアを生み出す天才の思考術」、アルファポリス(2014)

非常によくできたクリエイティブシンキングの本。星の数ほどあるクリエイティブシンキングの方法から効果的なものを選定し、応用方法を体系的に説明している。

また、分量は少ないが、思考結果を具体的なアクションに持ち込む方法も述べられている。何よりも素晴らしいのは、この本を活用するという点において、極めてクリエイティブな構成になっていることだ。創造的問題解決の解説書として完成度の高い良書。

本は二部構成になっており、第1部が5つだけに絞った基本ツールの使い方を例を使いながら解説。第2部ではクリエイティブな思考を実践するためのツールキットで、ビジネスへの応用に有効なものを多く紹介している。

まず、この本には重要なメッセージがある。

・できると思えばできる
・よい意味でずる賢く

の2つである。この2つの態度を実践しながら、まず、基本は以下の5つだ。

(1)結びつける
(2)変化させる
(3)発見する
(4)方向を変える
(5)逆の方法をとる

なぜ、この5つなのかはわからないが、僕の使っているリスト(11個)と比べると確かにMECEになっているように思う。

これらについて、事例を示して思考法のイメージを紹介した上で、理論から実践へということで数個の簡単な日常的問題と解答を示している。たとえば結びつけるなら

問題:ジャムのふたがあかない
解決:手のひねりとゴムを結び付ける

という感じ。さらに、もっと大きな問題を解決しようということで、たとえば

問題:やらなければならないことが多すぎて時間が足りない
解決:普通なら結び付けないようなタスクを結び付ける

といった感じ。やや抽象的な部分は、具体的な方法を詳しく解説している。

最後にこの思考法で突破口を開くための質問が準備されている。組み合わせるなら

・この問題を解決するためにすでにやっていることに「追加」できるものかはないか
・これらを改善するために混ぜられるものはないか
・どちらのいいところも活かせるとすればどうする?

の3つが挙げられている。

第2部はビジネスへの応用編だが、より有効に使うために5つのゴールデンガイドラインなるものが紹介されている。

(1)具体的に
(2)分けて考える
(3)言い訳はしない
(4)クレージーがいい
(5)前進あるのみ

強烈なインパクトだ。ビジネスに使えるツールキットとしては

・類推する
・組み合わせる
・模倣する
・消す
・拡大する
・先を見る
・苛立ちを利用する
・後光効果
・子どもの目でみる
・シャッフルする
・簡素化する
・欠点を利用する
・X倍にする
・誇張する
・ルールを破る
・擬人化する
・スピードを変える
・縮める
・入れ替える
・転用する
・Uターンする
・変化させる
・恐怖を利用する
・透視する
・逆転させる
・分割する

が紹介されている。いずれも具体的に使い方を書かれており、そのまま使えると思う。

最後は、実行で以下の4ステップを推奨している。

(1)選ぶ
(2)チェックする
(3)S-O-Sのプロセスを繰り返す
(4)乗り換える

である。

具体的なので、手元においておき、難しい状況に遭遇したときに、開いて使ってみるという使い方をお勧めする。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。