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2012年8月 7日 (火)

【10周年】アクティビティ「持論を持とう!」 ワークショップの様子

PM養成マガジン編集長の好川哲人です。この記事では、10周年記念活動のうち、持論アクティビティワークショップの報告をさせて頂きます。

◆はじめに

PM養成マガジン10周年記念で実施している「持論を持とう」アクティビティですが、7月28日で、ワークショップがすべて終わりました。日程と参加者数は以下のとおりでした。

7月14日 大阪(9人)
7月17日 東京(10人)
7月21日 名古屋(3人)
7月28日 東京(14人)

参加者の合計は36人でした。このアクティビティに参加している人が51名なので、約7割の方が、ワークショップに参加されたことになります。

3時間のワークショップは、

(1)好川からの持論に関するインプット
(2)事前課題に基づき参加者同士で持論の紹介し、自分の持論構築への気づきを得る
(3)自分の持論の修正

というプランでしたが、(2)で盛り上がり、いずれのワークショップでも、(3)は各自、持ち帰って行うということで、省略しました。


◆好川からのインプット

IMG_1057(1)では持論の作成手順以外に、持論とは何かを

・定義
・理論と持論はどう異なるのか
・持論は我論ではない
・持論と標準の折り合いをどうつけるか

といった観点から説明しました。さらに、ダイエットを例にとって、持論の重要性を説明しました。ダイエットの例は分かり易いので、いつも使っているのですが、ダイエットの理論というは、シンプルで、

消費カロリーが摂取カロリーを上回ると体重が減る

というものです。ところが、これを実現する方法はいくらでもあります。たとえば、

・高タンパク、または、低脂肪の食生活をする
・炭水化物の摂取を控える
・食事は変えずに運動を増やす
・カロリーを必要最小限に抑える

などです。

が、誰もが、同じ方法でうまくいくわけではありません。自分の目標、ライフスタイル、体格、健康状態などに配慮した方法を選ぶ必要があります。持論とはそういうものです。たとえば、あなたは「爺泣かせ」で、上位組織を動かしてプロジェクトを進めていくという持論を持っていたとしましょう。この持論はできる人と、できない人がいます。

持論は共有するものではなく、自分で考え、自分で使うものです。その理由は人の持論を使ってもうまく行くとは限らないからです。考えてみると当たり前ですが、意外と盲点になっている点です。

持論を持つ意義は、もう一つ高い視点から考えることも必要です。それは、自分なりのやり方をすることによって、何をもたらすのかということです。プロジェクトが成功すればよい(組織から与えられた目標を達成すればよい)というだけであれば、理論があればよく、持論は必要ないかもしれません。

持論が必要なのは、そこに自分の思いが加わり、組織の目標を達成しながら、自分の思いも遂げたいという思いがあるからだと思います。


◆事前課題

ワークショップの事前課題は以下のようなものでした。

=====
事前課題:持論を作成してみましょう。

それでは、以下のステップで、持論を書いて、ワークショップにお持ちください。フ
ォーマットは自由です。

ステップ1:
プロジェクトや仕事がうまくいったというのは、どのようなときかを、できるだけ具体的に考えてみてください。

ステップ2:
プロジェクトリーダー、あるいはプロジェクトマネジメントスタッフとして参加したプロジェクトで、うまくいったと思うプロジェクトと、そうではなかったプロジェクトを思い浮かべてください。違いを生み出している要因のうち、自分自身に起因する要因を、できるだけ具体的なシーンと結びつけながら、考えてください。

ステップ3:
ステップ2と関連して、ステークホルダ(上司、顧客、経営層など)に起因する要因はなんでしょう?同じ要領で考えてください。

ステップ4:
過去にメンバーとして参加したプロジェクトのリーダーで信頼できると思った人の、思考の特性、行動の特性、人間性にどのような特徴がありましたか。

ステップ5:
歴史上のリーダーの中で、その人のプロジェクトなら参加してみたいと思う人を思い浮かべてください。なぜ、そのように思うのかを、リーダーの思考の特性、行動の特性、人間性の視点から考えてみてください。

ステップ6:
ステップ1~5をうけて、プロジェクトマネジャーとしての持論を言語化してみてください。

ステップ7:
ステップ6で作った持論について、プロジェクトマネジメントの理論や概念、達人の持論など、誰かの影響を受けている人は、持論ごとに書き留めておいてください。
=====

企業研修の場合、事前課題の実施にはある程度のガバナンスが効くがそれでもやってこない人もいます。これをオープンでやるとどうなるかと不安のまま、始めたのだが、なんと、ワークショップへの参加者は全員、事前課題をやって来られました。正直、ちょっと、びっくりしました。

さらに、ワークショップに参加できなかった方も、6名の方が、事前課題を提出して戴きました。

 

◆各会場の様子

(1)大阪
大阪は9名。3人ずつのグループ分かれて、事前課題の紹介をしました。
大阪らしく、やり方は各グループばらばら。一つのグループは、全員のキーワードを抽出、一つのグループは印象的な持論を選ぶ、一つのグループはレビューをするなどでした。

終了後は懇親会をしました。持論の紹介の後の懇親会というのは面白いものです。

IMG_1069
(グループごとに事前課題の発表をする)

IMG_1117
(グループワークの結果を発表)

 

(2)東京(第1回)
東京の第1回は10名。ほとんどが、IT系の方でしたが、中に建築、製造業などの方が混ざるような形になりました。比較的まとまった感じで話が進んでいきました。

IMG_1140
(事前課題の発表)

IMG_1157
(グループワークの発表)

(3)名古屋
名古屋は3名だけというこじんまりとしたワークショップ。参加者は全員、製造業の方で、うち2人は同じ会社の方でした。持論は製品開発における不確実性の話が中心で、なかなか、好川にとっても参考になることの多いワークショップでした。
P7210235
(事前課題の発表)


(4)東京(第2回)
最後のワークショップ。参加者は4回の中でもっとも多様でした。前提の確認をせずに話をしていたグループが多く、途中で前提が違うことに気づき、そこから一挙に話が深くなっていくようなパターンが多かったように思います。これはいい経験ですね。とくに、IT系のプロジェクトマネジャーは、プロジェクトマネジメントとしては比較的特殊であるにも関わらず、自分たちのやり方がプロジェクトマネジメントだと思っている人が少なくないので、こういう経験から気づくことが多かったのではないかと思います。

この回も、終わった後で懇親会をしました。懇親会も面白かったです。

IMG_1211
(インプットをする好川)

IMG_1212
(事前課題のグループ発表)

◆今度の活動

都合、42名の持論の原型ができたことになります。これを12月くらいまでに、ステップを踏んで、ブラッシュアップし、自分の成長のために意味のある持論に仕上がるように支援していかねばと改めて責任を感じてところです。

ちなみに、ワークショップの様子や、いくつかの持論は、日経ビジネスオンラインの連載で紹介していくので、ご期待ください。

あなたがプロなら 持論を作れ、持論を磨け


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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。